リゾートトラスト
2回めの投稿です。リゾートトラストは、5年単位での中期経営計画をたてていますが、今年度は、その最終年度です。目標は、2003年3月期の営業利益70億円を、2008年3月期に、140億円とするもの。昨年度の実績は138億円です。
それについては、今年度に竣工する東京ベイコート倶楽部の前受金を117億円(利益で46億円)、既に受け取っています。売れ行き進捗は、会社計画より鈍いものの、達成ペースといっていいのではないでしょうか。
7年3月期の売上構成(百万円)は、
- | 売上高 | 営業利益 |
会員権事業 | 41,927 | 11,130 |
ホテルレストラン事業 | 45,080 | 1,819 |
ゴルフ事業 | 5,298 | 200 |
メディカル事業 | 4,518 | 333 |
その他 | 220 | 320 |
会員権(分譲)を売り上げて、そこにやってくる客に対してのレストランその他のサービスで、儲けるという、何度も美味しいビジネスなんですが、収益の大半は会員権に依存しています。
その次の中期経営計画について。
Q3.次期5ヵ年計画のイメージについて
A3.現行の計画と同様に、5年間で営業利益を2倍にしたいというのが現状でのイメージです。前5ヵ年の営業利益70億円から140億円への倍増以上に、140億円から280億円への倍増は難しいとは思うのですが、目標を高く置くことで企業としての成長を続けていきたいという思いからのものです。(2006.8.19 個人投資家向け会社説明会 ミーティングメモ)
で、
2009年以降の新たな5ヵ年計画の大きな柱は、このメディカル事業になると考えています。それに加えて、今後も新たな形でのサービス施設の開発をしていく予定です。将来の当社は、リゾートホテル事業を核としながらも、様々な分野から会員の方々の「楽しい生活」のお手伝いができればと考えています。(前掲ミーティングメモ)
メディカル事業とは、今のところ、高度な予防医学を追求した、グランドハイメディック倶楽部の運営(子会社である(株)ハイメディック)です。
最先端の検診システムと優雅なリゾートライフを組み合わせたリゾート・メディカルクラブ「ハイメディック山中湖」。「ハイメディック大阪」、東京大学医学部附属病院に検診を委託した「ハイメディック・東大病院」。この3つの拠点があります。
さらに、(株)ハイメディックと三井不動産(株)が共同で、「(株)東京ミッドタウンメディスン」を設立し、2007年春東京ミッドタウンにメディカルセンターを開設しました。「(株)東京ミッドタウンメディスン」は、15年連続で全米ベストホスピタルランキング1位となっているジョンズ・ホプキンス病院の国際統治機関「ジョンズ・ホプキンス・メディスン・インターナショナル」と業務提携しています。(ジョンズ・ホプキンス大学は、ノーベル賞受賞者31名。米国連邦政府からの研究費額が第1位となっている大学とのこと。)
「診察・治療の留意点をまとめたジョンズ・ホプキンスのマニュアルを活用し、医師やスタッフが研修を積んだ」と田口淳一院長は話す。(略)「米国へのロイヤルティーも含め、採算ラインは年間収入15億円。外来患者が一日300人、人間ドック・健診が同80人必要だ」(古川COO)。ただ一般診療区画は施設床面積の5分の1にすぎず、人間ドック料金も近隣の山王病院(東京・港)などを意識し一般コースは日帰り5万円程度に抑えている。均質な医療サービスの提供が前提の日本では「富裕層向けの自由診療を前面に打ち出すと反発を招きやすい」(医療法人経営者)土壌があり、田口院長らは会見でも身近な医療施設である点を強調した。だが収入目標の達成には、自由診療を軌道に乗せられるかがカギとなるのは明らかだ。標的は東京ミッドタウン周辺で暮らす外国人を中心とする富裕層。米国屈指の医療機関であるジョンズ・ホプキンスの提携機関である点を訴求し、米国医師免許を持つ医師三人が担当する国際特別診療科で対応する。さらに皮膚科や審美歯科を中心にアロマセラピー(芳香療法)などを組み合わせた美容医療センターや、予防医療に根ざして栄養補助食品を「処方」するサプリメントセンターなど幅広い医療サービスを提供する体制を整えている。人間ドックでも同施設の高層にあるザ・リッツ・カールトン東京の宿泊と組み合わせて2泊3日200万円のVIPコースも用意。万一の場合はジョンズ・ホプキンスへ紹介するシステムとし、競合する富裕層向けの医療機関とは個々のメニューよりも医療や栄養・運動指導など総合サービスで差別化する。出資元であるリゾートトラストの伊藤勝康社長は「日米の一流の医師のネットワークを築き、名古屋など次への足がかりにしたい」と医療施設事業拡大に意欲を示す。(2007.03.29, 日経産業新聞)
で、開業後の様子が日経ビジネス2007.4.23の「売れ筋探偵団」に掲載されました。
最大の売りは、従来の医療機関にはないホスピタリティーにある。
ホプキンス大の付属病院が全米の病院ランキングで1位を取り続けている秘訣は、患者への奉仕の精神にある。
例えば、日本では医者憮然として患者を出迎えるシーンもホプキンス大では医者が立ち上がって自らドアを開け名前を呼んで迎える。日本では医者は肘掛け付きの高級いすだが、患者はパイプいす。でも、ホプキンス大では患者も医者と同等のいすだ。
このメディカルセンターでは、患者を「お客様」と呼び、元国際線の客室乗務員や、大手外資系高級ホテルのコンシェルジェ経験者など11人の接客のプロが迎えるのだそうです。
上記記事(4.23)によると、完全予約制の検診サービスには予約が殺到。男性は5月、女性は10月まで予約が埋まっているとのこと。出だしは良好です。
さらに、ホテルレストラン事業とメディカル事業のノウハウを融合した「サービスアパートメント」や、高齢者向け「シニアレジデンス」などを企画中とのこと。
正直言って、メディカル事業の成長イメージが、今ひとつ、わきません。ただ、富裕層向けビジネスは、相乗効果がカギだと思いますので。
それに、金持ちは、健康には金を惜しまないはず(これが重要ポイント)。
わからないなりに、注視していきたいと思います。
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