相場雑感
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こんなときに、米国発大暴落!
いわゆる米国のサブプライムローン問題ですが、深刻なのか、たいしたことがないのか、誰もわからないとはいえ、もし、最大に深刻な場合なら、21世紀に入って、最大の金融危機に入る可能性があるみたいです。
今ひとつ、状況が難しくてわからないのですが、にわか勉強によると、
米国の低所得者(サブプライム層)向け住宅ローン問題、って、昨年から、十分に騒がれており、織り込まれていたと言われていたのですね。ところが、再燃してしまいました。きっかけは、。
米国の住宅ローン証券は、他の資産担保証券と、ごっちゃになった複合商品の「資産担保証券」として、金融機関や投資家に販売されています。その「資産担保証券」は、証券化の例に習い、
劣後部分=高利回り、返済優先順位低い。投機的。
優先部分=低利回り、返済優先順位高い。安全的。
となっており(真ん中にメザニンなどがある)、
多少は、貸し倒れが出ても、劣後部分で対処可能、だろうと思われていたわけです(でないと、優先部分に高格付けが取れませんから)。大手金融機関などは、格付けの高い優先部分しか買いませんから、安心と。
そういうわけで、前から問題があることはわかっていましたが、被害を受けるのは、(ローン会社の他は)劣後部分に資金を入れる投機家だけの問題だろうと。まあ、たかをくくっていたわけです。
ところが、7月に入って、劣後部分を通り越して、優先部分もヤバいことがわかってきました。例えば、全体の比率が、劣後10%、優先90%とすると、貸し倒れ率が、10%を超えることはありえない、と考えられてきたのが、そうも言えなくなってきたと。
不良債権額はどの程度なのか、全体像がわからない。金融機関は、複合商品の「資産担保証券」を大量に保有しているわけですが、その「資産担保証券」の内訳(サブプライムの比率)なんか、不透明なので、問題が、どのぐらい深刻なのか、そうでないのか、わからない。
そうした状況で、S&Pなど格付け機関が、今月中旬に入って、優先部分まで格下げ。
そうするとですね、金融機関は、こういった証券を担保にして、お金を回しているわけですから、格付けが下がれば、
株の信用取引きを例にとると、安全担保(高格付)だから80%の担保力があるよ、とされていたのが、突然に(格付低い)50%に、というようなこととなってしまいます。株と違い、安全性が高いと想定もしてなかっただけに、レバレッジをかけて信用維持率ギリギリ運用をしていた(株に例えたら)わけで、そこからのリスク回避処分売り加速。過剰流動性から信用収縮への逆ターン、こういうことなんでしょうか。
その結果として、お金が企業間に循環しなくなり、資金調達不足でM&A延期などの具体的問題が起こってきました。つまり、《低所得者向け住宅ローンという》経済の一部分だけの問題であったのが、《資金循環悪化と信用収縮という》経済全体の問題に、ステージがあがってしまったということです。
さらに、これまでの格付けはなんだったんだという疑心暗鬼になり、格付け機関への不信が。
等々。おそらく、こういうことですよね。
だけとすれば、日本から見れば、贅沢な問題。これは、景気後退リスクではないです(長引けばわからないが)し、(良いシナリオでは)徐々に深刻さの程度と範囲が明らかになってくれば、相場も落ち着いてくると思います。
少なくとも、日本内需株の企業価値が2割も3割も落ちるような問題であるはずがないと思います(長引けばわからないが)。
それより、なんだかんだ、日本のお金が大挙して海外へ流出している現状が、逆流するようなことがおこれば、日本株にプラスですよね。でも、時間がかかるかな。どちらにせよ、今後は、M&A期待のあった資産バリュー株は、下手をすれば国際優良株も、これまでの勢いを維持するのはむずかしいと思います。不動産流動化も(本来は関係ないけど)厳しいか。
どちらにせよ流れが変わったのは、確か。
「上がるから買う」と浮かれていた状況に冷や水がかかり、本当の価値の見直しにでもなれば、売られ過ぎの日本中小株にも光が当たる可能性も 〜 それは、楽観的としても、「調整が終われば、元に戻る」という感じではない。個人投資家も、頭をリセットしないと。
で、私としては、《お遊び的》株遊びを除けば、流れがどうであろうが、自分が良いと思う銘柄を、保有するということだけです。流れを読むほど器用ではないし、良い企業を、良いと、それだけを見て、あとは我慢。
ただ、状況の転がり次第では、本当にヤバいので注視。
(しかし、当分、コメントもできないところへ。)
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コメント
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まだ、時間があるので整理します。
1)これは、米国住宅問題を超えて、今や、21世紀最初の金融危機に突入した(毎年1〜2回、発生している調整のレベルではない)。M&Aの資金調達延期のニュースなど、《貸し出し過剰》から《貸し渋り》への急ターンは、バブル崩壊後の日本を思い起こさせる。
2)世界に分散投資をしている大規模投資家は、皆、損失を発生させてしまった可能性があり、その損失の程度を把握できていない。
3)ということで、今、大口投資家が、日本も含めて株式市場に資金を投入してくるとは考えにくい。日経平均は、(多少のリバウンドはあっても)しばらく軟調であろう。
4)新興市場の投資家層が、この問題で財布が傷んでいるとは思えない。層が違うのだ。新興市場は出来高が少ないことが問題であり、(可能性は低いが)逆行高の可能性がないとは言えない。その間に新興市場に資金が流れてくるかもしれない。あるいは、気分的に連動安かもしれないが。
5)不透明さが疑心暗鬼を生んでいるのであり、落ち着いてくると、「たいしたことはなかった」という結末かもしれない。少なくとも、今は、《最悪の場合》を織り込みにいっているのであり、《最悪の場合》の実現可能性は低いと思う。だとしても、米国住宅市場は行き過ぎており、元には戻らないだろう。
6)その先は、どうなるのだろうか。後から見れば、ナスダック、BRICs、日本中小株、にとって、買い場提供ということになるのではないかと、希望的観測。日本新興株の絶好の買い場になったら良いが。
以下は、単なる願望。
7)当分、米国の資産担保証券(特に不動産)を買いたいという大口投資家は、現れまい。とすれば、日本の同様の証券組成販売企業にとっては、ライバルが減り、大チャンス!
フィンテックグローバルに期待!
フィンテックは、7月26日にメリルリンチとの提携を発表した。通常、こうしたIRでは、「当期の業績への影響は軽微であり」云々と、表現されるものだが、今回は「本件による業績への影響は、現時点では不明であり、判明次第お知らせいたします」と、書かれてある。あと、2か月しかないのに、業績に影響があるのだろうか?
投稿: ゆきをん | 2007.07.29 10:21
>2か月しかないのに、業績に影響があるのだろうか?
多分上ではなく会社設立にかかる費用などでマイナス面での影響と見ました。
投稿: 読者です。 | 2007.07.31 01:46
子会社設立で業積修正するほどのひようがかかるなんて例がない。ありえないと思います。
投稿: Go out | 2007.08.02 07:36
ご無沙汰いたしております。
地合いが悪い中、新興企業は軒並み下方修正で、上方修正している会社が少なく、厳しい状況ですね。
小生が言うまでもなく、おそらく苦言だと思いますが、「本件による業績への影響は、現時点では不明であり、判明次第お知らせいたします」、これってどこのIRでもよく出している決まり文句ではないでしょうか?
これまた苦言ですが、ゆきおん様は、非常に鋭い視点をお持ちなのに、分析した企業に惚れ込みすぎではないでしょうか?
しっかり経営が見えているはずなのに、別の部分(根拠の薄い期待)で勝負なされてしまっているような気がします。
これは、過去の成功体験(アップル)が強烈すぎたためではないかと、推測してしまいます。
きっと夢を買われているのでしょうから、外野がとやかく言うべきことではないとわかりつつも、かなり期待先行で、割高でも関係ないと判断なされていらっしゃるように見受けられる点、ご認識なされているのか、気になってしまいました。
10年後、どうなるかわかりませんが、ゴリラ企業ではないとご承知の上で、それでも気になる銘柄を割高と知りつつ買われているように思われるのは、いまいち、方針と外れていらっしゃるような気がいたします。
でも、そんな自分も同じ視点で失敗してしまっているような気がしており、反面教師になってしまっておりますが。
批判的なコメントで大変失礼いたしました。
投稿: いつも拝見させていただいております | 2007.08.04 08:24
↑すいません、余計な出すぎたことを書いてしまったと反省しております。
削除したくても、こちらからはできないのですね。
その会社について、よい会社という確信、遠い将来の成長に確信があれば、目先の調整や3割、4割の下落も、現時点では割高と思われる状況で買ったとしても、それは将来的には決して割高ではないのであり、ゴールが見えているので、途中の株価はまったく関係ないですよね。
お詫び申し上げます。
投稿: いつも拝見させていただいております | 2007.08.04 17:41
フィン見た目の決算はいいですけど個別が減益になっています。本業が不審なのでしょうか
投稿: 読者です。 | 2007.08.15 18:47
《いつも拝見させていただいております》さん、こんにちわ。
ご指摘の件、まったくそのとおりです(もっとも、上記は《予想》ではなく《願望》とは書きましたが)。
指摘いただけるのも、ブログならではのメリットですね。
また、試行錯誤で、それなりに痛い経験もしつつありますので、学びつつもあります(苦笑)。失敗から学ぶことは、株式投資の場合には特に多いなあ、と思います。
また、よろしくお願いします。
投稿: ゆきをん | 2007.08.22 11:45
読者です。さん、こんにちわ。
同じ印象ですが、近く、フィンテックの投稿を書きますので、そちらで。
投稿: ゆきをん | 2007.08.22 11:46