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2010.03.07

セルシス

3回目の投稿です。最近、漫画家うめさんが、アマゾンのkindleで日本語コミックを発売していることを知りました。その顛末は、漫画家うめさんのサイトで記されていますが、そのために要する作業量は、非常に「簡単」なことがわかりました。その作業の部分にセルシスの優位性があると考えていたので、今後の技術進化も考えると、セルシスの優位性に対する期待が大きく萎みます。

 ちなみに、アマゾンは独自フォーマットですが、アップルは、EPUBというオープンなフォーマットを採用しています。

 さて、著者の側にとって、電子出版のメリットは、何といっても印税です。

  一般的に、紙媒体の書籍出版の収益構造は次のようなかんじです。(「個人が印税35%の電子書籍を出版できる時代 - Amazon Kindleの衝撃」による

 著者への印税が7-10%

 製本原価が35-40%

 出版会社取り分が20-28%

 取次および書店マージン率が25-35%

 一方、kindleのアマゾンの場合は、アマゾン65%、著者35%だったのですが、アップルのiPadに対抗するためなのか、最近、著者70%というプランに変更されました(アップルも70%)。
 つまり、書籍の値段が同じなら、1冊あたりの印税は、電子書籍は紙媒体に比べて、最大で10倍!
 別の見方をすれば、著者の取り分を同じとすれば、書籍はぐんと安くできます。例えば、紙媒体の単行本が600円とします。著者の取り分は60円ぐらい。一方、電子書籍の値段を90円にしても、著者の取り分は同じ60円。著者にとれば、どう考えても、電子出版の方がいいですね。

 「池田信夫ブログ」によると、紙媒体の場合に、出版社は25%をとるといっても返品リスクも負うので、ハイリスク・ローリターンのビジネスだといいます。かといって、流通もそれほど潤っているようにも思えない。つまり、皆が行き詰まっていたのです。

 どこがネックとなっているのでしょう。出版社?流通?

 MacPeople2010.4月号のインタビューで、前述のうめさんは述べています。

 − kindle storeや iBook Storeでは、漫画家個人が作品を世界に販売できることになりますね。

 今回は、試験的な取り組みであって、全ての作品を独自配信しようとは思っていません。独自配信はリスクもあります。

 − 出版社経由で電子書籍を配信するメリットは何でしょうか?

 今回のkindleへの配信で感じたことですが、作品を読んだ海外の読者から何らかの訴訟を起こされた場合の法的リスクを考えると、作品の内容によっては出版社を後ろ盾にしたほうが安心ですよね。仮にこちらの主張が通ったとしても、裁判のために現地に向かうのは大変ですから。

 出版社のしている、プロデューサーとしての役割、あるいはマネージャーとしての役割は、完全に消えることはないのかもしれません。電子出版化で大きくダメージを受けるのは、「人依存」の部分ではなく「技術」とか「仕組み」の部分。特に、旧いプラットフォーム。そのへんは、「iPad対Kindle、勝負あり。そして出版の未来。 - 磯崎哲也」が、非常に参考になります。

 さて、セルシスの今後。制作の現場を川上、読者を川下として、川上に位置するセルシスが、できるだけ下のほうに流れてきて支配して欲しいと期待していたわけですが、残念ながら、川中に大きなゴリラが進出してきてしまったようです。
 携帯への配信は、小さな画面で見せる工夫が随所にあるので、セルシスの優位性はあります。しかし、その特需はせいぜい、1、2年。その後は、川上でいかに収益をあげていくのか、それしか生き残る道はないような気がします。やっぱり、ゴリラに投資するのが、一番なのかなあと思ったりします。

  □ これまでの投稿 □

1回目 2009.08.01

2回目 2009.12.06

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コメント

技術のみが参入障壁の企業てのは弱いと思うわ。

携帯の漫画ってのはニッチすぎて成長性が限られるし、逆に予想外の成長を見せた場合大手の襲撃を受けて耐えられないしで。

電子書籍に賭けるなら日本だと角川あたりになるんじゃないかねえ?

 本文の繰り返しになりますが、技術であるか、仕組みであるかは、大した問題ではなくて、
 プラットフォームに投資したいですね。
 ということで、コンテンツ企業には興味はありません。

 電子書籍の分野は、アップルだけで十分です。
 
 セルシスへの興味は、クリエイターサポートがどうなるか。本格的に投資する状況ではないと思いますが。

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