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2008.05.17

タビオ

3回めの投稿です。株を始めた頃、私は、「企業の成長=株主へのリターン」だと単純に考えていました。しかし、増資を繰り返して成長する企業に出会い、そういうわけではないな、と気がつきました。

 次に、「では、1株利益(EPS)成長率こそが株主へのリターン」と思いましたが、配当の存在に気がつきました。配当性向100%の株と、配当ゼロの株では、企業の利益成長率が同じとすると、前者のほうが良いに決まっています、受け取った配当で株を買いますこともできますし。配当ゼロというのは、「将来、更に高い配当を約束しますから」と、既存株主に寄付強要しているようなもの、あるいは、株数こそ増えませんが、既存株主対象の第三者割り当て増資みたいなものです。
 そして、わかりやすい指標では、ROEこそが、株主のリターンを示す指標の有力な一つだと今は考えています。
 
 さて、ROE(利益/株主持分) x PER上昇率(株価↑/利益) =株価上昇率(株価↑/株主持分)ですが、
 PERというのは、相場次第というか人気指標のような面がありますので(割安株投資ではそこに期待するわけですが)、とりあえず常に一定と仮定してみます。すると、ROEは(配当率を差し引いた)理論上の株価上昇率そのものということになります。
 
 かつての私は、「保有企業は、すごい利益成長なのに、株価は伸びないなあ。いつの間にか発行済株数も増えているぞ」なんて状態でしたので、今は、利益成長は最優先事項ではあれど、それだけではないと肝に銘じています。
 
 前置きはさておき、
 タビオを最初に取り上げてから1年が経ちました。20年2月期の決算では、売上高伸率25.7%、当期純利益伸率86.8%という凄い数字でしたが、株価は1年前とほぼ同じです(途中で高騰はありましたが)。昨年が伸びすぎたので、今年は成長鈍化だと思われています。おそらく、そうでしょう。しかし、それはピークを過ぎたという意味ではありません。長期上昇過程の波にすぎないのであれば、今年は前年微増であっても十分ではないでしょうか。
 
 さて、今回はタビオのROEを分解してみます。
 
 ROEは、売上高純利益率 x 総資産回転率 x 財務レバレッジ、です。
 
 下記式の、
 第1項の売上高純利益率は、純利益/売上高、
 第2項の総資産回転率は、売上高/総資産、
 第3項の財務レバレッジは、総資産/株主持分、
 3つを掛け合わせて、分子と分母を消していくと、純利益/株主持分、すなわち、ROEになります。ちなみに、貸借対照表上の数字は、当年度と前年度の数字を足して2で割っていますので、四季報とかの数字とは異なります。
 
18.2期=2.8% x 1.71回 x 2.3倍 = ROE11.0%
19.2期=4.6% x 1.90回 x 2.1倍 = ROE18.4%
20.2期=6.8% x 2.09回 x 1.8倍 = ROE25.5%

 では、第1項から。
 売上原価率が、49.6%(18.2)→47.5%(19.2)→45.9%(20.2)というのを見てのとおり、単に固定経費比率が下がったというだけではなく、ブランド価値向上、セール実施減、コスト削減、などが効いてきているのではないでしょうか。
 
 次は第2項。私は、利益率もさることながら、回転率って、けっこう重要だと思っています。業界内で、他企業と同じようなことをしているように見えるのに何故か儲かっている企業は、ここ(資金繰りや在庫流通管理が上手い)に強みがあるような気がします(調べたわけではありませんので、いつか取り上げます)。
 不良在庫がたまると安売り処分をせざるを得なくなる、みたいな感じで、悪い兆候は回転率から始まり利益率に伝播するような、素人のイメージがあります。
 
 第2項の回転率をもう少し細かく、棚卸回転率(売上原価/たな卸資産)を見てみます。
 
18.2期=11.0回(33日で一回転)
19.2期=11.6回(31日)
20.2期=12.6回(29日)

 小売りの場合、客は現金払いですから、回収の短期化は資金繰りの改善に直結します。タビオの場合、卸もやっていて、売掛金の多さが気になりますが、
 
 回収日数 < 支払日数 = 手持ち資金が少なくて良い
 回収日数 > 支払日数 = 手持ち資金が豊富に要る
 
 このあたりは、拙稿「アマゾン・ドット・コム」の後半でわかりやすく(多分)書いたので省略しますが、つまり、棚卸資産回転率の改善は、資産圧縮、で、ROA改善につながるのですね。

 第3項の財務レバレッジですが、この評価は難しいですね。まあ、財務安定度が増したと考えれば(ROEは悪化しますが)、タビオは、3つの項目全てで改善を見せたということになります。

 ROAとROEの違いは、この第3項があるかどうかですが(正確に言うと、ROAは貸借対照表の借り方に着目するのに比べ、ROEは貸し方に着目するという全く違う視点ですが、現実的にはその区別は誤差の範囲で)、
 私は、ROEが株主リターンに直結する指標であることは、それとして、レバレッジそのものはリスクリターン諸刃ですので、ROAのほうが素直にビジネスや経営者の質を比較できる指標ではないかなと思っています。
 
 ROEを向上させるには、2つの方法があります。分子の利益を増やすか、分母の株主持ち分を減らすかです。ROA的には、資産圧縮です。貸借対照表の資産の部をざっと眺めて、リターンを低下させる原因となっている資産を取り除いていくことも重要です。「現金及び預金」は、22億円。「現金及び預金」って、当座及び決済性口座にいれておけば利息もつきません。短期定期であっても非常に全体のリターンを低下させます。しかし、損益計算書から、年間の売上原価と販管費を足すと127億円ですので、手持ち現金は、約2か月分。これは、無駄はないように思います。先ほども書いたように、売掛金が、少し(少しですが)多めかなということが気になる程度。たな卸資産のうち、不良在庫もあると思いますが、これは回転率の低下に現れてくるので、ここでは省略。固定資産の機械類とかは、知識不足で判断できません。ただ、20.2期の固定資産除却損は、90百万円(建物33百万円、什器備品27百万円など)で、前年の5倍にもなります。大ナタを振るって無駄資産を処分したのではないでしょうか。そのわからない部分も含めて数字で判断することとして、結果、ROEは十分満足です。私がタビオに望むことは、爆発的業績拡大などではなく(無理だし)、ROEの安定的高止まりです。
 
 前年度の躍進を考えると、今年度の会社発表の業績予想(売上高4.9%増加など)が実現できたら、一時的にROEが下がるけどまあまあではないでしょうか。

   □ これまでの投稿 □
1回目 2007.05.01
2回目 2007.07.06

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