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2009.07.24

シンプレクス・テクノロジー

5回目の投稿です。FXの悪徳業者摘発のニュースが、しょっちゅう報道されています。国が一生懸命、FXの主体を、OTC(相対取引)から取引所へと移そうと世論を誘導しているかのようです。先行して開設した取引所くりっく365のシェアは、現状ではOTC(相対取引)の1割程度の規模しかないありません。しかし、どう考えても、取引所主体にシェアが移っていくと予想されます。そんななか、今週、第2の取引所である大証FXがスタートしました。その大証FXにASPでシステムを提供しているのがシンプレクスです。

 日本のFXの現況ですが、マネーパートナーズの決算資料から、業界の口座数推移(上位12社の合計)でいくと、08.3期で100万口座ぐらい。09.3期で170万口座ぐらい、のようです。順調に伸びているようですが、証拠金残高(上位16社の合計)は、3500億円位で安定(低迷)しています。実際は、悪徳業者等含めると、この何割増といったところではないでしょうか。
 
 09.7.21日経新聞によると、「FXの経験は?」の質問に対し、
 「現在している」が、7%
 「過去にある」が、5%
 「取引をしたことはないが興味はある」が45%。
 7%とは、異常に高いです(上記口座数と合わない)。インターネット調査(マクロミル)だからでしょうか。「興味がある」が45%。潜在的予備軍、本当でしょうか?本当なら、市場成長はかなり期待できますが。
 「現在している」のうち、レベレッジ2倍以内は、たった14%。ここがポイントですね。マネーゲームなら、当然、レバレッジは高くなります。しかし、外貨預金の一種と考えて利用するようになれば低くなるはず。同調査で、FXのイメージについて「ハイリスクハイリターン」が7割、「少ない資金で大きな投資が可能」「ギャンブル」
が4割弱。一方、「取引コストが安い」が1割強。この割合が高くなれば、FXはマネーゲームの範疇を超えて普及していくと思います(その場合、シンプレクスのような高度な分析ツールはいらないわけですが)。
 
 FXは、ハイリスクのマネーゲームと思われていますが、レバレッジをかけなければ外貨預金と、ほぼ同じです。ただし、制度的に、外貨預金よりも有利なのです。そのへんの認知が進めば、もっと普及する可能性があります。
 
 日本銀行の08年度の統計によると、家計の保有する金融資産は1410兆円。うち流動及び定期預金は738兆円。うち外貨預金は5兆円。心理的な抵抗さえ乗り越えれば、激増する可能性はあります。ちなみに、株式は50兆円。FX含む金融派生商品は0.25兆円。
 
 円現金預金(738兆円)→外貨預金(5兆円)→FX
 
 ほんの一部が動けば、FXの市場規模は、すごいことになります。
 
 さて、シンプレクスですが、
 ご存知のとおり、FX含めた金融市場に向けて2つの事業をおこなっています。
 1つめが、設立当初からの事業で、金融機関などの機関投資家向けのシステム、SI事業です。市場規模はだいたい500億円ぐらいで、シンプレクスの現在のシェアは12%程度だということです。これを30%程度にまで高めていきたいとのこと。この分野での業界平均の売上高営業利益率は6.8%(07.3期)、NTTデータでも8.6%、それに対してシンプレクスは23.9%。高価値(に見合う高価格)で差別化しているようです。
 2つめが、新規事業で、個人投資家などに向けたシステム、UMS事業です。これは、ハードもソフトもシンプレクスが用意して、ASPで証券会社などの事業会社に提供します。事業会社は、これを使って、会員にサービスを提供し、その利用料の一定割合(会員数だったり利用数だったりするみたいですが)を、シンプレクスがいただくというものです。この市場規模はつかみにくいけれども、こちらも、おおまかに500億円ぐらいではないかとのことです。
 どちらも、12.3期には売上総利益を30億円台としたいということです。

 さて、09.3期決算ですが、売上高は第2次中期事業計画上で1年前倒しの数字となっています。

売上高が、105.0億円会社予想(前期決算時)に対して119.4億円(前年比46.9%UP)
経常利益が、25.0億円予想に対して24.8億円(前年比19.8%UP)
  
 当期利益は、特別損失が出ているので前期比マイナスとなっています。持株であり提携先であるビジネスブレイン太田昭和の株式下落によるもの等です。ビジネスブレイン太田昭和は、利益面でも悪化しているので、今期以降も評価損の連続とならないか気になるところです。
 受注は順調です。売上が伸びれば、開発費も前倒しすると会社側も述べていますので利益自体は、そんなに気にしていません。実際、研究開発費は、08.3期の364百万円から、09.3期には942百万円と、大幅アップ。今期の売上高は、21%アップの145億円を見込んでいますが、研究開発費も1200百万円も見込んでいます。
 強いていえば、営業CFが悪化(697百万円落ちている)しています。それも、前受金とか売上債権とか、いわゆる利益の質と言われるところ。まあ、たいしたことないと思うので、次の1Q決算時にずれ込んでいるのかだけ注目しておきます。
 それと、自己株式を1156百万円取得しています。これは、手持ち資金ではなく長期借入1175百万円で対応しています。これについては、会社側は次のように述べています。
 

Q.7 取得した自社株はどのように利用するのか教えてください。

A.7 企業が資金調達を必要とする際には、財務上、「借入で行うか」or「新株発行により行うか」という検討をします。その際に後者である「新株発行により行う」場合において、自社株を利用することがはじめて選択肢となりえるということになります。
 よって、自社株を考える上での前提として、自社株の消却の有無に関わらず、経済的な効果にはインパクトがない点をまずご理解いただきたいと思います。
 なお、自社株の取得は、株価が割安であると判断でき、かつ、手元資金に余裕がある局面において実行していく方針です。(第12期株主総会FAQ


 
 ちょっとわかりにくいですけど、償却の意志はないということだと思います。
 
 では、私の関心事であるUMS事業についてだけ、少し拾います。
 
 UMS事業の中核は、ASPサービスであるSPRINTです。
 採用先は、株式、先物・オプションで、オリックス証券、ジョインベスト証券、松井証券、等。
 債券でオリックス証券。
 FXのOTC(相対取引)では、ジョインベスト証券、ソニー銀行、マネックスFX、マネーパートナーズ、三菱商事フューチャーズ証券、スター為替、等。同じくFXのくりっく365では、スター為替、ユニマット証券、豊商事、等。
 大証FXでは、インヴァスト証券、光世証券、コスモ証券、そしあす証券、ひまわり証券、その他4社(内定)となっています。
 大証FXは、SPRINTだけではなく、前回に書いたように、取引所自体のシステムも、UMSで契約しています。ですから、大証FXの場合は、2度美味しいということになります。
 ASPは、そのほかに、仕組み債の時価評価サービスも始めています。
 簡単に言うと、FX利用者が増えれば増えるほど、シンプレクスには、利用料がちゃりんちゃりんと入金されてくるという関所型ビジネスというわけです。さらに、それが、大証FXなら、更によろしい。関所の保守をしているだけで、通行量が増えれば、入ってくる通行料金が、どんどん増えていきます。
 
 ちなみに、シンプレクスの大証FX関連の売上予測は、10.3時点で月次取引数量67万枚(売上5800万円)を前提としています。くりっく365の09.06の月次取引数量は640万枚ですから、大証FXがここに追いつくと、シンプレクスの売上は単純計算で年66億円となります。
 
 さて、そのUMS事業の実績数字ですが、前回投稿時には、09.3期には、1.8億円/月予想(努力目標2.0億円/月)に懐疑的なことを書きましたが、蓋を開けてみると、実績値2.4億円/月でした。さらに、現在の契約済案件だけで10.3期には、3.7億円/月(努力目標としては4.0億円/月)ということです。相当に順調だと思います。
 
 もっとも、FX偏重なのは気になるところですね。これについて、決算説明会のなかで、会社側はこのように語っています。
 
 Q.5UMS事業の長期的なビジョンについてお聞かせください。

A.5
 ひとつめのビジョンとしてはFX偏重の体質からの脱却の意味もこめて、現在投資家から注目されているCFDをあらたにサービスに加えていく見通しです。CFDとは、Contract for differenceの略称で、様々な金融商品の差額売買を証拠金によって行う差金決済取引のことであり、第2のFXとして期待されているものです。
 なお、現時点で当社は個人投資家向けインターネット取引システム「SPRINT」の新しい商品ラインナップとしてCFDを加えるべく準備を進めています。
 もう一方のビジョンとしてはPTSなど電子取引分野に大きな可能性を感じており、今後前向きに参入を検討していきたいと考えています。PTSとは、Proprietary trading systemの略称で、証券取引所ではなく、証券会社の電子情報システムを使用して行われる証券売買方式を特徴とする私設取引システムを意味します。
米国ではECN(電子証券取引ネットワーク)と呼ばれ、1960年代から盛んに取引が行われています。

 良いと思います。さらに、
 

 アメリカ子会社は、UMS事業における新サービス開発のための研究開発拠点、および今後の海外の金融機関への営業開始に先行したマーケティング拠点として位置づけています。
 事業の国際化は、第二次中期事業計画の終了後のテーマと考えており、2012年3月期まではUMS事業を中心に国内の事業基盤を固めることに注力していきたいと考えています。
 ただし3年後以降の事業の国際化を視野に入れ、アメリカ子会社でのマーケティング活動以外にも、当社役員がアメリカや中国にわたり現地で情報収集を行うなど、適宜動き出しています。(第12期株主総会FAQ

 私は「中国に渡り現地で」の部分に、目がとまりました。

 
    □ これまでの投稿 □

1回目 2006.8.18
2回目 2006.11.17
3回目 2007.01.06
4回目 2008.06.06

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