« アセット・マネジャーズ | トップページ | 続・少数派のススメ »

2007.04.20

メディカルシステムネットワーク

新興市場はぼろぼろですね。こんな日に、新銘柄を投稿しているなんて、変わり者。少数派でいきましょう。今回は、拙稿「負債の多い割安株」の、典型例です。

 調剤システムの最大手は、EMシステムズで、約1万台のシェアがあるようです。これに、三洋電機、三菱電機ビジネスシステム、などが続き、下のほうで、数百台規模のシェアを持つのが、メディカルシステムネットワークです。
 
 私は、もともと、EMシステムズを調べていたのですが(こちらも注目中)、このメディカルシステムネットワークが気になって、ウエブサイトで、各種資料をざっくりと見てみました。
 
 メディカルシステムネットワークの事業毎の売上高推移(カッコ内は営業利益)に見てみます。

- 05.906.907.9(予想)
医薬品関連1,017(148)1,258(251)1,352(379)
調剤薬局16,551(403)29,682(453)31,219(715)
その他/連結消去△11(△63)△316(△72)△523(△141)
合計17,558(549)30,625(663)32,050(953)

 
 本当の注目は、医薬品等関連事業なのですが、先に、調剤薬局事業から見てみます。調剤薬局事業は、以下のとおり、M&A連発により、急拡大しています。
 
2002年12月 ファーマホールディングなど2社 4億3700万円
2003年12月 一の秋野など3社 3億6700万円
2004年4月 カズエンタープライズ 6500万円
2004年12月 エールメディテックなど5社 1億1500万円
2005年10月 阪急共栄ファーマシー 37億5000万円
2005年10月 サンメディックなど2社 8億5000万円
2007年1月  シー・アール・メディカル 2億円
 
 業界全体が、再編淘汰の最中だとはいえ、メディカルシステムネットワークの企業規模にしては、異常な額、多さです。資金は全て借金であり、当然、財務内容も悪化しています。暖簾代は、19.1Qで、約50億円!
 ここで、読むのをやめたくなったかもしれませんが(笑)、これからがこの文章の本番です。
 
 調剤薬局事業については、ここまで。
 調剤薬局も、薬の卸も、数が多すぎて淘汰の嵐は必至ですが、その合理化圧力を追い風に受けて期待できる事業について書きます。それは、全国5万軒弱の調剤薬局(市場規模4兆円以上)を支援する医薬品等関連事業です。
 決算短信の「中長期的な会社の経営戦略」には、次のように書かれています。
 
 当社グループは最初のステップとして、長年の保護行政により、内部改革が遅れている医療関連業界のうち、特に医薬品卸売会社と調剤薬局等(病・医院を含む)との商慣行の変革に挑みます。
 次に、地域住民に適切な医療が施されるために必要な情報を調剤薬局等に供給し、地域医療の質的改善の支援を図ります。
 最終的には、当社を中心に構築された調剤薬局等とのネットワークを背景に、医薬品の適時、適正な価格、数量の流通を促す市場(マーケット)を創設し、医薬品マーケット情報と医療関係情報を高度に組み合わせた情報ネットワークに昇華させ、当社発のこのネットワークを医療関連業界の標準とすることを目標とします。

 その中心が、医薬品ネットワーク事業『O/Eシステム』です。
 これは、インターネットを活用して、調剤薬局と卸との医薬品受発注と代金決済を支援するシステムです。調剤薬局に端末を設置し、卸と専用回線で接続、薬局が医薬品情報を入力しますと、『O/Eシステム』を経て卸に伝わります。配送は、卸から直接です。メディカルシステムネットワークは、薬局から端末リース料と手数料を受け取ります。卸との条件交渉はメディカルシステムネットワークがおこない、支払もおこないます。ただ、メディカルシステムネットワークによると、「共同購入」ではなく「取引インフラの提供」という位置づけです。(このブログでも取り上げた他の銘柄のような)卸に取って代わるB to Bシステムなどに比べると、前近代的な卸の存在を前提としたシステムであり、なんだか中途半端な、と思わないでもないですが、商品の特殊性、あるいは規制のある業界なので、こうなるのでしょうか。「金の流れ」を合理化して、卸は「物の流れ」に特化してください、ということです。
 見方を変えると、在庫リスクなどは卸に押し付けたままで、利用料などリスクの少ないところだけで商売するという美味しい「関所型ビジネス」になりえると言えます。
 
 卸と薬局の双方に、小口受発注による事務煩雑の無駄を削減するというメリットがあります。これが相当に煩雑なようで、支払い期間長期化の原因にもなっています。また、ネットワークに加盟する調剤薬局間で不動在庫を売買できるので廃棄ロスも低減できます。
 卸の側からは、その他に、支払い期間の短縮というメリットがあります。日経ビジネス07.4.9号のドラッグストア特集によりますと、この業界の支払いサイトは3〜4か月だそうです。これを、メディカルシステムネットワークのシステムは、2か月程度としています。薬局にとっては、支払い早期化を迫られることになりますが、メディカルシステムネットワークは、調剤報酬債権証券化事業というサービスを提供しています。
 調剤薬局の資金繰り支援からは、財務経営指導も見えてきますし、そこから、薬剤師指導など、業務を広げることもできます。メディカルシステムネットワークのグループ内組織である「医薬総合研究会」は、企業内会員組織としては、全国唯一、日本薬剤師研修センターから研修実施機関として認められた薬剤師研修のプロ集団なのだそうです。薬剤師不足は、相当な問題で、後述のセガミメディクスもメディカルシステムネットワークとの提携の魅力の1つに、薬剤師指導をあげています。
 
 現在の参加加盟店(19.1Q)ですが、メディカルシステムネットワークのグループ調剤薬局が153店、一般加盟が130店、さらに昨年9月に関西のドラッグストア大手(調剤売上高2位)のセガミメディクスの55店が加わりました。さらに、セガミメディクスは、2月には関東の大手セイジョーと経営統合を発表し、そちらも加わると思われます。
 このシステムに、どのぐらいの必然性があるのかどうか、わかりませんが、セガミが採用したということは、他にも興味を示すところは出てきそうです。加盟店は、まだ、全調剤薬局の、1%にも満たないのですから、仮に標準化には至らなくても、シェアの数倍化は可能ではないかと思うのですが。
 
 前掲の、日経ビジネス特集記事によると、厚生労働省は、ジェネリック医薬品(先発薬の特許切れ後に同じ成分で作られる後発医薬品)の普及を促進していますが、そのシェアが、欧米並みになれば、先発薬の在庫管理だけで手一杯な中小規模の調剤薬局には、需要予測もできず、相当な重荷となるそうです。コスト高の原因の1つが非効率であるのなら、いずれ、何らかの形で効率化は必要なはず。
 
 セガミメディクスとメディカルシステムネットワークの社長対談が、ドラッグマガジン07年1月号に載っていますが、システムの仕組みが紹介(これを読めば買いたくなりますよ)されています。

 ちなみに、このシステムは、地元の北海道から始まりましたが、全国展開にあたり、三井物産との折半による子会社エムエムネットにより、おこなっています。同じようなシステムをおこなっている競合は、見当たりません(おそらく)。会社資料でも、何故か、競合リスクはあげていません。

 前掲ドラッグマガジン07年1月号に、メディカルシステムネットワーク子会社で調剤部門を担っているファーマホールディングの秋野社長の「地域薬局として在宅療養チームの一翼を担え」という文章を少し、引用します。
 

 日本の医薬品物流コストは先進国の中では未だに高い。薬局の発注方法や支払方法にも大きな責任がある。医薬品名入りのボールペンの費用も、至急配達の費用も、自動発注によらない電話発注の高い費用も、薬局の少しの努力でもっと無駄を削減できるのではないか。
 これらの無駄も含めて薬価が形成され、医療費に税金が使われているとの自覚が必要だ。

 
 このシステムが、本当に、将来は【医薬品マーケット情報と医療関係情報を高度に組み合わせた情報ネットワークに昇華させ、当社発のこのネットワークを医療関連業界の標準とすることを目標とします】という高い目標に向かうのか。まだまだ、判断尽きかねます。

 
 あと、メディカルシステムネットワークは、高齢者専用の賃貸マンション(年一棟のペースで建てる)や医療モールの運営事業(年2-3カ所のペース)などにも、乗り出しています。手を広げ過ぎではないかな。前者は、(有望なのはわかりますが)私にはシナジーが今ひとつ、見えません。
 
 さて、財務面です。メディカルシステムネットワークの、05.9期の経常利益が504百万円。06.9期が、20%アップで604百万円。今年度は、中間で、367百万円。通期で、32%アップの、802百万円を、予定しています。進捗状況は、1Qで、307百万円に達しており、中間期の8割を既に達成しています。
 昨年度は、減損損失が、922百万円、暖簾償却が330百万円、足を引っ張っていたので、実際のお金の儲けを示す営業CFは、税引き前では、11億円。さらに、今年度は、かなり上回ると思います。一方、時価総額は、29億円。異常に、安く放置されています。
 自己資本比率が、9.6%というのが、気になるからでしょう。
 
 当然、会社側も気にしていて、決算短信で、事業等リスクの主要項目としてあげています。
 何しろ、暖簾代の50億円(どうみても異常値)が足を引っ張ります。また、昨年度もおこないましたが、買収した調剤薬局の不採算店のスクラップで減損処理をおこなう可能性があります。そう考えると、利益のほうは、当分は、冴えないです(それでも、予想PER20以下)。
 
 で、実際のCF負担は、期末で、有利子負債依存度が、58.9%。支払利息額が、117百万円。インタレストカバレッジレシオ(営業CF/利払)が、9.9。やはり、多いのですが、営業CFは、以下のとおり、わりと順調です。というか、将来のキャッシュ製造マシンの姿がおぼろげに見えます(まだ、見えないか)。

- 営業CF投資CF
17.3Q238△55
17.4Q320△619
18.1Q△133△3,993
18.2Q21222
18.3Q263△49
18.4Q7690
19.1Q141△28

 M&A路線を、やめるならば、増資せずとも徐々に何とかなりそうです。債務償還年数(有利子負債/営業CF)が、8.7年(前期末数字)。
 調剤薬局の拡大を続けるのは、その事業のスケールメリットだけではなく、実例として、ネットワーク事業の成功例を作り上げる必要があるのだと考えたら。また、調剤薬局網を、全国に広げることで、その問屋との関係をネットワーク事業に転用する必要もあるのだと考えたら。今年に入って、空白区の中部でも買収をおこない、これで、全国にネットワークは広がったことで、M&A路線に一区切りついたという見方もできますが、わかりません。
 
 しかし、資本増強に、増資などの処置をとる可能性は、あると考えておいたほうがよさそうです。加えて、私についてはビジネスモデルの把握にも自信がなく、買いには早いと考えています。
 現在、中期計画を策定中ということです。大化けの可能性もあり、注目していこうと思います。
 

« アセット・マネジャーズ | トップページ | 続・少数派のススメ »

コメント

メディカルシステムネットワークの医薬品等関連事業については、2年ほど前に注目したことがあります。

ただ、医薬品等関連事業は伸びが小さいのとM&Aがあまりに多いので、怖くて投資できませんでした。
まだ投資をできる時期ではないな、というのが感想です。

 AKIさん、こんにちわ。
 認識は、ほぼ同じです。
 
 ただ、以前は、医薬品等関連事業は、身内の薬局だけでおこなっていたので、本当に需要見込みがあるのか素人目に判断できませんでしたが、大手のセガミが加わったことで、その見込みに可能性が出てきたことと、
 また、M&Aは、今年初めに、中部地方が地盤のシー・アール・メディカルの買収で、ともかく、全国網(問屋との関係)は完成したこと、
 これで、最初のハードルはクリアしたと考えています。
 
 暖簾代償却については、例えば、楽天が、最近まで、ずっと、暖簾代のため赤字続きであっても、市場からは評価されていたように、理由が立てば、それなりに評価されると思っています。
 
 買い場は、早くても中期計画発表以降と思っています。

EV/EVITDA倍率が大きくマイナスなメディカルシステムネットワークは買収される心配がないですなw
三角合併解禁ドンと来いw

これはまた面白い企業ですね。
ご紹介ありがとうございます。ウォッチ先にいれました。

見た瞬間、私が監視しているMPTと似ていると思いました(笑 あっちも、のれん代70億ありますので。でも、営業CFがいいかんじなのも、似てます。

 アプロシードさん、らうさん、こんにちわ。
 以下は、根拠のない《妄想シナリオ》ですが、ラ・パルレなどに見られる「株価上昇」パターンとして、
 
1)新しい企業の、ビジネスモデルや新業態に投資家の注目が集まり、期待から株価が上昇する。
       ↓
2)思ったよりも、業績が伸びない(ときには下方修正)ことに投資家が失望して、株価が下落し、人気薄、忘れ去られる。
       ↓
3)少しずつ業績が実が結んでくるが、投資家は過去のネガティブイメージに引きづられて、強気派と弱気派が交錯する。(確かに不安要素多い)
       ↓
4)弱気派が、すこしずつ強気派に転向していき、株価は上がっていく。

 メディシスは、数年前に個人投資家に人気化した記憶(メルマガ「億の近道」の常連)がありますが、投資家の期待を裏切っているため、今は、3)の段階ではないかと。

 その逆の「株価凋落」シナリオ(自戒を込めて)が、
2)業績が好調な(上方修正繰り返し)ことに投資家が歓喜して、株価が上昇し、人気化する。
       ↓
3)少しずつ業績に不透明感が出てくるが、数字には未だ反映されないため、投資家は過去のポジティブイメージに引きづられて、強気シナリオを取り下げることができず、「市場が間違っている」を繰り返す。(確かに楽観シナリオが残っている)
       ↓
4)強気派が、すこしずつ弱気派に転向していき、株価はじり貧。

 なんら根拠のない、思いつきです。

以下の理由で、そろそろ仕込み時かと感じています。
・拡大路線から利益率追求路線への転換
・東証2部上場計画をHPで明示

みなさん、どう思われますか?

 仕込み時かどうかは別にして、
 増資懸念が遠のいたこと。確かに、買いやすい状況になりました。

YUKIWOさん

私が知らなかっただけかもしれませんが・・
セガミはメディシスのSCMに参画していますが、セイジョーとの経営統合で、新にセイジョーの50店舗やWINグループの調剤取り扱い店も、このSCMに芋ヅル式に加入して来そうですね。
だんだん、この株価水準の美味しさが増してきたように思います。
今期EPSが1万円乗せで、来期が四季報予想通りの1.4万円とかになってくると、株価が居場所を変える様な気もしてきました。(これでいつも失敗しますので、冷静なご意見を期待いたします)

 株価のことは、正直、まったくわかりません。
 特に負債が多いことが、どのように評価されるか。
 ただ、長い目で見た魅力は感じています。

ありがとうございます。
もう少し調べてみます。
相場全体は調整色を強めそうなので、突っ込むところがあるでしょうから、じっくり行きます。

第3四半期の決算発表がありましたね。
純利益で、進捗率100%と、好業績でした。
さすがに、株価は上昇気運ですが、どうでしょうか。
借入金返済のピッチも上がっています。

ネットワーク加盟店が急増していますね。
6月にセイジョーの全店が加盟して、400店舗に乗せましたが、最近リニューアルしたホームページをみると435と、3ヶ月で26店舗増加のペースです。

いい感じですね。そろそろ考えましょうか?

今日、前期収支の増額修正(3Q発表より5割増益)と、5千円の増配を発表しました。
1株当たり利益が、14,500円ということで、はずみがついて来た感があります。
ホームページに載っていますよ。
正式な決算発表は、8日とのことです。

もう少し、仕込んでおけば良かったと思います。
ご報告まで。

 買おう買おうと思いながら、過ごしてしまいました。
 残念。でも、今からでも、十分お買い得。

増配は、+500円でした。(訂正)
8日に決算発表(及び今期予想)、12日に投資家向け説明会があります。
私は、投資家向け説明会に出てみようと思います。
四季報では、確か今期1株16,000円位の利益を予想していましたが、
ひょっとすると、今期はもっと高い数字を示してくるかもしれません。
会社が、株価を意識しているような雰囲気も感じています。

あと、HPをみていて気がついたのですが、ここの役員陣は、30代40代が多く、結構バイタリティがありそうです。

 いい話しが出ればいいですね。期待しています。
 私も、少額でこつこつ拾うことにしました(流動性が少なすぎるのが難点)。

昨日、思わぬ急落で少し買い増しました。
本当だったら、17万円で売っておいて、昨日買えればベストでしたが、なかなかできません。

お久しぶりです。
今日は寄り付きの注文を出しておいたら、114,000で約定。
得したような気持もありますが、この会社の評価がこんなに低いのは、ちょっと悲しい感じもします。

ほんとにご無沙汰です。
ようやく、2月相場に向けて底が固まってきたのでしょうか。

MSNWは、ネットワーク加盟店は順調に増えています。
中間期で、通期目標の500店舗に行きそうな勢いなので、第一四半期の決算が楽しみです。
というより、良い決算でないと困ります。

第一四半期だけで、通期計画の4割近くの利益を出してしまいました。
通期見通しが、低すぎませんでしょうか。

(なぜか私だけの書き込みでさびしい限り。東京市場のような寂莫感です)

中間期は、期首予想より、40%の増益になりました。
一応、ご報告まで。

 アマチュアさん、そのようですね。
 ただ、IRを見ると、調剤薬局事業の売上好調さ(及び効率化)が理由のようで。長期で期待しているのは、別のほうです。

会社の事業説明会で聞きましたが、ネットワーク加盟も順調のようです。

勘ですが、東証二部移行も申請したとにらんでいます。

二日続けて、200株以上の出来高。
13万に乗せて来ました!

sundollarご無沙汰しました。

今日、二部鞍替え決定と、記念増配を発表しましたが、市場環境が悪いので、株価にどう反映されますやら・・

ご報告まで

ご存知かもしれませんが、MSNWはアルフレッサHDと資本・業務提携を行いました。
特別利益が11億円以上発生するほか、今後の戦略展開に大きく弾みがつきそうです。

ユキオさんや読者のみなさんが、ホルダーであることを祈ります。

 量は少ないですが、持ってますよ。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3873/14787775

この記事へのトラックバック一覧です: メディカルシステムネットワーク :

« アセット・マネジャーズ | トップページ | 続・少数派のススメ »