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2010.05.10

MonotaRO

2回目の投稿です。MonotaROについては長らく更新していませんでしたが、別に期待が冷めたわけではありませんので、経過記録だけでも書いておこうかと。前回からの大きな変化としては、社長の出身企業であり大株主であった住友商事が投資方針変更により持株を全株売却し、一方、もうひとつの大株主である米国の同業者グレンジャーが買い増し、52.85%の親会社となりました。グレンジャーは、中国、韓国等でも事業をおこなっていて、この業界での巨人です。このグループに入っていることで、巨人と競合しなくていいことは大きな利点です。さらに、こんなニュースも。

 工具、ネジ、配管、継手などの通信販売を手掛けるMonotaRO(本社・兵庫県尼崎市、社長・瀬戸欣哉氏)は4月より、プライベートブランド(PB)を中心とした工具類などの間接資材の輸出事業をスタートする。米国の間接資材卸大手であるグレンジャー社のネットワークを活用しながら、世界7カ国で営業を展開。年間売上高10億円を見込む。


 同社としては、初の海外輸出事業展開となる。4月中旬ごろに中国への出荷を皮切りに、5~6月ごろには韓国向け、来春ごろには米国、カナダ、メキシコ、パナマ、インドへの輸出も開始する予定。輸出した商品は、現地の卸売業者、小売業者によって販売される。


 海外への輸出を展開することで全体の取扱数量を増やし、幅広く安価なプライベートブランド商品の拡販を図る。今後、輸出国や商品数を拡大し、PB商品のほか日本製の工具類全体の販路拡大につなげる方針だ。(鉄鋼新聞 2010.3.31)

 工具類はコモデティーなので、商品調達を安くするか、販売の仕組みを工夫するか、差別化のポイントは限られると思うのですが、PB商品で、販路が既に用意されていると言うのはいいですね。

 とはいえ、まだまだ、輸出より国内で儲けるのが、今の状況です。
 同じような商品を扱っているのは、零細訪問工具商だったりホームセンターだったりすると思いますが。

 販売価格を下げられる秘訣の一つは、海外の商品は直接輸入することだ。「1年の3分の1以上は海外にいる」というように、商品の違いを直接目で見て仕入れている。また、エンドユーザーに直接販売することで、流通の簡素化を実現する。「売る値段ではなく、買う値段で儲けなければならない」と仕入れ価格の低減に注力する。(建設通信新聞 2010.3.02)


 たまに、アマゾンもカカクコムも楽天も、ネット通販は一緒のように考えられている人がいますが、私人が使うサイトと、業務で使うサイトは、必要とされるものが全然違います。これが理解できないと、MonotaROの強さがわからないと思います。
 MonotaROの扱っている商品は、顧客が同じようなものを繰り返し購入し、消耗し、購入し、という商品です。アマゾンのように、客がじっくり選んで一品を一度きり購入するというスタイルではありません。ホームセンターの客は、アマゾンタイプが中心だと思うので、棲み分けると思っています。消耗品のストックが切れたときに、いちいちホームセンターに行っていられない。あくまでライバルは、零細訪問工具商。

 グレンジャーは当面、これ以上の株を買い増す意図はないそうです。この機会に株式消却もおこなわれて、(損益ベースでは純資産は増加しましたが)純資産は20年度末の42億円から、21年度末には28億円となりました。そのことから、8億円の借入(平均利率1.14%)がなされ、無借金企業ではなくなりましたが、資金繰りに無理はなさそうです。8億円といえば、次の1年分のFCF分ぐらいでしょうか。株主持分が増えるわけですし、いいんじゃないでしょうか。

 じゃ、売上推移とか。

-売上高(A)経常利益(B)(B/A)会員数(千件)
20上6,6506599.9%-
20下7,4185377.2%342
21上6,7234426.6%399
21下7,4864365.8%418
22.1Q4,0832957.2%484

  

 利益率が落ちていっているのは、不況期特有のことですから、こんなもの。売上はよく、キープ出来ていると思います。
 この1Qあたりからはっきりと回復が見えています。かなりいいと思います。

 キャッシュフローも、以下のとおり安定しています。

-営業CF投資CF
20下422△160
21上468△126
21下565△82

 では、ROEを分解してみます。

 ROEは、売上高純利益率 x 総資産回転率 x 財務レバレッジ、です。
 

 下記式の、

 第1項の売上高純利益率は、純利益/売上高、

 第2項の総資産回転率は、売上高/総資産、

 第3項の財務レバレッジは、総資産/株主持分、

 3つを掛け合わせて、分子と分母を消していくと、純利益/株主持分、すなわち、ROEになります。ちなみに、貸借対照表上の数字は、当年度と前年度の数字を足して2で割っていますので、四季報とかの数字とは異なります。


19.12期=4.2% x 2.34回 x 1.64倍 = ROE16.2%
20.12期=8.0% x 2.58回 x 1.50倍 = ROE30.8%

21.12期=3.5% x 2.34回 x1.71倍 = ROE13.9%

 法人税が本格的にかかってきたのは21.12期からですので、それ以前の利益率は割り引く必要があります。それを考えると、景気低迷の落ち込みを、よく抑えています。


 私は、尼崎の工場地帯にある本社の前をよく通行するんですが、大規模な物流施設の中に入居しています。その施設は、シンガポール政府投資公社が設立したグローバル・ロジスティック・プロパティーズという企業の日本法人なのですが、トラックがひっきりなしに出入りする物流施設です(新しくてキレイですけど)。こんなところに本社があるのか、と思います。地味ですけど、良い企業だと思います。
 

  □ これまでの投稿 □

1回目 2008.08.24

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