iPhoneとDSとPSP
現在、任天堂のDS本体の累計販売数が、約1億台。ソニーのPSPが、5000万台。iPhone(iPodTouch含む)が4500万台を超えました。最近は、iPhoneを他の携帯ゲーム機のライバル視するような記事もよく見かけます。しかし、当分は、そうはならないと思えます。
電車のなかでよく見かける「PSPをプレイしている少年」が、DSはともかく、iPhoneをプレイするというイメージはわきません。
逆に、私は、ちょっとした時間の合間に、iPhoneでゲームをしたりすることもありますが、ビジネスバッグに、PSPやDSを入れて持ち歩こうなんて気にはなりません。
今のところは、ユーザー層が、明らかに違うように思います(もっとも、アメリカでは、iPodTouchが10代に人気らしいですが)
これについて、MacPeople2009.10号に、メタルギアシリーズで有名な小島秀夫氏のインタビューが載っていました。
- iPhone版の「メタルギアソリッドタッチ」の開発についてお聞かせください-
いちばん意識したのは、ユーザー層が今までと大きく違うということですね。ゲーム好きな人はPSPやDSでじっくりとやり、ケータイはもっと単純な「落ちゲー」とかが人気ですが、iPhoneはこれらとは全然違う。普段から音楽を聴いてた人が、iPhoneで映像も楽しむようになり、そういう人が今度はゲームもやるというマシンなんです。(略)
メタルギアの世界観をファッショナブルに楽しんでもらいたかったんです。なので操作系もシンプルにしてありますよ。(略)あえてタッチ操作とiPhone本体を傾けるだけで遊べるようにしました。クラシック音楽をラップバージョンにして、若者に噛み砕いて聴いてもらう。あんな感じに近いですね。
同じゲームでも、味付けが全く変えてあるということです。私は、「メタルギアソリッドタッチ」をiPhone版で始めてプレイしてみました。iPhoneのような指タッチより、コントローラー向きのゲームかな、と思わないでもありませんでしたが、それはそれで、なかなか楽しめると思いました(これで450円です)。iTunesStoreでのレビューが散々の酷評ですが、それは、小説を読んでから映画を観た人が、原作のイメージに合わないといっているようなものだと思います。(メタルギアについては、「iPhoneアプリをおすすめするAppBank」さんによるレビューも、リンクしておきます。)
まあ、そういうことで、DSやPSPと、ゲーム機としてのiPhoneですが、当分は、ゆるやかに棲み分けるかもしれません。が、それは、5年も10年も続かないんじゃないかと思います。
iPhoneはモバイルコンピューティングの汎用機であり、DSやPSPは、ゲーム専用機です。似たような事例として、10数年前に、パソコンとワープロ専用機は棲み分けると論じられた時期があり(結果はご存知のとおり)、ワープロ専用機にネット接続機能がついたりしていましたが、かなり無理がありました。
同じような意識で、DSやPSPを観ていくと、もっとも肝心の《ダウンロード販売》という部分で、DSもPSPも順調とは言えないといっていいと思います。
例えば、後掲の記事によると、今年6月末の、ネット販売タイトル本数は、DSが56本、PSPが297本、iPhoneが11,779本(ゲームのみ。アプリ全体では6万本を超える)。
「日経リサーチによるビジネスパーソンのDS/DSi利用実態調査」によると、DSiユーザーのうち「ネットワーク経由でソフトを利用するようになった」という人が22.3%。これは、20代以上の(ITリテラシーが高いであろう)ユーザー対象の調査であることを考えると、相当に低いと思います。
予想に大きく賭けるわけにはいかないので、現状だけ確認しておこうと思いますが、
その現状を丁寧に述べておられる投稿が、「iPhone 3G Wiki」さんの「iPhone 3G S登場で大きく変化するゲーム機市場」です。
もう一つ、「iPhone 3G Wiki」さんが、ドコモをばっさり斬っているのが、「docomoからiPhoneが出ない理由」です(コメント欄で、ドコモ派とはげしくバトルしていますが)。
最近流行の「エコシステム(ある業界にかかわる複数の企業が協調的に活動して業界全体で収益構造を維持し、発展させていこうという考え方)」という見方で興味深い内容となっています。
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