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2007.08.23

フィンテック グローバル

4回目のの投稿です。この1月弱の間、インターネット及び相場にアクセスできませんでした(相場波乱をニュースでは知っていましたけど)。

 前投稿時に、コメントで書いた部分のうち、《21世紀最初の金融危機に突入した》《《貸し出し過剰》から《貸し渋り》への急ターンは、バブル崩壊後の日本を思い起こさせる》といった認識は、ほぼ当たっていたみたいです(私には珍しい)。
 そのときの日経平均が17200円台でしたが、1か月の不在を見込んで、手当していたので、(皮肉なことに)毎日相場を見ていた場合より、損失は軽微ですんだのではないかと思います。
 
 さて、金余り時代が終われば、フィンテックに追い風となるはずですが、そうは直線的にいくはずもありません。むしろ、他銘柄以上に売り込まれているではないですか。戻りも遅い。何か、悪いニュースでも、隠されているかのようにさえ、思えてきます。
 
 私は、フィンテックという企業に期待をかけているというよりも、資金調達の多様化によって生まれて成長する、この市場に期待をかけているわけですが、他にめぼしい企業が見当たらないので、しょうがありません。事業環境が、数年は好調が続く(不動産流動化とは逆に、金利上昇は追い風)と思っているので、多少の経営ミスは打ち消されると思っています。
 
 流動化関連と一緒くたにされますが、業績リスクがかなり違うように思います。
 アセット・マネジャーズなどは、不動産や企業(株式)を仕入れて、付加価値をつけ、さらに高く売却するというビジネスです。そのときに、《仕入値<売却値》だといいのですが、不動産や企業の値は市況にも左右されるので、《仕入値>売却値》という大損リスクもあります。
 リサ・パートナーズは、債権中心なので、安く仕入れさえすれば、融資先が立ち直りさえすれば、確実に《仕入値<売却値》で売れます。
 そして、フィンテック(アレンジメント)の属する証券組成市場の場合には、仕入値自体が存在しません。(今3Qの場合には非出資のSPCの不動産売却が連結されているので、異なった数字となっていますので)前期を例にとれば、売上原価率はたったの7.6%。人件費中心です。仮に仕事が減少しても、その間は、社員は新製品の開発をしていればいいのです(現実には、人材獲得難が成長阻害リスクとなっています)。仮に業績低迷となったとしても、それによる大赤字リスクは非常に低いです。
 まあ、理屈ではそうなりますが、理屈だけで押し切れないのが、株の難しいところではあるのですが。
 
 さて、フィンテックの3Qが出ていたので、簡単に。
 全般ですが、経常利益48億円(前年同期比43.8%増)は、パッと見は2Qから大きく伸びているように見えますが、3Q発生の(私たち株主に帰属しない)少数株主利益11億円、3Qから連結したFXOnlineの8億円を考慮すると、それほどでもないです。
 
 さて、個々に見ていくとして、気になる主要業務は、後回し。まず、問題の子会社群の売上推移(カッコ内は経常利益)を、百万円単位で。
 

-2Q売上3Q売上4Q売上予想
stellar/crane815(238)1,447(340)1,719(276)
イントラスト0(△60)3(△91)43(△102)
リアルエステート21(△23)445(380)521(472)
FXOnline非連結1,221(836)2,345(1,535)
証券55(△36)62(△105)94(△139)
エーサップ1(△262)3(△307)8(△329)

 stellar/craneは、既に利益ベースで年間予想超え。stellarの好調はわかりますが、craneのほうは、どういう状況か、よくわかりません。保険業法改正で、山のように多い無認可共済が保険業法の適用を受けることとなるため、頑張って保険会社になってしまうか、代理店化し再保険するか、などの対応を迫られることとなります。突然に登場する市場を、うまく拾って欲しいと思います。
 FXOは、業績貢献していますが、市況的にいやなムードですね。
 下方修正のときに気になっていたもののうち、「リアルエステート」は、進捗率が通期80%(件数2件)を超えて、安心。4Qに1件あれば、通期計画クリアか。
 「イントラスト」も、立ち上がりつつあるとコメントされていますが、売上はほとんどないです(決算説明資料の数字が2Qと食い違っているような)。
 残る「エーサップ」も、まだまだ遅れている感じです。ただ、数字の規模から見ると、他の子会社が順調であれば、それで十分に埋め合わせられるように思えます。
 
 総じて、よくよく見れば、赤字子会社群は、規模的にマイナス影響度が思ったほど、ありません。費用も馬鹿でかくはないですから、まあまあという評価でいいと思います。
 
 問題は、主要業務。
 両輪のうち、まず、アレンジメント。ここは、ほとんど心配していなかった部門です。以下は、売上。
 06上 1,926
 06下 2,753(3Qは1,129)
 07上 2,941
 07下  671(3Qのみ)
 かなり期待はずれだと思います。しかし、四半期毎のばらつきがあるのは常であり、不振とまでは言い切れません。3Qは、大型案件がなく、4Q偏重とのことで、それを確かめる方法はありません。ただ、ここの需要が低迷するとは考えにくいし、もし、そんなことが起これば、この企業への投資を完全に考え直さなければならない事態です。
 前本決算時での説明では、この業務の新規受付を断ってでも、将来のために新規製品の開発を進めるとのことでしたが、最近は、新製品への言及はありません(下方修正をおこなっていながら、今の利益を削って新製品開発をしています、なんて言えるわけはないですけどね)。
 
 もう一方の輪が、プリンシパル業務。これが、下方修正の最大の要因であり、がっかりの元でしたが、以下、売上。
 06上 860
 06下 1,777(3Qは783)
 07上 1,538
 07下  594(3Qのみ)
 相当に低い数字です。しかし、売上計上は、売却時であり、残高が積み上がっていれば、期ズレだけのこと、と説明がつきます。投融資残高の推移に目を向けると。

-現預金額投融資額
07/028,17840,627
07/0313,08935,836
07/0412,12834,912
07/0514,45632,563
07/067,18842,121

 と、6月から急速に、遊んでいた資金を投融資に回しています。まあ、期待はつなげられると思います。
 
 あと、設定期間が6ヶ月未満のものが、61.4%(前期末)→69.4%(3Q末)へ(回転が速いと手数料収入が増える。長期のものは、投資家に早く販売して差益を稼いでしまってください)。
 不動産以外のものが、43億円(前期末)→70億円(3Q末)、などが、少し目についたところ。
 
 と、いうことで、3Qの成績は、やや期待はずれ(←というか期待し過ぎ)、まあ、こんなものか。「4Q次第だな」という確認に終わってしまいました。株価上昇は、しばらく難しそう。
 
 これからは、枠3000億円というメリルリンチとの提携を、どのように活かすかどうか。妄想として、最大利益値は、3000億x2/3(フィン出資)x15%(目標利回り。現実的には8%ぐらい)=年300億円(+手数料)。実際には、その1/10としても、それなりにインパクトがあります。資金調達に四苦八苦した前期今期からは、次のステージに進んだことは言えます。
 もう資金不足という言い訳はないです。

 4Q決算が、来期の勢いを左右すると思います。

    □ これまでの投稿 □
    
3回目 2007.5.12
2回目 2007.2.3
1回目 2006.11.26

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コメント

はじめまして。いつも拝見させていただいております。
最近は、フィンテックを取り上げる方がめっきり減ってしまいましたね。私もフィンテックについては、ゆきをんさんと全く同じ味方です。

・子会社はまあまあ。
・アレンジメントは一見悪そうだが、4Qで巻き返すだろう。
・プリンパルファイナンスも、一見悪そうだが、残高が積み上がっており、4Qで何とか数字を出してくるだろう。
・3Q全体として、悪くもなくもなくといった感じ。
・来期は、メリルとの共同事業がそれなりに数字に貢献しそう。
・株価は当面駄目そう。来期の予想でよい数字が出れば、徐々に回復していくかな、といったところですかね。

私もフィンテックはアセットなどと違い、市況の影響を受けにくいと見ていますが、きっと、実際に不動産市況が崩れてみないと、この違いは理解されないのではないかなと思っています。

下方修正時は非常に驚いたとともに、裏切られた思いでしたが、まだ、この会社(玉井さん)を信じており、地を這うような株価にも耐えています。
また、折を見て、フィンテックを取り上げてくださいね。楽しみにしています。

フィンテックについては約1年半保持していましたが先月損切りしてしまいました。
理由は以前より狙っていたソフマップを1Q決算前に購入するためでした。

さて自分が最近の動向で気になった点が2つほど

1つめは、フィンテックの決算説明書で今回から記載がなくなったものがあります。
アレンジメント案件組成額に対する売上高比率です。
これを計算してみると1.45%(当期実行分463.7億・手数料6.7億)しかないのですね。
従来は1.7%~2.0%程度あり金利の上昇とともに売上高比率も上昇すると説明されていた部分です。
これに対する説明がないのが気がかりです。

2つめは、元取締役の桶土井克人氏と藤井健氏の持ち株が減少しています。
桶土井克人氏 45,750 →28,258(2007/3/31)
藤井健氏 82,015→72,015(2007/3/31)
今現在も売却されているようですとさらなる下落要因かもしれません。

フィンテック自体の将来性は特に問題ないとは考えていますので場合によっては時期を見て購入しなおそうと決算内容を注目しています。

 brozersさん、こんにちわ。
 フィンテックは「売上」予想だけでなく「費用」積算も、甘いです。「売上」は、顧客次第でやむを得ない部分もありますが、「費用」は、言い訳しにくく、投資家の信頼を失う要因となっていると思います。株価が低いのは、信頼が低いことと関係が。
 等々、不満はいろいろ、あるのですが、それでも、魅力があると思います。

 Tacさん、こんにちわ。
 アレンジメント案件売上高比率は、2Qまで安定していたのに、確かに、3Qに急落していますね。アレンジメントこそが、中核なので、肝心なところ。
 思いつくままに(原因は複合的と思いますが)、
1)案件の大型化で、《率》を下げても《金額》で稼げるようになった(今回は違う様子)。
2)プリンシパルや証券化後転売、など、後々、収益をしゃぶり取れる仕組みが出来上がってきたために、戦略的にアレンジメント手数料を安くできるようになった。
3)知名度が上がり営業費用が減り、あるいは、同じスキームの使い回しができるようになり、組成費用が下がったため、手数料も下げられるようになった。
4)競合が激しくなり、安値合戦に入ろうとしている。
5)たまたま、臨時的に、そういう案件があった。その他。
 4でなければいいのですが、メガバンクに余裕が出てきて、いずれ小規模案件にも乗り出してくるであろう一方、フィンテックの案件の大型化と考えあわせれば、警戒は必要です。また、それ以外としても、《安くできる要因》はわかったとしても、わざわざ安くすることはないですよね。今Qだけのことなのか、もう少し、様子をみなければわかりませんが、気になります。
 一般論として、顧客に取っては、《手数料》も《金利》も同じコスト。金利が低ければ、相対的に手数料が割高になり、「証券化は高い」となってしまいます。金利が上がるほど、手数料コストが相対的に下がるわけで、長い目で見れば、上昇しそうに思うのですが、理屈どおりにいくかどうか。
 
 元取締役の持ち株のことは、予想が難しいので、なんとも。

今回の記事も大変勉強させていただくことができました、ありがとうございます。
よく理解できていない中でのたわ言ですが、素朴な疑問といたしまして、同じ株価水準でも野村よりフィンテックなのは成長余力への期待からでしょうか?
大手は多様化する小口のニーズには対応しない(参入意欲がわかない)、すみわけが可能で、多様化しながら拡大する市場の恩恵をフィンテックは享受できるということかと理解いたしましたが・・・
1点気になってしまったのは、成長のためには限られた人員でどうしても大口案件に手を出さなければならないような気がして、そうするとどうしても競合してしまう・・・成長のためにはより多くの資金を要するような資金不足という壁が続いてしまう・・・大型案件に手を出したがために起こるジレンマ・・・結果株主利益が後回しになる・・・流動化とは事業モデルが違うということでご説明を拝読しこれらは杞憂のような気はいたしましたが・・・
だからといって大手の方が市場の拡大のメリットを享受するかどうかは小生には理解できませんが・・・ご指摘のとおりに資金不足の問題は解決できた?とすれば、当然事業は成長するとして、その際に今後は株主利益を確保しながら成長を実現できる手腕(経営方針?)を発揮してくれるはずというお考えという理解でよろしいでしょうか。
自分にはどこがこの会社の成長のピークか理解できてませんが、市場自体が拡大するのであればまだまだ成長期であり、長期的には事業成長は間違いないのでしょうから、その会社の夢をステークホルダーであるはずの株主にも還元してくれるようにがんばって欲しいですね。

ところで、以前取り上げられていらっしゃったライフステージが予想通り?の下方修正で、将来成長を期待できるならば、ぼちぼち1年間ぐらいかけて今期の結果も様子をみつつ、少しずつ買い始めてもよさそうな株価水準になってきたような気がいたしますが、そもそもの不動産市況の影響からのようですが販売代理部門が売上原価があがり始めているので、不動産関連であるここはもうひとまずは見送るべきで、投資対象外とお考えでございますでしょうか?もしかしたらまだ監視継続なされていらっしゃるかも、と思いまして。

 投資対象が、同じような業務を扱う大手金融機関ではない理由としては、《いろいろ業務を扱っているデパートではなく専門店》であることです。
 一般に、「証券化」のメリットとしては、(本来は所有権である)株式や(本来は家賃である)REITで代表されるように、
1)本来であれば分割できない権利を小口化できる。
2)本来であれば煩雑な第三者への権利移転を簡便化できる。
 そのことにより、流動性の向上や、リスク分散が可能になり、当事者双方にとってメリットがある。ということだと思いますが、理屈としては、「利息」とか「家賃」とか「燃え系アイドルの活躍」とか、キャッシュフローを生み出すものであれば、何でも証券化の対象となりうるのだろうと思います。
 現実には、「私がAさんに借りた30万円の借用証書」のようなものを証券化しても、事務コストが割高になってしまうので、非現実的であり、対象はもっと狭くなりますが、それでも、現在の、銀行融資を中心とした《資金調達市場》の巨大さから考えると、未開拓の荒野が広がっているのだろうと思います。
 現実には、現在は不動産系が中心であり、このままではパイの奪い合いになるのかもしれませんが、市場が広がるのかどうかは新製品開発次第だと思いますので、《市場拡大のメリットを享受》できるかどうか、というより《自ら新市場を開拓できるかどうか》だと考えています。そういう意味でも、大企業はどうなんでしょうか。
 
 それと、資金不足のことについては、本来は《証券組成(アレンジメント)》だけであれば、手持ち資金は必要ないのですが、顧客としては、証券組成だけではなく証券販売まで対応して欲しいはずで、《証券引受(プリンシパル)》まで手を出さざるを得なかった(利も大きいし)〜流動化企業みたいになってしまった、のでしょうが、フィンテック証券が機能し始めれば、証券転売でぐるぐる回せるし、規模がどんどん大きくなっていっても大丈夫なはずと思います。
 そろそろ、資本増強は必要なし、なのではないでしょうか。
とはいえ、下方修正により未熟企業であることがわかってしまったので、わかりませんが。

 ライフステージのことについて、興味深い企業であり、評価は変わっていませんが、決算を見ても、今期予想が難しく。 
 主部門の販売代理業について、前期は「原価上昇」というデメリットが勝ってしまいましたが、「販売不況になれば、代理業としての専門性が注目され委託が増える」というメリットが、じわじわと効いてくる可能性もあります。決算短信だけでなく、決算説明資料なり、企業側の考えを知りたいところです。

なるほど、やはり分析が深いです、勉強になります、感謝です。専門分野の開発を繰り返しているうちにいずれ最後はバーニーズとか伊勢丹の食品部門のようなどこかにブランド力を持つ利益率の高い特殊な高級デパートに成長する企業というイメージと理解いたしました・・・

お伺いして、新市場開拓の動向については、むしろフィンテック自身よりも、それに追随する敵の動きを確認しておくことが重要なのかもしれず、その際、よくわからないのは、同じくその気になれば開発可能な専門性を持っているのではないかとなんとなく思ってしまう大手はノウハウの応用で追随が結構迅速に可能なのか、そうではなくて、開発には時間を要し、フィンテックは先に開発してしまえば先行者利益を一定期間継続的に享受できるのか、大手による代替可能性のスピード感というか、先行者利益の強みがどの程度期待できるのかが僕には、わからないということが、わかりました・・・
利益率が高い鉱山を見つけたとたん同業者であればすぐに群がることができてしまうような類の商品なのか、そうではなく、同業者であってもすぐには他社にはまねできないっていう意味での新市場開発力なのかどうか、きっとここを抑えてなされていらっしゃるからこその期待なんだと思いました。
陰ながらフィンテック証券の動向を応援して参りたいと思います。

ライフステージへのコメントありがとうございました。もしかしたら、販売代理部門は、外的な要因でどうしても業績が上下するのかもしれないと感じたとともに、その影響を緩和するためにいい意味で多角化しようとしているのかもしれないと感じました。不動産業界は、今後しばらくは競争が激化していく可能性が高いと思われるだけに生き残れるかどうかがポイントでしょうね。

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