頑張れ、田村内閣府大臣政務官!
株式譲渡益課税増税の問題が、あちこちのブログでも取り上げられるようになってきました。
私も、この問題について、ブログに文章を書こうと、インターネット上をあちこち巡ったりしたのですが、結局、まとめることをやめました。
原因は、「企業を調べたり、将来を考えたり」ということは楽しくて、苦にならないのですが、証券税制の議論は、考えるほどに気が滅入るのです。
私の意見としては、税率が10%のほうが良いに決まっていますが、仮に20%となったとしても、納得できるならば、仕方がないとは思っています。大げさに言えば、負担能力のあるものが、国家財政を支えることは、誇るべきことである、という納得の仕方もできます。
しかし、です。
この問題を、熱い議論のテーブルに載せたのは、サンデープロジェクトの菅直人氏の発言だったと思いますが、私も、テレビでそれを観ていて、のけぞりました。
菅直人氏は、「投資家」と「勤労者」を対極に置き、証券税制のテーマを、勤労者が汗水を流しても報われない一方で、それを労せずマネーゲームで搾取しているかのような「格差」の制度の問題とし、「20%どころか30%でもよい」と豪語したのでした。増税は、私たち個人投資家に対する懲罰なのでしょうか。
それ以来、菅直人氏のような、「隠れ階級史観主義者」は別としても、この問題をきっかけに各政治家の認識が表になるにつれ、落胆の連続です。
かつて、「資本家」と「労働者」という、「格差」が存在したのかもしれません。しかし、その解消を進めたのは、社会主義革命などではなく、資本主義の発展、格差流動化、それを支えたのが一般市民でも大企業のオーナーになりうるという「株式制度」の普及ではないでしょうか。「株式制度」が格差の一因であるかのような見方は、歴史認識の間違いではないでしょうか。
「資本家」を滅ぼして、皆が「労働者」になるような左翼国家を作っても、豊かさはもたらされない。一般庶民でも、株を持つことで、皆が「資本家」になる世の中が、皆が豊かになる社会です。
私は、これまで、政権交代が必要という理由から、民主党に期待をしてきました。前原氏は、頼りなくはあったが、姿勢は、おおまかに間違っていなかったと思います。しかし、小沢代表になってから、反自民、何でも反対、という、おかしな政党になってしまったと感じています。嫉妬心に訴えるだけの煽動政党は、もう要らない。
と、あれこれ、この問題に関してインターネット上を、巡回していたとき、自民党の鳥取県選出である田村耕太郎参議院議員(当選二回)のホームページに行き当たりました。田村議員は、安倍内閣での内閣府大臣政務官(経済財政政策担当、金融担当、再チャレンジ担当)だとのことで、大いに勇気づけられました。
2006/11/16の文章「守るぞ証券税制」から、少し、引用します。
自民党の財金部会へ。今日は税制改正について。今日のテーマは金融庁と財務省。金融担当政務官として以下のようにご挨拶。金融庁の今年のテーマは証券税制です。「貯蓄から投資へ」はまだ道半ばです。証券税制は金持ち優遇と批判されていますが、一番恩恵をこうむっておられるのは中所得者層です。諸外国も同様の優遇策をとっています。「株を右から左へ動かした者が大もうけするなんて額に汗して働く製造業の人たちに申し訳ない」なんて声もありますが、株式運用は肉体労働です。額に汗水流して、夜は冷や汗を流して眠れぬ日々を過ごしているのが投資家です。「株を右から左に動かして大もうけ」なんて人はいません!
今日の平場の議員の皆さんからは証券税制存続におおむね暖かい支援をいただく。中に「妥協案として長期保有と短期保有にわけて税制を変えるというものはあるか?」との質問がある。事務方を差し置いて手を挙げて発言
妥協案はありません。長期と短期の保有に分けることは税の実務上運用が難しいです。また考え方としても「長期保有は善」「短期保有は悪」というのも無理があります。短期保有者がいて初めて市場は流動性が確保できます。市場に長期保有者しかいなかったら運用はできません。短期保有者がいないと長期保有者も報われないのです。短期保有者も市場で立派に役割を果ているのです。
われわれに妥協はない!断固として証券税制守りぬくのだ!政府税調で理解不能な議論をしている学者がいるが、次回から目の前でしっかり聞かせてもらう。議員の証券税制に対する姿勢はおおむねわれわれ寄りだと感じた。江崎財務政務官も先日安倍総理との会食で安倍総理の前で証券税制存続を訴えてくださった。税制を決めるのは、われわれ選挙の洗礼を受けた議員なのだ!
まったく、そのとおり!
さらに、2006/11/22の文章「誤解される再チャレンジ」から、
証券税制については、やはり財務省のレクが利いているなという印象。こちらが研究した財務省予想レクに近い発言があった。しかも発言者の理解力不足で真逆のことを言っていて、いたるところで失笑が漏れた。政府税調としては優遇税率は廃止して20%とすることを提言しそうだ。もちろん、異論もあったが、簡素・公平など、わかりやすいが分析不足の議論が幅を利かせ、押し切っていた。(略)証券税制は続けねばならない。それは日本の家計に株をさらに浸透させる必要があるからだ。日本企業の収益性が向上している中で、日本は労働分配率が下がっている。つまり、賃金を抑制しているから企業は儲かっているのだ。日本企業は、非正規雇用を増やして人件費を抑制し、ROE(資本利益率)を向上させているのだ。それで株価は上がってきた。アメリカの20年前と同じである。しかし、アメリカは家計が株を持っていたので、株価の上昇で資産効果が出て、景気が拡大して行った。ところが日本の場合、外国人が株を持っているので、日本の労働者の賃金カットによってもたらされた利益は海外へ出て行ってしまうのだ。これを防ぐには家計が株をもつようにならないといけない。つまり、株式保有を促進する優遇策は必要だと思う。
完全に賛同です。頑張れ、田村耕太郎!
私たち投資家は、税金が10%上がるのが嫌だ、納税は嫌だ、などと、姑息なことを言っているのではないのです。みんなが豊かになる社会を作りたいのです。
日本企業の競争力が低くなれば、一番困るのは、国内の労働者なのです。中国やアジア諸国の追い上げがあって、これ以上、日本人の賃金をどんどん上げるということは、選択肢としてありえない。日本人が豊かになるには、株式投資を広く普及させる以外に、方法はないのだ!