リサ・パートナーズ
4回めの投稿です。リサの中間決算が発表されましたが、純利益で、前期比63%増と、あいかわらずですね。しかし、回収よりすごいのが、投資増です。
決算短信の「経営成績に関する分析」は、その期だけを読んでも、あまりピンとこないのですが、それ以前の決算短信の文章と比較すると、わかりやすくなります(前回の文章に加筆修正して作成するのが通常だと思いますので)。
一方で、不動産融資の信用収縮により、取引価格の下がった収益物件については、優良資産積上げのチャンスと捉え、継続して投資を進めております。
今回は、こういう文章が加わりました。
それを確認すると、連結ですが、
貸借対照表の「たな卸資産」が、1Qの15,615千円から、2Qは37,040千円へ、218億円のアップ。リサ本体だと思われます。
有形固定資産の「建物」が、1Qの3,096千円から2Qは8,333千円の52億円のアップ。こちらは、新規連結先が初めから持っていた分も含まれているとは思いますが。
それとあわせて、長期借入金が、1Qの36,968千円から60,820千円への238億円のアップ。
特に、前回の投稿では、不動産向け融資が減ってきているなあ、と書いたのですが、担保(不動産だけではないが)付債務である長期借入金が、前期末(1Qの資料がないため)の17,596千円から、2Qでは46,428千円へ、288億円のアップ。
このため、個別の自己資本比率が、前期末の24.6%から2Qの22.6%へのダウン。もし、前期末並みの自己資本比率を回復しようとすれば(前期末でも相当に低いが)、約36億円の資本増強が必要となります。現金(個別)は、前期末の15,353千円から2Qの4,573千円と急減。
数年前の不動産流動化企業の勢いをそのまま見るようです。とすれば、ということで、発表されたのが、約60億円の新株式発行等のIRなのでした。
使途は、債権買取が24億円、ファンド出資が12億円、不動産が24億円ということです。
さて、この増資は、既存株主にとって、得なのでしょうか、損なのでしょうか。
前回の投稿「PBRとパフォーマンス」を読まれた方は、応用編ですからわかると思いますが、単純に考えると、
増資によっても、同じROEが維持できる場合に、
PBR1.0以上なら、既存株主にとって得。
PBR1.0以下なら、既存株主にとって損。
となります(単なる計算上だけのことです)。
こんなことは、頭で理解しにくいので、色んな数字をエクセルに入れてシュミレーションすると体感的にわかるようになります。
既存株主は、かつてのPBRを記憶していますので、それと比較して、すごく損をしたような気分にはなりますが、今、増資しない場合と比較してどうなのか、が大切です(当たり前)。
現在は、PBR1.0以上です。ただ、維持できるかどうか、微妙。月曜日はストップ安?
繰り返しますが、かつての株価と比較して、「あのときなら良かった、今なら駄目だ」そりゃあ、気持はわかりますが、それを言っても何の得にもなりません。
この業界の特質として、株価が高い頃には、不動産も高いのです。株価が高い頃に、上手に資金調達していたとして、その資金で大量に購入した不動産が、あとで減損処理していたら洒落にならない。
今、どちらを選択したほうが、既存株主にとって得か損か、PBRとROEでシュミレーションして考えたらどうでしょう。
じゃあ、ROEはキープできるのでしょうか。
これが、自己資本比率強化だけを目的としたものなら、ROAは維持しても、ROEは低下するのですが、前に見たように、2Qの積極投資による自己資本比率悪化を回復するという意味合いが、強そうです。数字だけでは36億円で回復、24億円が追加強化、となりますが、2Qの凄まじい勢いでは、もっと借り入れを増やして投資しそうな感じです。
ROEについては、あまり資本比率を気にするより、案件の質(つまり優良物件を安く買えるか)を気にしたほうがよいと思います。
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