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2009.10.25

国債の利払い

昨日の日経新聞1面に、国債の利払いが9兆円を超えるという記事が出ていました。私は、国の財政状況などについては、ニュースで断片的に知るだけで全体像もつかんでいなかったのですが、そこで載せられていたグラフが気になりました。

091025_2


 私の素人的イメージでは、国債の利払いは年々、増え続ける一方の「右肩上がり」で危機的状況に来ているというものでした。しかし、このグラフを見ると、今年度に急速に悪化するとはいえ、1980年代中旬から90年代後半にかけての水準に戻るだけのようです。意外でした(といっても良くない状況であることは違いないのですが)。
 理由をあれこれ考えてみましたがわかりません。おそらく、過去の高金利国債が、どんどん償還されていき、低金利のものだけが残ってきているのではないでしょうか。だとしても、小泉さんの時代には、財政再建はそれなりに進んでいたことがわかります。
(国債発行状況の財務省の発表資料はこちら
 

 日本国の財政については、「危機的状況で、これ以上、国債発行を増やしてはならない」という意見と、「国債を増発して景気回復につくせ」という意見とがあり、正直、よくわかりません。

 しかし、こういう経済状況なら、できることなら国が景気刺激してくれるほうがいいに決まっています(内容によるけど)。
 で、以下、国債増発派について考えてみることとします。

 中央政府国債発行残高は860兆円ほどですが、地方及び社会保障基金も加えて、保有金融資産を引くと、490兆円ぐらいです。これが多いのか少ないのか。国債増発派の意見は、国内(主に家計)で大半は吸収され、低金利で調達されるのだから問題はない、というものです。これを家計に例えると、

 日本家族は、夫が稼いできた給料から一定割合を家計に入れて、妻がやりくりしています。しかし、家計のやりくりがうまくいかず、ずっと赤字が続いており、490兆円もの借金を抱えてしまいました。もっとも、借金と言っても外部から借りているのではありません。夫から借りています。何しろ、夫は1400兆円(負債引くと1000兆円)の資金を持っています。そういうわけで、家計としては火の車ですが、家庭内のやり取りでまかなっており、家族としては、多くの預金を持っています。対外的な収支は、ずっとプラスです。
 そこで、妻は夫に頼んでみました。「あなたへの借金を、そろそろ返したいの。でも、その財源がないから、家計負担の割合を増やしてちょうだい」。つまり、夫から金を巻き上げて、そのお金で夫に金を返すと言うのです。夫は、どのように返答すれば良いのでしょうか。
 「お金を返して欲しいから、家計への負担割合を増やそう」
 あるいは
 「負担が増えるぐらいなら、借金は今のままでいいから」

 どちらにしても、前提として押さえるべきは、あたりまえですが「家計の資産残高」が「政府の負債残高」を超過していることです(もちろん、それは必要条件であって、十分条件ではありません)。で、日本銀行のサイトから、資料を引っ張りだしてきました(単位は兆円)。



国の資産マイナス負債家計の資産マイナス負債
1995△76848
1996△110847
1997△143872
1998△201911
1999△234983
2000△277974
2001△303968
2002△350959
2003△3741018
2004△3961037
2005△4241123
2006△4251150
2007△4591080
2008△4891029

 国債増発派の意見の是非を考えるには、この数字をどう見るかです。

「家計の資産残高」>「政府の負債残高」が、永遠に続くのでしょうか。
 仮に続くとしても、政府への貸し出しより、民間投資への貸し出しのほうがいいに決まっています。あるいは、国債を家計が引き受けるのではなく日銀にお願いするインフレ路線というのもあります。あと、

「国債発行を増やして景気を刺激すれば、家計の預金も増えるから大丈夫」
「預金の多くは高齢者が持っており、今後、どんどん取り崩してくるから心配」
「預金が取り崩されて消費に回れば、税収入も増えて国債発行は少なくできる」
「景気が回復して民間貸し出しが増えれば、銀行の国債購入余力が減り金利が上昇するではないか」
「金利が上昇すれば、円高となり、せっかく内需を振興しても、輸出型企業の業績が落ちて相殺されてしまう」

 どれもこれも、正しく思えます。
 係数の程度がわからない複雑方程式だからこそ、専門家の意見が割れているのですが。
 私には、どちらがどの程度正しいのか、結論が、まだありません。

 しかし、民主党政権は、2,3兆円を減らすために、頑張っておられますが、これはこれで、たまりたまった無駄を一掃するために必要なことだと思いますが、しかし、
 公約実行を我慢するほどのことなのかな、と思います。

 選挙中、民主党は「バラマキで財源がない」と批判されすぎて、意固地になっているようなかんじです。

 子供手当については、
「どうせ、遊びママのパチンコ代に消えるだけだろ」という意見もありますが、経済的には、消費拡大につながるマシな使い方で、
「子供が大学に行くときに進学費用に貯めておこう」が、経済的には最悪の使い方です。経済的に正しいことと、道徳的に正しいことが異なるのが、悲しいところですが、
 国債と家計貯蓄の問題も、似たような部分があります。


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