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2008.08.02

続々・少数派のススメ

おちゃらけシリーズ第3弾です。このシリーズは、思い込みと偏見に満ちていますので、ご了解の上ご覧下さい。前回は、おちゃらけ度50%VS本気度50%でしたが、今回は、もう少しだけ、本気度が増しています。成長株と割安株のそれぞれの、多数派VS少数派について考えます。

 株について。買い手が少数で売り手が多数のとき、株価は下がります。買い手が多数で売り手が少数のとき、株価は上がります。当たり前ですね。
 株価上昇をキャッチするためには、「株を買いたい」という多数派が「既に株を持っている」という少数派のほうに雪崩れ込んでくることが必要です。もちろん、そのときに「既に株を持っている」という少数派の陣営に属していることが大切です。
 さて、

 世の中には、【成長株投資家】と【割安株投資家】の二種類の投資家がいます(話しを単純にするために割り切って書いています)。
 
 成長株投資家とは、利益(時価総額?)が成長する株を保有し、《成長性》が続く限り保有し続ける投資家です。成長性が失われたときに売りに回ります。

 一方、割安株投資家とは、割安な株を保有し、《割安性》が続く限り保有し続ける投資家です。割安性が失われたときに売りに回ります。

 成長株の株価上昇のシナリオは、こんなものです。成長株は、たいてい人気株です。そして、PERは高め。ですから、「いい株なんだけど、PERが高くて買いにくいなあ」という《買い予備軍》が常に周りでうろちょろしています。こういう予備軍は、上方修正とか次期業績予想発表とかがあり、あるいは相場軟調でPERが下がると、「買いやすくなった」と、買いに回ります。一方、既保有者は、「《成長性》が続く限り保有し続ける」のですから、バブリーな株価にならない限り、手放したりしません。既保有者が大挙して売りに回るのは成長シナリオが頓挫したときです。割安性が失われたときではありません。成長性が維持される限り、少しずつPERは切り下がっていくのであり、《既保有者のうち売り予備軍》と《非保有者のうち買い予備軍》を比較すると、前者(既保有者)が少数派であることが多いと思います。
 「少数派になれ」です。
 
 一方、割安株投資はどうでしょう。割安株投資家は、割安性に着目して投資しているのですから、PERが上昇し、割安性が少しずつ失われてくると、売らねば売らねばとそわそわしはじめます。割安性だけが保有継続の根拠なのですから、株価が少し上がり始めると、売りがポロポロ出てきます。そんな場面で買いに回る割安株投資家はいません。つまり、この局面では、《既保有者のうち売り予備軍》と《非保有者のうち買い予備軍》を比較すると、どう考えても前者(既保有者)が多数派であることが多いと思います。
 一方、割安株が、さらに株価が下がったらどうでしょう。この株を買いたいと待ち構えていた人たちが買いに回るでしょうか。いえ。
 割高さが購入の障害であったなら、割安さが増したことによって買いに回る人も出てくるでしょう。しかし、非保有者が、この株を買っていない動機は、割安割高とは別の問題だったのですから、割安さが増したところで、それほど買いが増えるとは思えません。不人気株ですし。買おうと待ち構えている人は少数なのですから、常に保有者のほうが多数なのです。
 割安株については、株価がぐいぐい上昇するシナリオが、私には描けないのです。
 
 つまりです。
 割安株投資家は、PER上昇に売り圧力で抵抗するので、いわゆる低PER株のPER水準是正がおこなわれるためには、それ以上に《割安株投資家以外の投資家》の買いを誘わなければならないのです。割安株がぐいぐい上昇する事例を見ると、ほとんど全ての場合、割安さとは別の魅力が現れたときだと思います。そういうシナリオが描けるのであれば、割安株は非常に魅力的です。
 繰り返しますが、割安株投資家は、割安株が《割安》である間だけしかホールドしないわけですから、割安株投資家の間でだけいくら人気があっても駄目なんです。
 
 まあ、実態はもっと複雑でしょうが、キャピタルゲイン狙いなら、上昇シナリオが描ける銘柄を買うべきだと思います。
 
 違う書き方をします。
 
 成長株投資は成長が続いている限り保有継続。つまり、うまくいっている限り長期投資、失敗したときに短期投資です。
 
 一方、割安株投資は、割安さが解消されたら売りです。割安さが早く解消されるほど効率がいいですから、うまく短期で解消されたら売り、うまくいかなかったら長期保有。つまり、狙うは短期投資、不本意なときは長期投資となります。
 
 つまり、成長株投資は、長期投資。
 割安株投資は、本質的に短期投資といえます。
  
 そう考えると、一世を風靡した割安成長株投資というのは、「割安さが解消されたら売る」のか「成長の持続でホールド」なのか、出口戦略がはっきりしないシナリオのない投資法でしたね。
 
 成長株投資は、時間をかけて保有者の輪を広げていく投資です。
 割安株投資は、いかに早く割安さを解消し差益を稼ぐかという投資です。
 
 私は、銘柄のファンダメンタル分析で失敗も多いです。まだまだ足りないと思っています。しかし、それは、長期保有で付き合っていこうと気持があるからできることであって、できれば短期で売りつけたいという銘柄に時間をかけて分析する気持にはなりません。
 私には、割安株投資は、向いていないみたいです。
 
 ただ、成長派投資でも、相場が過熱し、「保有していないと上昇に乗り遅れるようで不安」と買いに回る人(つまり裏目じじい)たちが増える場面では、もう、売りに回るしかありません。株を保有するとは不安なことなんです。持たないことが不安なんて、普通ではありません。

 また、割安株投資でもこういう場合があります。
 ターンアラウンド投資です。徹底的に売り込まれて、超割安になった株、金融危機のときの銀行株など超低PBR株。こういう株は「割安すぎて魅力的なんだけど、《危機》が起こったら怖い」と周りで見ている投資家が多いです。そして《危機》が去れば、どっと買いに入ってきます。一方、《危機》に耐えていた保有者が、危機が去った今、こんな値段で売りに回るなんて考えられないですから、買いと売りのバランスが大きく崩れています。
 ただ、こういった銘柄は資産価値が毀損していることが多いですから、本当に割安株なのか、割安の仮面をかぶった割高株なのか、けっこうな分析が不可欠ですけどね。

 ウオーレン・バフェットは、1990年、不動産不況のあおりで青色吐息のウエルズファーゴ銀行の10%の株を取得します。このとき、バロンズ誌に「銀行株の底値拾いを続けると、バフェットは、その遺産を誰が使うかという問題で頭を悩ます心配はなくなるだろう」なんて皮肉も書かれたりするのですが、結局は、バフェットの正しさが証明されることとなります。こういった《少数派》は憧れます(が、私は何も少数派の先頭に立つ必要はないと考えています。真底を買う必要はありません)。

 ところで、いちごアセットはどうかな?

 冒頭、キャロン氏が発した言葉に会場がどよめいた。「東証1部の平均PER(株価収益率)が13倍ほどに下がってきており、多くの企業がPBR(株価純資産倍率)1倍を割っている。それでも株価が下がっているのは、金融不安の環境下から買いを入れるには勇気がいる状況で、中長期スタンスでないと手を出しにくいからだ」とキャロン氏は続けた。
 銘柄の選別方法について、「当ファンドのポートフォリオには、10社しかありません。それもすべて小型株です。投資は人間の集団への投資なので、取引先などとも会って、半年ぐらい検討した上で組み入れを決定します。夜は安心して寝たいので、財務健全な企業だけを選んでいます」と笑った。
「週刊木村剛」2008.4.6

  このとき、既にアセットを持っていたわけで。

 おちゃらけついでに、こういう株の《裏目じじい指標》は次のような感じでしょう。

 株ブログで挑発的なコメントには2種類あります。

 ひとつは、反論して持論を展開するタイプ。しばしば、炎上を伴います。バトルがあるということは強弱対立しているということ。そのコメント内容は、たとえ気に入らないものであっても傾聴に値しますが、《裏目じじい指標》的には役に立ちません。《持論展開タイプ》は決着のついたことについては、いまさら挑発コメントなどしません。

 もう一つは、決着がついたことを確かめてから追い討ちをかける《いじめっ子》タイプ。「まだ、そんな銘柄を追いかけているんですか」みたいなコメントです。もう決着が付いているので、誰も反論しない、単なる嫌味コメントとなっています。そういうコメントは、内容そのものには殆ど価値がありませんが、《裏目じじい指標》的には「底入れ間近」のサインです。いじめっ子は常に多数派の側に立とうとするものなので、あちこちのブログの空気を集約して表現してくれる、非常にありがたい存在です。

 《裏目じじい指標》が、どれだけ役に立つのかは、分かりませんが。

 

 なお、以上はキャピタルゲイン投資の場合の話しです。

 私は、自分がキャピタルゲイン投資家だとは思っていません。それについては、別の機会に。
 
   □ これまでの投稿 □

2006.09.23 少数派のススメ
2007.04.28 続・少数派のススメ
 

 

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