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2007.05.25

任天堂

「いまさら任天堂か」と言われるかもしれませんが、私が気になりだしたのは最近です(遅すぎ!)。それまでは、単なるゲーム機メーカーと思っていたので、だったら、関連メーカーのメガチップスでいいや、と思っていました。しかし、私の中で、評価が変わりました。私は、主力は小型成長株と心得ていますが、新興低調相場が、まだ、数年続く可能性もゼロではありません。補完的に大型株も必要です。ただ、今は、資金投入せず様子を見ていこうと思っています。そういうわけで、いつにも増して、イメージ先行のおおざっぱな投稿です。

 何回も書いているように、私が最初に買った株は、米国のアップル株で、10年以上、保有していますが、最近、新高値更新しました。

Aapl_2

 その原動力は、ご存知、iPodですが、その発売は、2001年秋。2003年から2004年にかけて人気で生産が追いつかず、ブームが誰の目にも明らかになります。その頃の、アップルの株価は、現在の10分の1程度です。
 その後、2007年4月に、累計出荷台数が発売より約5年半で1億台を突破し、株価も新高値をずっと更新。
 私は、2004年5月(日本暴落時)に、「iPodは、いくら何でも、ピークだろう。株価は先行するから、もう期待できない」と思いました(今の10分の1だったのに)。《合理的》に行動すれば、アップルの全株を売るところでしたが、私は思い入れが強かったので《感傷的》に行動し、アップル株は少しずつ売り崩し、残りは思い出に永久保管しています。
 
 ここでは「玄人的に分析する」とか「相場の裏を読む」とか、そんな人ではなく、単純に、「iPodは売れてるよね。じゃ、株を買い」という素人のほうが美酒を味わっています。
 もちろん、株の世界は素人のほうが勝つというような甘いものではないのですが、そこから考えさせられることはあるはずです。
 
 流動化銘柄などは、「事業内容はよくわからないけど儲かりそうだから買い」という人が多く、「値段」しか見ていない人が多いから、株価が下がると、買いを入れ、少しの業績ネガティブニュースで、パニック売り。
 それに引き換え、こういう、iPodといいWiiといい、誰にも明らかな社会現象は、購入者は、「社会現象」のほうを見ているから、強いです。「株価」だけを見ている人が、「もう利食い時だろう」と売りを入れるのを、あざ笑うかのごとく上昇しています。
 
 一人勝ちのヒット商品については、株価は意外と《息が長い》のでした。それも、かなり。ヒットを確認してから買っても、大型株であっても、リターンは十分です。アップルの場合には、iPodのヒットだけで終わるとは思われていないのですね。それに続く《価値の連鎖》があるだろうと、つまり、市場にゴリラ企業として《認定》されたといっていいと思います。
 
 
 米国のヒット商品に対して、次は、日本のヒット商品。任天堂は、どうか。
 ニンテンドーDSは、日米で、2004年暮れに発売されました。そして、2007年3月末現在の累計販売台数は、日本1602万台、世界4029万台。
 Wiiに至っては、昨暮れに発売開始されたばかりで、累計発売台数は、2007年3月現在、日本200万台、世界584万台。ちなみに、ソニーの、前時代(勝ち組)機種であるPlayStation2は、日本1000万台、世界1億台を売っています。Wiiが、ゲーム機にとどまるなら、ここに数割を上乗せしたぐらいが着地点でしょう。
 しかし、ゲーム購買層とは異なる年代層への浸透が、目立ってきていませんか。
 

 でも、それって、いままでの思想と変わらないというか、とにかく最高級のおもしろいゲームを出せば、みんながゲームをやるはずだっていう理屈と同じだと思ったんです。
 そうではなくて、いろんな人のいろんな趣味に応じたバラエティーに富んだものを用意して、いろんな人の趣味の輪がちょっとずつ重なっていくその重なりの中心にWiiがあればいいんじゃないか、と。社長が訊くWiiプロジェクト

 
「Wiiは、テレビにチャンネルを増やすような機械にしましょう」(略)「everyday newness(毎日新しいものを)」というコンセプト。具体的には、天気予報とニュースのような、家庭のお母さんが見たいと思うようなものをWiiでもみられるようにすればよい。(日経ビジネス2006.11.27)

 任天堂のWiiは、本体は目立たないようなデザイン。ゲームをしていないときも、ずっと電源を入れておいてもらえるように低消費電力。夜は静かなように、ファンを止める仕様。と、もとから、ゲームのための機械という設計ではありません。「ゲーム機だけど、ゲーム以外のソフトも使える」というのではないのです。
 また、DSも、オプションで、ムービーや音楽を再生させる機能があります。アップルのiPodと同様に、けっこう、拡張性があったりしますが、共に、そのようなことは、ほとんどアピールしていません。機能てんこもりのマルチメディア端末であることより、《わかりやすさ》を訴えています。
 その目指しているところが、「改良」ではなく「利用者側のパラダイムシフト」なので、性能や技術を主張してはならない、と心得ているのでしょう。だとしたら、過去のゲーム機の販売台数から、今後の任天堂を予想するのは、見当外れなのではないでしょうか。
 
 

 ゲームに興味がない人にも、「これは自分に関係のあるものだ」と少しでも認識してもらいたくて。暮らしの中にWiiを取り入れてもらうきっかけになれば、と思いました。例えば、お母さんが積極的にWiiの電源を入れてくれたらうれしいですね。(略)
 知り合いに、朝、ごはんを食べているとき、時計を確認するためだけにお天気チャンネルをつけている人がいるんです。普通のテレビ番組だとテレビに集中してしまって、ご飯が進まないらしくて。お天気チャンネルだと時計と天気だけなので、食べるのに集中できる。そういう使い方もあるのか、と気づかされました。
 (Wii開発スタッフが語る「お天気チャンネル」の話)

 朝、起きたら、何となくテレビの電源をつけるように、
 朝、起きたら、何となくWiiの電源をつけ、Wiiチャンネルから選ぶようになる未来がくるとしたら、
 

 インターネットに触れたことのない人にも、世の中って便利になったねって、言ってもらいたいですよね。たとえば、おじいちゃんと「温泉行こうか」という話をしたときに、どんな温泉があるかがテレビ画面にぱっと出る。「テレビでいまこんなことできるの?」「いや、テレビじゃなくて、この機械(Wii)で見られるんだよ」なんて会話を期待したいです(笑)。(Wii開発スタッフが語る「インターネットチャンネル」の話)

 
 テレビでインターネット、という試みは、色んな企業が試みて、過去、次々と失敗してきました。しかし、パソコンでインターネットを十分に活用している人は、全体の一部にすぎません。一部はケータイに流れていますが、需要があるのは確実だと思います。
 次は、インターネットショッピング。
 
 世界同時に公開するうえで、真っ先にやらなければならなかったのが、技術の前に、まず法律でした。やはり「課金」という要素があるので、法律的にクリアにしなければいけない部分が沢山ありました。(略)
 たとえばヨーロッパだと20カ国、30カ国とあって、それぞれ法律も税金の仕組みも違う。また、アメリカに至っては、州ごとに税率が違います。
(略) 国内外の法務的な問題や、税務・会計の問題について、他部門と連携して時間をかけてかなり議論しましたし、その結果、海外、国内ともに現在のようなWiiポイントの仕組みと、取り扱いに達することができました。(略)
 通常のソフト開発なら開発部門だけの調整で済むんですが、「Wiiショッピングチャンネル」は、むしろまったく新しいサービス・新しいビジネスモデルの開発なので、海外も含めてとにかく関係部門がとても多いプロジェクトでした。(Wii開発スタッフが語る「ショッピングチャンネル」の話)

 これは、単に、ゲームソフトのダウンロード販売だけのために、していることなんでしょうか。それとも、もっと違う未来を見ているのでしょうか。
 
 長年任天堂は、「自社で商品をつくって製造して世界中に売る」、「自社が努力をして普及させたプラットフォームをソフトメーカーさんにお使いいただいて、そこからライセンスフィーをいただく」、この2つのビジネスの方法でやってきたわけですが、それ以外の構造が将来できるための土台はできたと思います。2007年3月期説明会質疑応答

 
 さて、任天堂も、この1年で、株価は2倍。一昨年からだと4倍弱になっています(見過ごしたのが悔しい)。「任天堂の株価は、そろそろピーク」これが、おそらくコンセンサスです。ゲーム機にとどまるのなら、そうかもしれません。しかし、ビジネスモデルに変化があるとすれば、過去の財務諸表から、将来の財務諸表を予想しても、意味ないですね。
 
 任天堂の時価総額は、4兆円。ゲーム機メーカーなら、上昇余地も限定的かな、と思わないではないです。投資興味はありません。
 しかし、Wiiチャンネルから始まる、新しい収益モデルが出てくるとしたら、桁が変わる可能性もあるのではないかと期待します。
 私にありがちな夢期待過剰に気をつけながら、様子を見ていくことにします。


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コメント

判断は難しいですね、パラダイムシフトが起こっているのは確かだと思いますし、
もしそうなら、今までの数字は参考になりませんし。
バフェットも割高といわれて購入した銘柄の長期保有で・・・ですから。

私は逆に2倍程度で売って後悔しています・・・(苦笑)

 tokmin05さん、どうもです。
 任天堂は、無借金経営で、現金を1兆円近く保有しています。決算短信では自社株買いにも言及していますし、ハード部門系のM&Aの可能性も社長が述べています。社長は、今、お金の使い道を考えて、楽しくて仕方が無いでしょうね。
 お互い、過去のことは忘れて、これからのことを考えましょう(笑)。

そうですね。私も過去にとらわれている身でした。
収益構造が変化していく可能性や、
会社の方向性も変わりつつあることを考えると、
実はまだ変化のスタート時点に入ったばかりなのかもしれません。
いやーでもこういう想像をするのは楽しいですね。

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