続・少数派のススメ
GWなので、軽い投稿です。おちゃらけシリーズ第2弾です。前回は、「裏目じじい」の話を、本気5割、おちゃらけ5割で、書きましたが、今度も、あまり真剣に受け取らないでください。
例えば、農作物のキャベツが大豊作の年に、テレビのニュースで、農家の方がトラクターで畑のキャベツを踏みつぶしていく映像が流れます。供給過剰で需給のバランスが崩れ、流通コストが合わない、等々の理由があるからだと思いますが、消費者の視点から見ると、もったいないなあ、と、いつも思っています。しかし、手間暇、丹精込めて作られた生産者の方にとっては、苦渋の決断だったに違いありません。
モノの値段は、需給バランスで決まるのです。
こんなところで、キャベツのファンダメンタル価値は、これこれだから、こんな値段であっていいはずがない、などと言ってみても始まりません。
株の値段もそうでしょうか。市場で取引される以上、需給が値段を決めます。当然ですね。私もファンダメンタル投資家の端くれですから、「こんな株価であっていいはずがない」と、叫びたくなるときもありますが、買いたい人、売りたい人、が、存在してこそ、市場は成り立つのです。需給が全て。
なのでしょうか。
違います。
株は、「現在の現金」と「現在の効能」との交換ではなく、「現在の現金」と「将来の現金」との交換です。
株に求められているのはキャピタルゲイン(売却益)だけではありません。株には、インカムゲイン(配当)というものがあります。「たとえ市場が閉まっていても、気にならない」というのが、長期投資家です。売買はできなくても、いずれ、貰える配当の累積が株の買値を超えていくことでしょう。
私は、成長株志向なので、株を買うときに、それほど配当を気にしたことがありませんが、しかし、突き詰めて考えれば、株を買う不安への対処は、将来の配当への期待によってなされています。
とすると、私の定義では、長期投資とは、インカムゲイン総額で買値を回収する計算ができる投資のことであり、たったの2年や3年ではありません。
そこまでいかなくとも、株価には、将来配当への期待が反映されますので、需給のみとは、言えないと思いますが、需給は大切です。キャピタルゲインしか興味がなく、1年や2年で株を回転させるような投資家が、「自分はファンダメンタル投資家だから」と需給を軽視しているのはおかしいと思います。
話を単純化するために、以下の話では、需給だけを考えることにします。
売り手が多数で、買い手が少数なら、株価は下がります。
買い手が多数で、売り手が少数なら、株価は上がります。
中短期投資の真髄は、それだけです。
だったら、株で儲けるのは、どうすればいいでしょう。
上昇する株とは、相対的に「買い手が多い株」あるいは「売り手が少ない株」のことです。
「買い手が多い株」とは、出来高が増え続けている株のことかな、と思ったりしますが、ここでは、省略。話を、「売り手が少ない株」に絞ります。それが、本稿のテーマですから。
株主には3種類あります。
1つめは、「安定株主」。前述の超長期投資家などがそれですね。
2つめは、デイトレーダーなど、短期投資家。買いも売りも短期間に双方をおこないますから、需給には中立です。
3つめが、中短期投資家。
さらに、3つめの中短期投資家には、2種類があります。
最初が、合理的ファンダメンタル投資家。自分なりに合理的なファンダメンタル株価を算定し、それ以下なら、絶対に売らないという信念を持っています。逆に、理論株価を超えたら、すぐに「割高だ!」と売りに回ります。「売ろうか、どうしようか。」などとだらだらと迷いません。
次が、「裏目じじい」です。これについては、前稿で、詳しく書きました。みんなが買っているから買う、売っているから売る。企業分析よりも、株ブログ巡回に熱心で、コンセンサス銘柄に投資する人たちです。
(実際には、単純に区分できません。私を含めて、多くの個人投資家は、合理的ファンダ投資家と、裏目じじいの間を行きつ戻りつしながら、もがいていますから)。
さて、需給の話に戻します。
株の潜在的売り手とは、どのような投資家でしょうか。
「安定株主」は、所有者ではありますが、売却意志がなく潜在的売り手ではありません。短期投資家は中立です。合理的ファンダメンタル投資家は、自分なりの理論株価以下では、売らないし、それを超えたら「割高だ」と処分するので、所有者として保有している以上は、その株価では、潜在的売り手ではありません。
こうやって消去法で消していくと、最後に残る、潜在的売り手とは、他人の動向ばかりを気にしている「裏目じじい」だけなのです。
市場流通の株数が一定とすると、所有者のうち、「裏目じじい」の占める割合が多い株は、潜在的売り手が多く、「裏目じじい」の占める割合が少ない株は、潜在的売り手がすくないといえます。
つまり、売り手側だけに着目すると、株の需給バランスを決めるのは、その株の「裏目じじい」の占める割合です。
「裏目じじい」が、こびりついている株は、新たな裏目じじいがデビューする出来高増大相場でのみ、するすると上がったりしますが、そうでないときには、上昇しにくく、下落しやすいと思います。
「裏目じじい」が儲かるのは、例外的な上昇相場だけなんです。
(なんという、乱暴な論理展開でしょうか(笑)。大げさかもしれませんが)
おちゃらけて書きましたが、「そんな、あほな」と笑いながら、現実の株式市場には、これに近いものがあるのではないでしょうか。
頻繁に株雑誌に取り上げられる銘柄は、なぜか上昇しない、のも、このあたりが原因でしょう。個人ブログには、それほどの影響力があるとも思いませんが、あちこちの個人ブログに取り上げられるようになったら、同様なのではないでしょうか。
「裏目じじい」の保有比率が高まっていくということは、その分だけ、合理的なファンダメンタル価値に着目して保有している投資家が、価値判断をし、保有から、非保有への移行をすませているということです。
「裏目じじい」から合理的ファンダ投資家が、高値で株を買い戻すなんてことは、早々起こることではありません。そのためには、合理的ファンダ投資家が予想していなかったサプライズが起こり、その認識を改めさせて、彼の理論価格を修正させなければなりません。しかし、彼は、織り込まれていないサプライズはないだろう、と手放したのです。
保有を続けていた「裏目じじい」が正しくて、手放した「ファンダ投資家」が、認識不足であったというようなことが、早々、あるはずもありません。
前回も書きましたが、再掲。
裏目じじいは「皆と同じことをしている」という安心料を、投資での損失という形で支払っている。
裏目じじいにはなりたくない。しかし、「安心」は欲しい。
だとしたら、安心の根拠を、「みんなと同じだから安心」ではなく「この企業は良く知っているから安心」に、求めるしかないと思います。
ただ、それでも、株式投資に「絶対の安心」は、ありません。
私は、株式投資に、知識や能力以上に《メンタルな強さ》は不可欠だと思います。
「以前は、これより安値で売ったのだから、こんな価格で買い戻してたまるか」
「これより高価で買ったのだから、こんな値段で売ってたまるか」
「ここまで待ったのだから、こんなところで手放せるか」
感情に支配されると、間違いなく失敗します。
そして、他人に責任を転嫁せず、素直に反省し、気持を切り替えること。
感情のコントロールができない人が、株式投資で成功する可能性は低いと思います。他のブログを読んだり、このブログにコメントを頂いたりしますが、傲慢ですが「この人が株で成功するとは思えないな」という人は、この一点で、判別できます。例えば、他人のブログで嫌がらせをするような人が、株で成功する可能性はありませんね。
私自身も、持ち株で失敗したときに、それを取り戻そうと、より値動きの激しい株を買ってしまい、さらに損失を広げてしまった経験もあります。順調なときなら、絶対に買わないような株を。
早寝早起き、よく食べる。こういう規則正しさを守り、心身の健康を保つって、案外、大切ではないでしょうか。
個人投資家は様々です。けれど、私は、感情より合理的判断を優先できる人で、株ブログ巡回が「依存のため」ではなく自分なりの調査を大切にする人なら、よっぽど運が悪かったりしない限り、そこそこは成功すると考えています。
(追)
コンセンサス投資のための株ブログ巡回は、なんだかなあ、と思っていますが、
株ブログ巡回自体は、私は好きです。
「投資は孤独なもの」とまでは、おもわないです。
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2006.09.23 少数派のススメ
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おちゃらけシリーズ第3弾です。このシリーズは、思い込みと偏見に満ちていますので、ご了解の上ご覧下さい。前回は、おちゃらけ度50%VS本気度50%でしたが、今回は [続きを読む]
はじめまして。
今回の記事は、見てみぬふりをしてしまうようなことを「ズバリ」指摘された感じです。裏目じじぃになりがちなので、気をつけねば、と思いました。
しかし、いいブログですね。いや、このような貴重なブログがあるのですから、巡回はやめられません。
これからも有意義な発信を期待しております。
投稿: vb | 2007.05.01 06:15
vbさん、こんにちわ。
裏目じじいネタは、私が最も気に入っているテーマです。
第1回めの投稿で、アセットマネジャーズほかを取り上げましたが、当たってしまいました。
投稿: ゆきをん | 2007.05.02 20:09