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2007.10.13

アイディーユー

3回めの投稿です。新興市場好調の波に乗り、アイディーユーの株価も、9月25日終値80,000円から、9営業日で2倍(10月9日終値173,000円)になりました。その後、少し調整していますが、出来高も増えて、いい感じですね。

 本決算(7年8月期)が出ていますので、さらっと見てみます。売上高については、前期中のファンド連結会計変更の影響を受ける企業の例により、とんでもない数字になっていますので、パスするとして、経常利益で33.4%増という好調な数字です(アイディーユーは、少数株主持ち分が少ない構図ですので、経常利益でみても大丈夫です)。今期予想は、売上高が87.3%増、経常利益が20.3%増、不動産市況の鈍化を見越して、利幅については慎重なのではないかと推測します。

 さて、CF計算書を見てみます。

-18.819.8
営業CF△467億192億
投資CF△153億28億
財務CF748億△231億
残高170億160億

 18年度と19年度では、まったく別の企業のようです。貸借対照表から関連する部分を抜粋します。

-18.819.8
たな卸資産540億412億
借入金、社債550億341億

 利益の源泉であった、たな卸資産(いわゆる500億円ファンド)が減少し続けています。普通に考えて、めぼしい仕入れ物件が減ってきたのかな、というところですが、今期に入ってから、こんなニュース「白石興産株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」も。純資産10億円、総資産43億円、買収価格13億円。それなりに回転させており、過剰な心配は不要かもしれません。

 アイディーユーの実際は、不動産流動化事業が儲けて、オークションの立ち上げを助けているというところです。不動産流動化事業は、けっこう個性的な仕事もしているみたいで、成績も立派です。今年度に始まる阿倍野再開発とか大型案件もあります。しかし、説明会などでは、ほとんど語られることがありません。説明会では、オークションの紹介の一色です。これが、私が、アイディーユーをもっとも高く評価しているポイントです。
 普通、専業企業よりも多角的企業のほうが、安定していると思われています。しかし、日本のモノ作り企業の代表選手たる家電企業群は、どれだけ輝いていると言えるでしょうか。あれにもこれにも手を出して、シェアが小さい商品を多数持ち、結果ととして、研究開発費も効果もなく分散され、利益が薄いのではないでしょうか。一方,事業ドメインを明確にしている専業企業のほうが、この分野がこければ企業全体がこけるという危機感を強く持ち、一体感も持ち、強いのではないでしょうか。

 もし、私がアイディーユーの社員だとすれば、不動産オークションがこけても、流動化事業があるさ、と思いがちなところですが、流動化の儲けは全てオークションに注ぎ込む、オークションがこければ企業の未来はないのだ、と、企業のCIを明確に宣言しているのですね。こういう退路を断った企業は、仮に大手不動産企業などが新規参入してきても強いと思います。

 では、肝心のオークション事業ですね。オークション事業の中にも自社物件売却などが含まれていますので、純粋なフィー収入だけを(粗利益ベースで)見てみます(百万円単位)。

-18.819.8
加盟金63162
システム利用料1971,090
賃料その他131△80
フィー収入計3941,172
正規加盟店数520店1627店

 どのぐらいの数字になれば立ち上がったと言えるのかは難しいところですが、 オークション自体も活況というには遠く、 市場が立ち上がったとはいえない数字だと思います。ゴリラ宣言は、まだまだ先です。しかし、助走路を快調に走りだしているというぐらいには言えると思います。私も保有銘柄の中では、最もゴリラの可能性がある企業だと思います。

 アイディーユーの良いところは、とにかくメッセージが明確です。
1)インターネット上に不動産取引を完結することができるマーケットを創出する。
2)現在の日本の不動産流通システムを効率的かつ合理的にする社会インフラを目指す。

 
 話しは大きくずれますが、新市場創出の一般論をします。

 こんな文章から。

 音楽が、iPodの普及で変わったのは、アップルのスティーブジョブズという人がひとりいたからなんです。彼がいなかったら、今の世界はないんですよ。iPodの前は、先ほども話しが出たナップスターで、これは違法だということで、レコード会社総がかりで潰しました。音楽をダウンロードして聴く方向は、ここで一回なくなったんですね。そこでジョブズが登場する。彼の天才性っていうのは、既存の旧勢力たるレコード会社をも説得してしまう能力で、この人が「iPodの世界に向かった方が、誰にとってもいいことがあるよ」と説得して、多くのレコード会社もその方向を受け入れたわけです。(「ウエブ人間論」P138)

 日本の家電業界が、どんなに資金力があっても技術力があっても、アップルのiPodやiPhoneに永久に勝てないという話しですが、旧秩序を、旧秩序で利を得ている人間も動かして新秩序に変える力を持つのは、「手数料がちょっと安い」とか「代理店制度がお得」みたいな些末な話しではないです。そういうのは、既存市場のカイゼンの話しです。
 大切なのは、Win-Winの未来に対するメッセージを発する能力があるかないかなんだと思います。
 不動産オークションに進出している他企業は、その点で話しにならないです。

 私はかつて、アイディーユーとリサ・パートナーズの合同説明会に出席したことがありますが、メッセージ力の差がありありで、リサの井無田社長は、完全にかすんでいました。

 メッセージ力です。

 注目すべきニュースを1つ。この方向次第では、株価がぶっ飛ぶ可能性もあるのではないでしょうか。

 政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)も五日、総会を開き、不動産競売の民間開放や農家が農地の貸し出しなどをしやすくなる制度改革などを提言する。いずれも「官から民へ」の流れに沿うもので、年末にまとめる二次答申に向けた検討事項に盛り込むことを決める方針。  柱の一つになる競売制度見直しでは、債務者と債権者の合意に基づいて民間機関に競売手続きを委ねる「民間競売」の導入検討をうたう。裁判所が担う現在の競売は手続きが厳格なため、売却まで一年以上かかることも多い。民間競売は手続きを簡素化することも可能で、期間短縮と執行経費の削減が見込める。(2007.10.5 日本経済新聞 )
   アメリカ23州では、3か月程度という実例もあります。

 最後に、今期の事業方針を箇条書きします。

【方針1 技術革新による利便性の向上】
1)オークションエンジンの拡充
2)360度ハイブリッドマップ「ロケーションビュー」のリリース
3)プロ向け不動産版グーグル「マザーズサーチ」を業界に開放
4)業務支援ソフトの開発及びSaaSとして業界へ配布
5)各種システムのモバイル化に着手

【方針2 サービス提供による出展,落札総額の向上】
1)ヂューデリレポート、アナリストレポート、マーケティングレポートの拡充
2)ニーズ相関図の開発によるマッチング向上
3)買い取りオークションの開発,運用
4)フルローンサービスの強化

【方針3 コンテンツ拡充による集客、リピートの向上】
1)イベントと特集の強化
2)SEO、SEM対策強化
3)ロケーションビューのマッシュアップ化
4)不動産業者版SNS「エストモ」を拡大

【方針4 ブランド力アップによる認知度、信頼性の向上】
1)全宅連公認オークションとしてのプロモーションと研修の強化
2)正規加盟店のリアルショップ化を推進
3)エスクローサービスの強化
4)瑕疵担保保証制度の開発と運用開始

  □ これまでの投稿 □

1回目 2006.09.09
2回目 2007.01.14

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コメント

マンション経営者ですが、不動産だけは実物をしっかりと見て、様々な条件、例えば大規模は修繕いつかなどについて担当者を捕まえて細かく確認しないととても怖くて買えません。その意味でこんなので買う人の気がしれないのですが。閑古鳥がマザーズオークションにiPodが世に出た時のようなインパクトはないと思います。キャズムという言葉で片づけられるのでしょうけどね。

>>様々な条件、例えば大規模は修繕いつかなどについて担当者を捕まえて細かく確認しないととても怖くて買えません。>>

 細かく確認してから、オークションに参加すればいいのではないでしょうか?納得するまで何度でも現地に足を運べばいいです。まだ、そういう単純な誤解があるわけで、それが消化されていけば、もっと参加者は増えると思います。購入側からすれば、相対取引の方が、値段付けによっぽど確信が持てないと思うのですが。

 国や自治体の公共工事でさえ、インターネットの電子入札を始めている時代です。公共工事の方が、不動産売買より、細かい確認事項は山ほどあります。日本の旧体質の象徴である「公共工事」ですら値入れが可能なら。不動産も可能でしょう。むしろ、値段付けの適正さを確保するために「電子入札すべきである」とされています。

 企業そのものである株も、インターネットのワンクリックで買う時代ですよ。90年代終わりに、ネット証券が登場したときにも、「インターネットで大金を動かす株取引が普及するはずがない」という議論がありました。調査さえ、しっかりとすれば、購入手段が、相対であろうが、インターネットであろうが、そういう議論の段階ではないと思います。
 もっとも、決算書も読めないアジア株を買う日本人もいるぐらいですから、実物を確認しないで参加する人もでてくるかもしれません。
 ちなみに、株ネット取引も、最初は閑古鳥が鳴いていたのですよ。私は、大和証券が日本で最初にインターネット取引を始めたときに、全国で4番めに口座開設したのですが、東証外国部アップル株を購入したまま、1か月も放置していると、担当者から「最近、お取り引きをなされていないようですが、銘柄紹介をさせていただきましょうか」と、夜に電話がかかってきました。「いえ、私は長期投資ですから」などと、応対していたものですが、それからも、「使い勝手にご意見はないですか」とか、しばしば電話がかかってきて(外交員の感覚?)、相当暇だな、と感じたものです。ボーナスで追加買いをしようとしたら、当時は、全国の全口座で取引通し番号がついていて、その日の取引は、全国で私の1件のみでした。

 数年前に「音楽をダウンロード販売なんてありえない」と言われていた頃を思い出します。iPodも当初は、iTuneとの仕組みが理解されずにそれほど売れなかったのです。2001年に発売開始、やっと100万台を超えたのは、2003年夏です。ちなみに、iPhoneが100万台を超えたのは、2か月強です。

最近になってゆきをんさんのブログを拝見した者です。

ゆきをんさんと自分の保有銘柄がよく似ているので興味を持ちながら勉強させていただいております。

自分が保有しているのは、フィンテック、イーギャランティ、メビックス、ゼクスetc・・・いわゆるオンリーワン的な特色があってストックで利益を考えることができる企業です。

さて、IDUについてもオンリーワンかつストックで利益をあげられる企業としてウォッチしてきました。

っが、今は保有していません。

IDUがゆきをんさんの言うゴリラ企業になるかどうかはマザオクにかかっているわけですが、中期経営計画の資料を見る限り、経営陣はマザオク成功への認識が非常に甘かったように思います。
その点(経営陣の力量)において、IDUへの投資を躊躇してしまいます。

クリティカルマスさえ突破すれば確実にゴリラですが、音楽ダウンロードや株取引に比べると断然ハードルが高いと考えています。

経営陣には足下を固めながら着実にマザオクを成功の軌道へとのせて欲しいと思うのですが、それが今の経営陣にできるかどうか。。。

きっと、その見極めがつくかどうか(投資できるかどうか)で得する人と損する人の差が出るのでしょうね。
自分は後者なのですが。。。(笑)

ゆきをんさんは今の経営陣についての評価はいかがですか?

先日会計士と話をしてて、同じ町で中古タイヤをネットで販売している会社があると聞きました。
大きく儲けている訳ではないが、赤字でもない。そこそこ売れているとの話。消耗品であるタイヤを中古で購入、しかもネットで。半端な数でも売れてるらしい。取り付けも自分でやるのだろうが、自分の感覚からはちょっと理解できない。検索するとそういった手合いが幾つか出てくる。ニーズが有るのは事実なのだろう。もはやネットで販売できない物は無い、不動産も例外ではないだろう。
不動産業者とのやり取りは電話やメールでもほとんど事足りる。しかし不動産は人脈が全て、本当にいい物件はオークションなどには出てこない、自分は利用しようとは思わない。
しかし1年程前にマザーズオークションではないが、官公庁オークションに入札した事はある。
役所なら詐欺まがいの事は無いだろうと思った事、土地のみの物件であった事、物件総額が安かった事。
ざっと調べてその辺りの坪単価は3〜5万。最低落札価格は坪1.5万、気になる点を電話で問い合わせた後、坪2.1万程で入札をした。遠方のため現地には行っていない。
朽ち果てたオンボロ屋の撤去費用、公売物件であること、境界線が曖昧で隣地所有者と協議が必要である事。それらを考えると3万以上は出す気にならなかった。さて、入札結果の日。ドキドキしながら見てみると、ななな、、なんと坪6.3万で落札。うひゃー、、ありえん。入札者が増えれば落札価格は上がる。売る方はいいが買う方はどうなのだろうか。
問題点が少し見えたような気がする。

返信を読む限り間違いなく貴殿の方が不動産をわかっていないとです。多分購入された経験がないのだろうと思います。違いますかね。
不動産の売却物件には全く宣伝をしないものが多数(近所の三井の話だと3割が該当)あります。売り手側の都合です。近所に売りに出していることを知られたくないことがほとんどですが、中には子供がいじめられてる、学校になじめないなんて理由も多いです。ネットで宣伝しても買い手がつかないものと違い、このような物件にはいい条件が多いのです。三井など大手に顧客登録しておけば情報を手に入れることができます。これが大手の強みです。不動産経営のような少数派でなくてもマイホームを狙う一般人でも知っています。マザーズオークションの閑古鳥の原因はこの辺りにあるとみています。

それと不動産の大家で成功するにはというハウツー本がたくさん出ていますので読んでみることをお薦めします。
物件購入の際にどのようなポイントを確認しているのがよくわかりますよ。ネットで買うなというのは定石です。自分のいいように偏った解釈をされているので警告させてもらいました。

こんばんは。

>大和証券が日本で最初に
>インターネット取引を始めたときに

ミニ株トレードのことですか?それともファミコンのトレード?
当時はそもそもインターネットが一般家庭に普及していなかったという理由の方が大きいと思います。大和は手数料も高かったです。

 貯金魚さん、こんにちわ。
 突然、コメントが増えたので短文返答ですみません。私は、IDUがゴリラになるかどうかについては、2回めの投稿に引用した2006.12.28投稿に書いたとおり判断保留です。ただ、要素というか可能性はあると思っています。ある程度の数字が出てから判断したら良いと思っています。アップル株は、iPodが爆発的に売れ始めてから買い始めても十分でした。仮にマザオクが成功するとしたら、市場が巨大なために、IDUの株価が今の10倍になってから買っても、十分にもとが取れると思います。ですから、いわゆるキャズムを超えてから判断したらいいのだと思います。
 経営陣の話しですが、アベさんはどうしちゃったんだろうと思いましたが、まあ、わかりません。中期計画の3年目は甘かったと言われればそうですが、大風呂敷すぎました。まあ、マザオクを軌道に乗せられるかどうかで、経営能力を判断したらいいのではないでしょうか。まだまだ先です。

 読者さん、こんにちわ。貴重な情報をありがとうございます。書かれていたようなことは、本質的なことではないと思います。情報を表に出したくないニーズに対しては、特定業者限定のクローズドオークションにすればいいだけです(今でもしていますが)。後も、同様(いちいち書きませんが)。
 iPod登場の音楽業界破壊のときのほうが、はるかにインパクトが大きく、業界の利益構造的にあり得ないと言われていました。談合は必要悪だから、一般電子入札はあり得ないという意見もありました。それらは全て、旧態構造を前提とした話しにすぎません。
 アマゾンも、「本を中身も見ずに買うなんてあり得ない。購入者の気持がわかっていない」と言われていました。

 
 私は、不動産オークションが不動産売買の主流になるなんて思っていません。95%が旧来の方法、5%が、オークションになるだけで、十分に広すぎる市場なのです。売却情報をネットに出したくない売り手が、95%存在していても、OKです。それと、「ゴリラになるから今買うべきだ」なんて、思ってもいません。数字と結果を見てから、考えればいいから、要観察だと思っているだけです。
 もっとも、流動化事業の収益からしても割安だという理由もあって保有しています。

 匿名さん、こんにちわ。
 まあ、そのとおりです。ダイアルアップ接続で、クリックしたときにフリーズして焦ったりとか、ありました。

 のぼりんさんの話しは、面白い体験ですね。
 もしかすると、落札者には、なにかしらないメリットがあったのかもしれません。入札者は、その人単独のメリットがあって金額を入れてきたりします(官公庁入札でも。1円入札とかありますよね)。そういうことも含めて、需要側を広くするオークションのメリットがあります。オークションを利用したい売り手は利用したらいいし、そうしたくない売り手は相対取引すればいい。それだけのことだと思います。高く売れることを、他条件よりも優先させたい売り手もいるはずです。

タイヤの話もそうですが、中古電球も売れるかもしれないし、もしかしたら自分の使用済み下着も売れるかもしれません。固定概念は持たずに現実を見て柔軟に考える事が必要です。
自分が入札した物件は次点も落札価格に近い金額てした。入札件数もそれなりに有って、人気の高い物件だったと思います。
マザーズオークションも何度かチェックした事は有るのですが、たまたま近所のマンションが落札されているのを見ました。
正直言って少し高い、この金額ならいくらでも有りそうです。
需要を広く取り込めるのは良いのですが、参加者が増える事による弊害も有ります。

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