アイディーユー
5回めの投稿です。今年の1月10日、アセットマネジャーズが資産が予定どおりに売却できなかったことを理由に下方修正した、まさにその同日、アイディーユーは、対照的に好調な第1四半期決算を発表しました。
1Q決算では、確かに、売上高、利益とも好調でしたが、単に、資産がうまく売却できたというだけではなく、財務諸表からも順調さを感じることができました。
以下が、1Q決算短信の「定性的情報」です。
当社グループの属する不動産業界におきましては、引続き不動産市場への資金の流入により優良な不動産の取引はより活発化し、また都心部におけるオフィス賃料も依然上昇傾向にあるものの、金融市場の混乱による信用収縮の不安など、懸念材料も出てまいりました。
まだ、他人事のような印象ですが、
この頃、アセットに見られるように、不動産流動化企業の多くは、資金繰り懸念から、資産損切りに動き始めていたようなのでした。(私は、ニュースをあまり追いかけていなかったのでズレているかもしれませんが)
それは、リサやダヴィンチなど、資金調達力に秀でている企業にとっては、資産を安く購入できるチャンスでした。
さて、アイディーユーですが、本決算の注記後発事項(つまり1Q期間中)について、次のように書かれています。
2.当社は、決算日後平成19年11月28日までに、
総額14,480,000千円の資金の借入を実行しております。
その概要は次のとおりであります。
(1)使途 :販売用不動産の取得、システム投資資金
(2)借入先 :(9行、省略)
まだまだ、イケイケの様子。そして、それを裏付けるかのように、大型売却があったに関わらず、白石興産取得の影響もあり、貸借対照表のたな卸資産は微増、さらに実質的にたな卸資産と見られる(たぶん組合の)流動資産のその他が、大きく増加していました。
営業CFも(良い意味で)マイナスに転じていました。明らかに拡大路線。
他の不動産流動化新興企業に言われているような資金調達難は、アイディーユーには関係なかったのかな、と思わせられるような1Q決算でした。ところが、4月14日発表の2Qでは、一転、下方修正へ。そして、拡大路線は、突然、終わります。今後、新規投資はおこなわず、オークションに注力するとのこと。
それが、端的に見られるのが、注記の運転資金の貸出コミットメント契約の欄です。
- | コミットメント総額(実行額) |
前期4Q | 11350百万(4070百万) |
今期1Q | 15180百万(5332百万) |
今期2Q | 7530百万(3450百万) |
運転資金ではありますが、急に、金融機関が渋ちんになったことが見られます。
不動産流動化事業というのは、株式投資に例えれば「信用取引き」のようなものです。そう考えれば、株式信用取引きで不動産流動化企業を買っていた投資家は、凄いことをしているんだと思います。
これまで、個人投資家の間で不動産流動化銘柄は主に、貸借対照表の借り方(資産運用力)を中心に分析されてきましたが、実は貸し方(資金調達力)のほうが重要ではなかったのかと。これは、個人投資家の株式投資にも言えることですが。
自己資本比率が信用維持率みたいなものかもしれませんが、金融機関次第で変化します。不動産が安くなれば、本来は「買い」のチャンスなのですが、「損切り」せざるを得ないのです。
もちろん、一部の資金調達力がある(ソロスがついているとか)企業にとって、大チャンスなのですが。
ただ、アイディーユーにとっては、それだけではないように思います。「買い取り保証」が影響しているのではないかと。想像だけですが。
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