« リサ・パートナーズ | トップページ | フージャースコーポレーション »

2007.02.24

インテリジェント ウェイブ

2回目の投稿です。インテリジェントウエイブ(以下「IW」)の中間決算は、「金融系ソフトの好調さ」と「セキュリティ製品の需要の低調さ」を印象づけるものでした。

 金融系といっても、IWのはカード系専業であり、ジャンル毎に濃淡はあるのでしょう。大手は足踏みしている印象です、不採算案件などが出ると、いくら仕事が入っても、利益につながらないですし。が、それでも、おおざっぱに言うと、拙稿「情報企画」で書いたことと、同じような印象を継続しました。
 
 中間期売上は次のとおり。
 

- 会社期首予想中間結果
カードフロント1830〜19002263
システムソリューション660〜700710
CWAT470〜500349
総合計2960〜31003322

 とはいえ、セキュリティの低調さを、全体で補い、売上予想を超え、利益においても
  

- 会社期首予想中間結果
純利益110〜150373

 と、大幅増加、となる見込みだったのですが、ここで、意表をつく発表となりました。「CWAT」関連製品(USBスティックメモリ等)の商品在庫の評価減として△262百万円、貸倒引当金として△52百万円が計上され、純利益の結果59百万円という大幅減となってしまったのです。
 
 貸倒引当金はいいとして、ソフト会社で在庫評価損って。会社IRによると、
 
 「CWAT」関連製品の商品在庫の評価損につきましては、商品在庫が一定期間滞留したことにより評価損を計上したものであり、商品の陳腐化により計上したものではないため、引き続き商品の販売に注力してまいります。

 普通、営業循環基準を外れた商品は、「標準価格では売れない」と処分品の扱いとなりますから、評価損が発生するのですね。ただ、CWATについては、単に、回転期間の社内ルールに則って、事務的に計上しました、という会社発表です。
(ちなみに、売上計上のタイミングですが、平成17年6月期より「販売代理店のライセンス受領検収」から「エンドユーザーへのライセンスキー付与あるいは販売代理店からの債権回収時点」に、保守的な変更がなされています。)
 
 これで、今後も売れないのならともかく、将来、売れるのなら、そのときは、原価ゼロとして損益があがるわけです。単なる費用の前倒し?
 しかし、業績修正発表の翌日は、株価は、ストップ安で△17%。年初からの上げを吹っ飛ばしました。容赦がないな。これで、下期に売れれば、まったく問題がないわけですが、通期予想は変更をしていないため、下手をすれば通期も、評価損を計上して下方修正となりかねません。
 
 ライバルの「秘文」も低調のようだし、このジャンルは売れてないのですね。
 と、大塚商会を見てみれば、セキュリティ部門は、
 2004年    9,900
 2005年   19,106
 2006年   27,066
 2007年予想 40,000
 と、いい感じ。インターネットセキュリティシステムズなども、好調です。セキュリティといっても、ジャンル別に濃淡があります。
 
 CWATの生産金額(販売額ベース)、販売金額、導入社数、トライアル者数の推移を見てみます。
 

- 生産金額販売金額導入社数トライアル数
17.12590722305530
18.6758963431630
18.12160349477731

 これを見る限り、突然、生産と販売のペースが落ちてきていることは確認できますが、「余っている」感じはないです。不思議。
 私は、CWATについては「売れていない」のではなく「今は売れていない」と考えています。つまり、需要の後倒し。多くの企業にとって、内部統制整備に、操作ログは不可欠です。しかし、《情報統制ルール》の整備が遅れている企業にとっては、そちらが先であり、そこが定まらないと、製品購入に至らないのです。これまでは、「必要です」と認められたら、買えたのです。しかし、内部統制整備が本格化し始めた今は、IT全般統制、業務統制の中で、ルール整備が終わらなければ、買えないのです。逆に、セキュリティといっても、例えば、ルール整備を援助するコンサルは今が、絶好調になっているのでしょう。順番待ちです。
 

 内部情報漏洩対策システムである「CWAT」の販売において、引き合いは依然として強いものの、日本版SOX法の導入を見据えて、他社の導入動向を見極めようとする顧客も散見され、計画値には達しませんでした。しかし、今後、日本版SOX法の導入準備が順次進むものと思われ、(中間決算短信より)

 そうなのでしょうか?もっとも、需要の後倒しが起こったとして、そのときに、他社製品ではなく、CWATが選ばれるように頑張ってもらわなければいけません。
 
 ただ、今の時点で、私がIWを購入した動機は、CWAT以外の事業の好調に期待したのであって、CWATは、足を引っ張らなければ、今はそれでいいのですが。
 
 CWAT以外の事業について、簡単な確認。前中間期と今中間期の売上高(費用)の推移です。
 
カード  2,023(1,289)→2,263(1,263)
システム  597(677)→ 710(629)

 売上高が増えているのに、費用(額として)が減っているというパターンです。受注残も、
 
カード  1,757→2,223
システム 499→576
 
 悪くないですね。今年度中に、本人不正対策の与信システムが完成しますので、来期に向けても着々です。
 
 今は、内容は問わず「下方修正」というニュースが出ただけで、完膚無く売られるのです。しょうがない。
 
    □ これまでの投稿 □

1回目 2006.12.07

 

« リサ・パートナーズ | トップページ | フージャースコーポレーション »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: インテリジェント ウェイブ:

» 日本版SOX法の対応についてご紹介 [日本版SOX法ガイド]
日本版SOX法(J-SOX法)は、2008年4月から施行されます。これから本格的な対応が必要になってくる日本版SOX法の対応に関するブログを紹介します。 [続きを読む]

« リサ・パートナーズ | トップページ | フージャースコーポレーション »