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2008.10.04

フェローテック

日本政府が、国策として「2030年に現状の40倍を目指す」という市場(業界)があります。来年度予算では、その製品を購入するときに補助金が出るようになるとか。

 それが、太陽光発電(太陽電池)です。
 
 よく、投資本などでは「急成長業界では、売上も伸びるが、競争が激しく費用も増大するので、儲からない」と書かれていますが、確かに、ありうることです。しかし、調べもせずに決めつけるのは、投資家として失格。何でも首を突っ込んで調べてみましょう。調べるだけならタダですから。今、わかっているのは、業界全体の売上は確実に急拡大するであろうことだけです。


 石油、石炭、原子力に代替する新エネルギーとして注目を浴びているのが太陽光発電です。利点としては、太陽光には枯渇の心配がない。温室効果ガスを出さない。廃棄物など副産物の発生がない。小規模で分散して設置できるため、需要地の近くで、任意の規模で発電できる。設置に必要な要件が少なく設置可能面積が広い。エネルギー自給率を高められる。等々、いくらでもあります。

 一方、欠点としては、何といってもコストが高いことです。そこさえ、クリアできたらいいことずくめですね。
 現在、東京電力では(基本料金を除き)1kWhあたり22円程度で電力を購入できるのに比べ、太陽光発電は46円程度かかるそうです。2倍です。
 ただ、太陽光発電は、技術進歩と普及量産化により、コストは下がり続けており、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2004年に作成した「PV2030」という技術開発計画によると、2007年時点のkw当たり発電コスト46円を、2010年に23円、2020年に14円、2030年には7円まで削減するのが目標だそうです。そこまでいくと、既存エネルギーと逆転します(原子力が7円)。
 

 太陽光発電の発電コストと既存の電力会社による従来の電力コストが同一になる時点(グリッド・パリティ)はいつだろうか。ドイツのミュンヘンで2008年6月に開催された展示会「Intersolar 2008」では、2012年や2015年という水準が話題に上った。「従来の発電方法の電力コストが今後上昇することを考慮にいれても、2012年は難しいが、2015年はターゲットに入る」(三洋電機のソーラー事業部で事業企画部の担当部長を務める脇坂健一郎氏)。
(EE Times Japan 08.9.16)

 シャープの太陽電池戦略の本命はその次の段階にある。2010年3月までの稼働を目指している大阪府堺市の新工場がその舞台だ。  堺工場は、次世代の液晶工場と思われがちだが、同時に世界屈指の大規模な太陽電池工場ともいえる。(略)  つまり堺工場が本格稼働すれば、太陽電池の発電コストは、1kWh当たり23円をさらに下回る可能性が高い。仮に太陽電池が設置後4〜5年で元が取れれば、もはや必需品になる。液晶テレビ市場を作ったシャープが次に仕掛けるのは、「1家に1台・太陽電池」時代といえる。「シャープが太陽電池コスト半減、堺市の新工場でもくろむ“秘策”」日経エコロジー

 時間の問題のようです。
 その太陽光発電市場ですが、全世界の年産規模は、2002年の50万kWに対して、2007年は373万W(1位ドイツで110万kW、2位スペインで34万kW)。急拡大しています。例えば、中国では、上海郊外に2011年の完成を目指して100kW級の太陽光発電所の建設を進めています(これだけで2007年度の世界年産規模の4分の1弱の規模です)。現在、世界の総発電量のうち太陽光発電の占める割合は、わずか0.04%です。国際エネルギー機関(IEA)は、この比率を10%にまで高めることを提言していますが、そこまでいくと250倍になります。
 調べるまでは、ニッチ市場の域を出ないのかなと漠然と思っていましたが、これは、ひょっとするとひょっとする巨大市場の誕生ではないでしょうか。
 
 もう一度書きます。ひょっとするとひょっとすると。
 

 日本メーカー全体の太陽電池セルの年間生産能力は、2008年3月時点で約1.5GW(ギガワット)(図1)。3年後の2011年3月には、その約2.5倍の3.8GWに達する見通しだ。(NikkeiBP 08.09.30

 
 将来のことはともかく、3年後に2.5倍の市場拡大(日本のみ)でも魅力的ですが。
 
 では、関連企業ですが、日本企業は一貫生産が多いようですが、外国は分業体制が多いようで、そこに日本企業がOEM供給したりもしているようです。
 
 太陽電池素子生産シェアの2007年で
 
 日本 24.6%
   シャープ 9.7%
   京セラ 5.5%
   三洋電機 4.4%
 中国 22.0%
   サンテック8.8%
 ドイツ 19.8%
   Qセルズ10.4%
 米国 10.2%
   ファーストソーラー 5.5%
 台湾 9.9%
   モテック 5.3%
   
 などとなっています。
 
 かつては、日本のお家芸と言われた分野ですが、かなり後退してきています。2006年度は、シャープが17.4%でダントツの首位だったのです。
 
 

このように日本メーカーが足踏みしている理由として、専門家はおしなべて2つの理由を挙げる。1つは、大規模資本調達を含めた世界的な競争激化に、日本メーカー単独ではキャッチアップできないということ。特にこれは原料となるシリコン調達を「買い負ける」要因にもなっているようだ。もう1つは、政府による推進策の停滞。2005年度に太陽電池普及のための補助制度が廃止され、住宅向けの国内需要が急激に冷え込んだという。

 これに対して、Qセルズのあるドイツでは、政府による強力なテコ入れが行われている。家庭や事業所の発電を、電力会社が市場価格よりも数倍高い価格で買い取ることを義務づけている。このやり方ならば、10年前後で設備投資は回収できるとしている。
 「「市場」と「技術」のリーダーが勝てない? ドイツや中国が急伸する太陽電池市場」日経NBonline2008.9.25


 
 ドイツの太陽光発電が劇的に成長した主因は2004年に導入したフィード・イン・タリフ(FIT)という制度だ。太陽光発電した電力を電力会社が通常電力の価格より2〜3倍も高く買い上げるよう義務づける仕組みで、(略)「儲けが政府によって保証された仕組み」ができたせいで、投資対象として太陽発電設備を導入する法人や個人が爆発的に増え、大量の資金が太陽光発電の業界に流れ込み、新興メーカーが続々と登場した。世界首位に立ったQセルズも1999年設立、2005年に上場したばかりの新興企業。(略)
 米国の太陽光発電関連ベンチャーへの投資額は2006年に3.2億ドル(約350億円)だったのが、2007年は公表分だけでも10億ドル(約1000億円)を突破した。太陽電池関連のベンチャーは全米に少なくとも50社以上あり、うち22社がシリコンバレーに本社を置いている。(Photon International, 2007年12月号)
 ベンチャーキャピタルのApax Partnersは前述のQセルズに14億円投資し、同社が2005年に上場した際390億円に上る上場益を得た。太陽電池の構造自体は単純なのでこうして集めた巨額の資金で製造設備やシリコン原料を確保しさえすれば、誰でも(と言うと言いすぎだが)比較的簡単に製造に参入できる。2002年設立のナノソーラー(米国)はベンチャーでありながら2006年に1億ドルを調達し、シャープ並みの製造設備を建設している。またサンテックパワー(中国)は2005年に中国企業として初めてニューヨーク証券取引所に上場し4億ドルを調達、日本のモジュールメーカーMSKのほか原料シリコンメーカーなどを積極的に買収している。 「急増する「太陽光発電ベンチャー」〜黒い電池パネルをイメージするようでは遅れてます」日経NBonline2008.7.3

 
 各国政府が政策として太陽光発電を後押ししており、ドイツのほか、買取優遇政策は、イタリアは2倍、スペインは3倍、韓国は3倍。上記記事の「誰でも(と言うと言いすぎだが)比較的簡単に製造に参入できる」という部分がミソです。そのような状況化で、投資ファンド等が運用益を求めて、参入してきています。かなり熱くなってきているようですね。
 
 ここでブレイクして、冷めた意見を。
 京セラの前田辰巳・執行役員専務ソーラーエネルギー事業本部長は29日、ロイターのインタユーに応じ、現在は電力会社による一般家庭向けの料金と比べ、約2倍の高さとなっている太陽電池の発電価格を今後5─6年で同水準に引き下げることを目指すと述べた。

 前田専務は、現在の太陽電池市場は、政策的な要因で「バブル」が発生していると指摘。同電池を本格普及させるには、製造コストの削減を進め、政策要因に左右されない体質への転換が必要との認識を示した。(略)前田専務は、インタビューで「今のソーラー(太陽電池)市場はバブル。(世界のメーカーの)8割はつぶれる」と述べた。欧州で市場拡大をリードしてきたドイツとスペインでは、両国政府が固定価格買取制度で新規買い取り価格の引き下げに動き出した。前田専務は、今後の太陽電池市場について「価格が大幅な値崩れを起こすはず。そうした中で、競争力のない設備を入れてしまうと、金利・償却のコストが足を引っ張る」などと、同社が増産計画に慎重なスタンスを取っている理由を語った。(ロイター2008.9.29


 
 太陽電池の製造は、半導体製造に工程が似ています(薄膜系は液晶に)が、半導体に比べるとかなり簡単、かつ初期投資額が低い(製造装置等が安い)ので、新規参入が容易なのです(といっても日本メーカー性は外国製に比べてかなり質が良いそうですが)。それで過剰新規参入で上の記事となったわけです。これからも競争激化が予想され、製造メーカーを投資対象とするのは見送り。
 
 しかし、バブリーなうちに、そいつら相手に儲ければいいじゃないか。そこで、私が投資対象として良いのではないかと思うのが、太陽電池の製造装置のメーカーなのです。
 
 さて、太陽電池の種類に話しは移りますが、研究開発は日進月歩で進んでいますから、多種多様なものがあります(Wikipedia「太陽電池」参照
 現時点で主なものは、
 
(1)シリコン系
  1 単結晶系 40%弱
  2 多結晶系 40%強
  3 薄膜系 5%
  4 単結晶+薄膜 4%
(2)それ以外 10%弱

 といった感じ。
 シリコン系というのは、シリコン(珪素)を原材料とするものです。シリコンは地球上では、酸素の次に多く存在する元素(原子番号14)だそうです。無尽大と考えて良さそうです。ただ、そこから、太陽電池の原材料となる高純度シリコン原料を生産するのは、現在、まったく需要に追いつかない状態です。高純度シリコン原料生産については、日本ではトクヤマとか三菱マテリアルとかいったメーカーがありますが、ここに参入するには100億円規模の大規模な設備投資が必要だとのことです。そのなかで「薄膜系」というのは、液晶を作るみたいにシリコンを薄く塗って太陽電池とするもので、シリコン使用量は100分の1ですむようです。液晶や有機ELと製造が似ているため(トッキのHP参照)液晶メーカー等に分があるようです。前述のとおり、シャープは2010年稼働に向けて、大阪府堺市に薄膜系の太陽光発電施設を建設中で、次世代はこちらが主流になる可能性があります。
 

 「今後、有望視されるのはシリコン薄膜系」と語るのは、太陽光発電研究の第一人者である小長井誠・東京工業大学太陽光発電システム研究センター長だ。
 シリコン薄膜系のエネルギー変換効率はモジュールで10%前後、シリコンバルク系の15%前後に対し変換効率が3分の2程度にとどまっているのが現状。しかし、シリコン薄膜系のシリコン使用量はシリコンバルク系の100分の1にすぎず、急騰しているシリコン価格にも対応できる。また、シリコンバルク系と比べてシリコン薄膜系は製造工程がシンプルで、さらに現状の性能のものであれば、5m2規模の大面積の太陽電池をロール紙のように製造できるという強みもある。(「世界一奪還狙う太陽光発電」NikkeiBP2008.9.29

 
 「2013年までは薄膜Siと結晶Siが両輪で進み、2013年以降は薄膜Siが主流になるだろう」(シャープ 代表取締役社長の片山幹雄氏)。シャープは、記者懇談会で太陽電池事業の今後の見通しを示した。薄膜Siが主流になる理由として、「結晶Siは材料を作るのも手に入れるのも大変。そのため、結晶Siはコストが下がらない」(片山氏)点を挙げた。
 (Tech on 2007.8.3

 
 しかし、ですね。これらはシリコン不足を前提としているのですが、
 
 半導体、太陽電池の原料である多結晶シリコンの生産量が、2010年に07年生産実績比の2倍の8万トンを超える見通しになった。国内外の主要シリコンメーカーが相次ぎ増産を打ち出したほか、太陽電池向け専業の新規参入も増えている。ここ数年、太陽光発電の市場が急拡大、シリコン不足が深刻化した。太陽電池各社はシリコン使用量が少ない薄膜型や化合物型に技術開発や投資をシフトさせている。ただ2010年にはシリコン需給が大幅に緩和される見込みもあり、今後、慎重な経営判断が求められそうだ。(日刊工業新聞2008.9.5

 
 意見が、いろいろだ(笑)。
 
 日経新聞のニュースを見ていると《薄膜系》の勢いがすごいですが、ニュース源が日本メーカーに偏っていますからね。
 考えてもきりがないので、、《薄膜系》はまた後日考えるとして、今回の話しは、ここからはシェアの高い《単結晶系》《多結晶系》に絞りますが、大まかに言って《単結晶系>多結晶系》の順で性能が良い(太陽光から電力への変換効率が良い)、一方、、コスト面では同じ基板サイズで比較すれば《多結晶系》は《単結晶系》はより2割ほど安いうえに大量化が可能とのこと。
 
 変換効率が高ければ高いほど、より小さい面積で大きな電力が得られる。このように考えると、「他社製品に比べて変換効率が1/2でも、その製造コストが1/2なら十分競争できる」という考えは通用しにくいことが分かる。「変換効率が太陽電池の命だ。その点は、日本の一般住宅向けにしても、FIT向けにしても同じだ」(三洋電機の脇坂氏)。(略)
 変換効率だけを考えると単結晶Siが望ましい。しかし、単結晶Siの製造コストがかさむ。このため単結晶Siを採用した太陽電池は、2007年に全生産量の4割を下回った。

 一方、多結晶Siの弱点は変換効率が単結晶Siよりも低いことだ。結晶界面で一部の電子と正孔の対が失われることによる。単結晶Siの25%に対し、試作レベルでは最高変換効率が18.5%(京セラの150mm角セルの場合)、商品では16.5%(同)である。

 多結晶Siの変換効率向上のペースは鈍ってきており、20%が1つの山だと考えられている。「多結晶Siは今後、変換効率20%を達成できたときに大型投資を実施する。20%以下の時点で投資するのは意味がない」(シャープの濱野氏)。((EE Times Japan 08.9.22))


 
 とはいっても、いずれは《多結晶系》が主流になるのではないかと、フェローテックの説明会では述べていました。
 とりあえず、《単結晶系》《多結晶系》と2つに区分されることを覚えてください。では、製造工程について、《単結晶系》で見ていきます(《多結晶系》も似ています)。(京セラのHPのこちらの写真を見るとイメージがわきます
 
(1)シリコン原料を、《単結晶シリコン引き上げ装置》に入れる。
(2)《単結晶シリコン引き上げ装置》内で過熱し液化させたりして不純物を分離させ、純度を高めたインゴット(塊)を作る。
(3)インゴットを研磨したりしたあと、ワイヤーソーという道具を使ってスライスして薄いぺらぺらのウエハーに加工する。
(4)太陽電池素子(セル)工程
(5)モジュール(セルを複数枚まとめて樹脂や金属枠などで保護)工程
(6)システム工程

 エヌピーシーの資料P36によると、世界の業者数(薄膜系まで含む)は、(3)が20〜30社、(4)が60〜70社、(5)が約200社、(6)が約5000社、とのこと。エヌピーシー自体は、(5)の分野の製造装置で130社前後の導入実績があり4割のシェアを持つ、非常に気になる企業ですが、
 
 需要過剰の市場では、川上のほうが、もっと良いのではないかと。で、考えたのが、フェローテックです。(2)で登場する単結晶シリコン引き上げ装置》《で強い製品を持つのがフェローテックなのです。2005年度に1号機を販売し、2007年度のシェアは13%で3位。しかし、シェア上位のライバルは全て中国企業(名前から判断して)で、悪かろう安かろうのようです。フェローの製品は中国製に比べて3倍の値段をし、説明会でも「中国製は競合相手と思っていない」と述べています。

 フェローテックの強みは、(単結晶シリコン引き上げ装置事態は新しいジャンルの市場ですが)過去の技術の蓄積です。例えば、《単結晶系》《多結晶系》《薄膜系》すべてで密封空間を確保するために、「真空シール」という部品が必要なのですが、フェローテックは、半導体やフラットパネルディスプレイの分野で、この真空シールの世界シェア70%を持っています。他にもありますが、このように自社内で部品を調達できるフェローテックの《自社技術の塊》装置と、あちらこちらから部品を買ってきて組み立てるメーカーとでは、差が出てくるのではないでしょうか。
 
 さらに、20.3.17には《多結晶系》の製造装置を発表
 これが、こらからの稼ぎ頭になるはず。《単結晶系》とは、ものがかなり違うはずなのですが、開発に当たって多くの費用が発生したとは聞きません。原価のなかに吸収されてしまっています。
 
 また、この7月から受注開始で、東京製綱と共同で、(3)で使用するワイヤソーの製造販売にも乗り出しました。ワイヤソーは製造装置を買えば必ず必要となるものですからシナジー効果は高いです。そして、(2)で使用される消耗品(石英るつぼ)の迅速な供給体制やメンテナンスなどの充実したサポート体制も含めたトータルソリューションで勝負していく(08.7.28説明会「中国太陽電池産業の状況と展望」)とのことです。
 
 現在の受注状況ですが、今年7月に発表されたのが《単結晶シリコン引き上げ装置》400台(108億円相当)、《多結晶製造装置》60台(38億円相当)。ちなみに、2007年度の出荷台数は《単結晶シリコン引き上げ装置》のみ172台(27億円)であり、関連の売上高が46億円ですから、急拡大であることがわかります。もちろん、今期中にはさばききれません。
 2008年度内には、《単結晶シリコン引き上げ装置》は月産30台規模から40台へ、《多結晶製造装置》は月産10台規模へ生産能力増強をすすめるとのこと。その結果、08年度の太陽電池関連の売上高は、102億円(120%UP予想)。ちなみに、他事業含めたフェローテック全体の売上高予想は400億円。経常利益予想は28.5億円(おそらく保守的)。1Qで既に上方修正がされており、まだまだ上方修正がありそうな勢いです。時価総額は295億円。
 
 太陽光発電自体の話しが長くなりすぎましたので、
 フェローテックの事業概要や財務は、また、次の機会とします。

 
 乱暴に総括すれば、
 太陽光発電市場は、どの方向に進むのか乱世状態です。ニュースが多すぎ!日経新聞には、毎日のように太陽光発電関連ニュースが出ています。あんまり先のことを考えるのはやめましょう(笑)。
 
 太陽光発電市場には、各国の電力買取政策があるために、投資ビジネスとして、事業者参入が相次いでいます。それは太陽光発電自体の割合が余りにも低く、政府の買い取り価格が固定であるために、どれだけ新規参入者が参入しようとも、市場は広大で、過当値段競争が生じない美味しいビジネスなのです。そのために用いられるシリコン太陽電池製造の世界では、製造に対する技術的難易度は低く、初期投資額も低いために、太陽電池製造自体が新規参入があります。
 
 このような太陽電池製造新規参入業者は、日本の大手メーカーに比べて、技術的レベルはかなり低いでしょう。しかし、例えば、パソコンのことを思い返してください。NECや東芝など電機業界で実績のある大企業がパソコンに参入する一方で、単なる組立屋にすぎなかったデルやコンパックが、最終的に勝利したのです。専業の強みです。何が起こるかわかりません。
 
 こうした、ゴールドラッシュに、金を掘ろうとして群がってきた人たちを相手に、金を掘る道具を提供しようとする業者(こちらもバブリー)に、その道具を製造する機械を与えて、トータルな指導をするのがフェローテックやエヌピーシーというわけです。
 
 太陽光発電市場に関しては、どの企業が最終的な勝ち組となるのかわかりませんので、長期戦略なら複数の打診買いが適切と考えます。しかし、対象企業が多すぎます(笑)。一番最初に書いた「繁忙貧乏」の危険もあります。で、フェローテックやエヌピーシーのような、既に業績に大いに反映されはじめ、上方修正がでているような企業から始めてはどうかな、と思い、
 私は、今回の相場で安くなったのを見て、MonotaROは後回し、MonotaRO購入資金をこちらに振り向けることにしました(相場はまだまだ下がり続ける気がするなあ)。

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コメント

yukiwoさん、ブログいつも拝見しています。

太陽光発電銘柄ですが、ちょっとだけ否定的な意見を。

・今は将来の成長をかなり織り込みすぎ(バブル)

・太陽光発電シェアは拡大しても、競争激化により、メーカーの売上高は完全比例的に拡大するわけではなく、また、利益率は低下すること(液晶テレビみたいな感じ)

・太陽光発電=太陽電池ではない(半永久利用できるわけではない)ため、他の家電製品と同様に、買い換えコストやメンテナンスコスト等を考慮する必要があること

・メガソーラーの場合は、用地取得コストがかかること(特に日本の場合)

・太陽光発電シェアの拡大により、電力会社の設備(発電所、送電・配電ネットワーク)利用率が低下するため、電気料金が上昇すること(太陽光で割安に発電しても、足りない電気を割高に購入することになる)

・上記を踏まえ、国の政策がしっかりと議論し尽くされていないこと

などなど、必ずしもメーカーの戦略どおりになるかどうかは不透明かなと思っています。

もちろん、今の株式市場にあっては、注目のカテゴリーであることには間違いありませんが^^

 ご意見ありがとうございます。否定的な意見はどんどん、お願いします。
 
= 今は将来の成長をかなり織り込みすぎ(バブル)=
 
 フェローテックは、現株価は今期会社予想でPER15。保守的な予想を修正すれば、今期予想はPER10台前半になると思いますが、バブルでしょうか???
 見かけ上のPERは低いけれど、下方修正の可能性がある他のハイテク銘柄より割安だと思いますが。

 それとも、バブルというのは株価の話しではなく議論の盛り上がりのほうでしょうか。確かに、そう思います(日経新聞には、連日ニュースが)。が、ITバブルのときもそうであったように、バブルのなかにも本物があるはず、この銘柄にこだわるのではなく、本物の大化け株を求めて観察していきたいと思います。


= 太陽光発電シェアは拡大しても、競争激化により、メーカーの売上高は完全比例的に拡大するわけではなく、また、利益率は低下すること(液晶テレビみたいな感じ=

 そのとおりだと思いますので、太陽電池製造メーカー自体はパスです。
 フェローテック自体は、今は、欧米製品には価格で勝負、中国製品には性能で勝負、と、うまくやっていると思っています。
 
 他の意見は、太陽光発電そのもののデメリットについてですね。他にも「夜間、天候の悪い日は発電できない」など、多数あるんだろうと思います。そういうことも最初は書いていたのですが、ニュースあり過ぎ、情報あり過ぎで、文章が膨れ上がってしまい、最終的に4分の1ぐらいの長さにダイエットしたのが上記の文章です。かなり省略しました。
 で、それは原子力、火力、水力などのデメリットとの比較の話しになるんだろうと思います。
 
 どちらにしても《夢銘柄》は避けて、現実に業績に反映されているものだけを狙っていかなければならないと思っています。

 それと、どうでもいいことかもしれませんが、
 太陽電池を使わない太陽光発電は存在しないと思いますので、「太陽電池=太陽光発電」で良いのではないかと(全然こだわりませんが)。

 繰り返しになりますが、株式投資にとってリスク認識は、もっとも大切なポイントだと思いますので、否定的意見は、助かります。

寝る前にPC覗いたらレスをいただいてたので、少しだけ返信を。

太陽光発電銘柄がバブルといったのは、個別銘柄というより、全体的なところでして、フェローテックがバブルということではありません。
伝え方がまずく、失礼しました。

あと、「太陽電池=太陽光発電」でないというのは、太陽電池自体は半永久的に利用できるのですが、太陽電池を組み合わせて作った太陽光発電装置は、いわゆる、家電製品みたいなもんで、半永久的に利用はできない(壊れることもあれば、性能も落ちる)ってことをお伝えしたかったのです。

よく、太陽光発電装置をつければ、ずっと発電し続けてくれるみたいな誤解をお持ちの方がいらっしゃるので。
(意外とそういうトラブルも多いと聞いています。)

てことで、全体的に伝え方がまずく、すみません。

また時間を見つけて書き込みにきますね!

コメントへの返信について


私のブログの方にコメントして頂いていたので返信をこちらに書きます。

まず、現在の私の生活の状況がいろいろな面で厳しい状況に置かれています。

・仕事が忙しい
 帰宅は毎日夜の11時過ぎ&朝6時に起床
 土日もどちらか1日は仕事 

・投資資金がない
 諸事情(詳しくは書けませんが・・・)により投資資金を減資


自分で銘柄を分析する時間がないし、分析をしても投資できるお金がありません。

私の投資スタイルが変わっていることは事実ですが、好んでこのようなスタイルになっているわけではないんですよ。

このような状況で、とても積極的に投資をできるような環境ではないことをご理解下さい。


あと、UMCJに関してはこういう投資もアリだと思って投資をしていますが、私の注目銘柄を見て頂ければ、資産バリュー狙いはUMCJくらいだということはご理解して頂けるかと。

ちなみに今狙っている銘柄はプレステージです。
指値にヒットしてくれると嬉しいんですが。

太陽光発電については私も同じ認識です。

発電コストがこれだけ下がっていく予測は、今の薄型テレビと同じような状況になることが想像されます。

シリコンを作っている会社か、製造装置を作っている会社が投資対象になると思います。

気になるのは非シリコン型の動向ですね。

こっちが主力になるようなことになると、投資対象が変わってくる可能性があるので。

 AKIさん、お仕事、大変のようでご苦労様です。
 コメントの返信はそちらのブログにします。

私はアンダーウェート気味です>太陽電池。汎用化が早すぎて需要と供給のバランスが逆転する転機がもうすぐソコというのが私の認識です。

・製造機械が揃っているのでいずれDRAM市場と同じ構造になる
参入障壁が少なく資本さえ揃えば誰でも太陽電池産業へ首を突っ込める状況になっています。Q-Cellの躍進も技術力よりも資金調達と政策のタリフが効いているからだと思います。現状、タリフの効果が少なくなってきており、金融バブルにより資金調達もままならない状況ですので、汎用品としては先が続かないのではないかと言うのが私の見通しです。

・フィード・イン・タリフそろそろ終焉
ソースが見当たらなくなったのですが、タリフそろそろ潮時という話が出ています。売電に対してのインセンティブが減らされたという話がスペインとドイツであった気がしました。
いずれにしろ国も国民も環境のために生活を削るとは思えないのでいずれタリフのインセンティブは減らされる方向なのは確かかと。
http://www.doblog.com/weblog/myblog/31550/2620952#2620952

・AMATの薄型太陽電池装置の存在
まだ眉唾な話ですが、AMATが薄型太陽電池装置をインドの業者に販売した話がありました。製造コストやもろもろの話はまだ分からないのでなんとも判断できませんが、薄型太陽電池も汎用品化が進んでいることはリスクとして記憶しておく必要があると思います。

・高純度シリコン原料生産
大阪チタも仲間に入れてやってください。生産量抜群です。太陽電池にはあまり回さないと思いますが。ちなみに原料のケイ石は、純度の高いものを使用しないと原料として使えません。ドコにでもある元素ですが、そこら辺の砂から純度の高いSiを抽出する技術は確立していないはずです。

--

仮に太陽電池関連で選択するとするなら私なら東洋炭素ですかね。仕入れから販売まで一気通貫という所がポイント高いです。でも材料系なので今の時期は辛いかも。

ちなみに太陽光発電装置の耐久年数は20年です。この前、シャープが30年モノを出したかと。シリコンの寿命は半永久的なんですが、その周辺機器の劣化を考えると20年。そういえば回収した太陽電池のリニューアルなんてビジネス、紹介されていました。

Mc.Nさん、こんにちは。
 各メーカーの増産計画が実現すると、供給能力は現在需要の5倍に達するそうです。太陽電池製造メーカーにとって悪夢ですね。しかし、太陽光発電市場にとっては、良い展開とも考えられます。というのは、太陽電池は価格弾力性が極めて高いと考えられるからです。

 例えば、液晶は、価格が10分の1になっても、需要数量は10倍にはならないでしょう(なるかもしれませんが)。しかし、太陽電池は、もし価格が10分の1になれば(原子力発電よりも低コストとなってしまい)需要は100倍、1000倍になる可能性があります(何しろ現在のシェアは0.04%)。価格が下がるにしたがって、市場は急拡大すると予想されます。需要の飽和点は、ずーっと先のほうです。

 各国の推進政策「電力買取価格」の引き下げがあったとしたら、確かに、そのときはマイナス要因ですが、そもそも、そのようなものは競争原理に反する一時的な制度であって、いつかは廃止されるものです。売電業者にとっても、「電力買取価格のマイナス」は大きな売り上げ減になりますが、太陽電池価格の低下による売上原価(費用)の減少がそれを上回れば、問題ないわけです。

 もとより、太陽電池製造メーカーそのものに投資する気持ちはありませんので、競争激化であろうが何であろうが、太陽電池価格の低下は基本的に歓迎です。というか、太陽光発電業界への投資の成否は、《太陽電池価格の低下スピード》にかかっているのではないかと思います。つまり、総合コストで十分にリーズナブルになり、無理をせずに普通に、火力、水力、原子力ではなく、太陽光が選択される状況の出現です。
 その業界内で、うまく儲けをあげられる企業を探したいと思っています。フェローやNPCは、いい線いっているのではないかと。シリコン製造企業については、勉強しなければ。

 ところで、朝日新聞でスペインの太陽光発電事情が紹介されていました。

http://www.asahi.com/eco/TKY200810050204.html

 黒部第4ダム発電所に匹敵するスケールの太陽光発電所とか。欧州には、日差しの強い北アフリカ諸国で発電して南欧に電気を送る「スーパー送電網」計画もある。とも書いてあります。
 私の、太陽光発電の将来イメージは、住宅や事業所の屋上に、ちっちゃい黒パネルを取り付けて細々とやっているようなものから、そういう大事業へ、重点が移っていくイメージです。

なるほど。太陽電池製造メーカー側の立場で判断すると状況が悪そうですね。どうも今のDRAM市場と重なるものを感じてしまって、半導体設備メーカーの凋落と重なっていけませんね。

Q-CellもSunPowerも最近はあまりイイ話を聞かないのも気になっています。この先の不景気で太陽電池産業自体が壊死してしまいそうな気がしています。暗すぎかもしれませんが。

生活必需品ではなく、どちらかというとタリフ目当ての投資という意味合いが強いので、今、欧州で投資する元気があるのかな、という心配もあります。8~10年位で資金が回収できれば、手堅い投資として成長過程に入ると思うのですが、タリフ無しではまだ価格が高いのがネックかなと。計算はしていませんけどね。

そういえば住友商事がイタリアで太陽電池の売電をするという話が5月あたりにありました。その後、どうなったかは知りませんが。

キーポイントはタリフと不景気ですかね、やっぱり。日本でタリフを始めたら大きな産業になりそうなんですけど惜しい話です。
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固定価格買取制度(フィードインタリフ制度)入門
http://ksakurai.nwr.jp/R/slides/WhyFIT/
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 「太陽光発電の発電コストと既存の電力会社による従来の電力コストが同一になる時点」が2015年(つまり7年後)頃、というのをコンセンサスとすると、タリフを必要とするのは、せいぜい、あと数年。もちろん、突然にコストがどんと下がるわけではなく、年々、それもかなり急激(ちょっと計算したらわかる)に下がっていくわけです。
 繰り返しになりますが、が、リスク要因は、「固定買取価格」の値下げではなく「(コスト低下につながる)技術開発の遅れ」だと思います。そういう意味で、確かに《不景気》はキーになります。バブリーな過熱競争で、ちょうどいいのではないかと思っています。
 
 住友商事の記事ですが、

http://www.toyokeizai.net/business/industrial_info/detail/AC/56b6287e3ddec66d114b8bf532123571/

石油暴落で太陽電池は終わりっぽいですね。
残念。おろかな人類は自分の今の生活を落としてまでCO2削減はしないでしょうね。

>石油暴落で太陽電池は終わりっぽいですね。

昨日、今日と暴騰ですが、何か?

今週末の4半期決算に期待しますよ。

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