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2007.01.06

シンプレクス・テクノロジー

 3回目の投稿です。今回は、シンプレクスと、18.9.29に業務提携した【ビジネスブレイン太田昭和】(以下「BBS」)について取り上げます。JASDAQ銘柄です。

 シンプレクスは、この発表前の、18.8.31にBBSの15.5%の株を取得し、第2位の株主となっています。発表では、この提携のシンプレクス側のメリットについて、
 BBSは、会計分野のコンサルに強みを持ち、銀行・証券業務に精通した250 人以上のエンジニアがおり、業務提携により、コンサルタントとエンジニアの相互補完をして、効率的かつ円滑に金融システム開発事業を展開できるも、と述べています。シンプレクスは、かなり人不足のようですから。
 しかし、BBSの木村社長へのインタビューによると、

 ——今後の事業拡大に向けた課題は。
 「人材不足だ。特にコンサルティング職の不足が深刻で、システムエンジニアを異動させるなどして対応しているが、受注を十分にこなせるだけの人手が足りない。社外からの採用も地道に続けているが、〇七年度の新卒採用は特に売り手市場だということもあり苦戦している。M&A(企業の合併・買収)による人材確保も解決策の一つだと考えている」
 2006.11.7(日経金融新聞)

 
 こちらも、相当の人不足のようです。適材適所を回そうということでしょうか。
 
 一方、 BBS側のメリットとして、大手金融機関との取引開拓や金融システムおよび金融業務に関するノウハウの強化につながる、のだそうです。
 どちらかというと、シンプレクスは、フロント業務、BBSはバック業務に強みがあるので、シナジーがあるのはわかります。
 
 で、BBSについて、ホームページで確認すると、日立ソフトが、18年1月に公開買い付けをしていたことがわかりました(現時点で35.8%で、第1位株主です)。日立ソフトと言えば、インテリジェントウエイブ(拙稿参照)を取り上げたときに、ライバル製品の「秘文」で知っていましたが、内部統制関連で攻勢をかけている企業という印象です。
 
 日立ソフトは2月28日、日本版SOX法への対応をはじめ、業務プロセスおよび情報システムの視点で内部統制の構築、強化を支援する内部統制ビジネス推進本部を3月1日付けで設立すると発表した。(略)
 また同社は、資本/業務提携しているビジネスブレイン太田昭和とも連携を図り、コンサルティングから運用/保守までの一貫したサービス提供を目指す。Cnet news

 
 その後、18.12.7には、BBSと日立ソフトが共同第2弾として、「内部統制後の業務改革ソリューションを提供開始」というリリースも出ています(この文書には、役割分担の図もあり、わかり易いので、ご参照ください)。
 
 シンプレクスとは金融システム系で、日立ソフトとは内部統制ビジネスで、あわせて、去年1年のうちに過半数の株を買い占められ、資本提携パートナーに選ばれるということは、それなりに、魅力的なんでしょうね。私はこれまで、BBSの名前も知りませんでしたが、金融システム構築も、内部統制ビジネスも、これから絶好調期を迎えようとしている市場ですから、有名な両社と組むことは、当面は、大きな業績増がありうるように思われます。
 
 では、BBSについて、少し見てみます。
 
 BBSは、本社と8つの子会社からなるグループで、金融システム、コンサル、セキュリティや病院関連のコンサル、経理アウトソーシング、エンジニアリング、人材派遣など、多岐に渡り「経営とITの総合コンサルティング」の会社です。
 業績的には、ここ数年の売上が120億円から140億円ぐらいの、いわゆるボックス圏で、これを見ると、成長企業という印象ではありません。従業員は連結で809名。純資産が57億円ですから、時価総額54億円と比べると資産価値として割安です。負債は37億円ですが、うち15億円は退職金引当関連ですから、そんなに悪くありません。また、年がら年中、自己株式買取をしていますので、下値不安は、低いでしょう。
 
 前期経常利益が、(有価証券運用益を除くと)460百万円で、今期予想も450百万円です。しかし、18.10.20に中間期経常利益予想を75百万円から、120百万円に上方修正しており、好調さを見せています。通気は据え置いているものの、上方修正は堅いと思います。その根拠としては、この企業は、業態上、第4四半期の売上高が、ぐんと伸びるのですが、受注残高が、
 
 2,826(05中)→ 3,729(06中)→ 5,233(07中)
 
 と、前年中間期より40%以上、積み上がってきていることです。内訳を見ると、コンサルが前年同期比31.8%アップ、システム開発が37.6%アップ、アウトソーシング事業が66.1%アップと、まんべんないです。前掲インタビューでは、コンサルが特に人手不足ということですが、受けられる目一杯を超えて、いいとこ取りをしているのかもしれません。
 
 さらに、色んな業務が混じっているので、売上総利益率は、ややぶれがあるのですが、
 前中間期17.0%→前期通期18.8%、今中間期19.1%、と向上してきています。需給が逼迫してくれば、強気で交渉できますから、今後も利益率向上は期待できるので、売上アップ率以上に、利益率はアップする可能性が高いです。この点で、利益率が特に高いと言われている金融機関の基幹システムで、シンプレクスとの提携が効いてくればいいですね。
 
 さらに、販管費は、ほとんどが人件費と不動産賃貸料であり、年間20億円台と、大きな額で、ほぼ固定しています。そのため、
 《売上総利益》−《販管費》= 営業利益、で
17年度 《2,332》−《2,059》= 272百万円
18年度 《2,488》−《2,026》= 461
19年度 《前年度以上》−《20億円台》= ???
 と、売上総利益率アップ以上に、営業利益率は、向上しそうです。
 また、17年度に47百万円、18年度に280百万円、今期(下期)も83百万円の投資有価証券売却益が、営業外で上積みされています。
 
 日経コミュニケーション06.10.15号の「内部統制に不可欠なセキュリティのお値段」によると、内部統制コンサルの料金相場として、「NECの1000万円から」「大塚商会の1500万円から」などが記されていますが、供給側は限られている上に、上場企業は、必須ですから、これから、この業界は、ますます、ぼったくり化すると思われます。
 
 過去の定量分析的には、すごく良いとは思いませんが、
 定性的には、良いです。
 この銘柄の最大の弱点は、流動性の低さです。今年に入ってから、まだ、200株、12万2千円しか、出来高がありません。
 しかし、売り手が少ないとも考えられます。面白いとはおもいます。
 
 □ これまでの投稿 □

1回目 2006.8.18
2回目 2006.11.17

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コメント

太田昭和といえば新日本監査法人の前身ですから社内には公認会計士がうじゃうじゃいるんでしょうね。
内部統制が流行語のように叫ばれていますが、その本質を理解しコンサルまで出来る人材はそんなにいないはずです。システム屋さんにとってはここはのどから手が出るほど欲しいでしょうね。

シンプレクスの記事ですが「日立ソフト」についても研究してみようと思います。

(重複記事削除ありがとうございました。ココメントの相性の問題か、一発でうまくできませんでした)

 ボウズ応援投資家さん、こんにちわ。
>システム屋さんにとってはここはのどから手が出るほど欲しいでしょうね。
 物的資産価値(現金、売掛金だけで65億円含め)だけで、十分に見合っているのですから、人的資産も含めると、日立ソフトは、お得な買い物をしました。しかし、日立ソフト、業務が多いので、掴みにくいし、私の好みではないです。そういう意味では、単純なのが好きです。

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