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2006.10.03

さわかみファンド

 景気サイクルに従って、株価が変動するハイテク景気敏感株について考えてみたいのですが、これが難しい。

 取り上げるのは、典型的な景気敏感業界である半導体製造装置の東京エレクトロンです。日経平均への寄与度が高いことでも有名です。
 以下は、過去の推移ですが、
  

-一株利益(a)平均株価(b)実績PER(b/a)
01年3387,198PER 21
02年△785,978-
03年△796,993-
04年495,988PER 122
05年1856,674PER 36
06年2507,955PER 31
07年予想382- PER 20以下?

平均株価は、12ヶ月初日の終値のうち最高値と最低値を除いた10回分を10で割っています。
 
 景気サイクルにより業績が大きく変動しているのがわかりますが、意外だったのは、年間平均株価のほうは、それほど上下せず、変動が緩やかであることです。おそらく、景気連動であることが周知なので、投資家は、業績が下がっても「景気が回復すれば向上するさ」と考えているのでしょう。
  
 有効な戦略としては、景気の底から上向きサインが出たとき、赤字か高PERのときに買うというものです。ハイテク景気敏感株の特徴として、業績の上下が激しいので、高PERで買っても、株価上昇を伴いながら、PERは下がるのです。逆に、景気下降前には、いくらPERが低くても、決して買ってはいけないのです。実は、私は、この株を、2000年夏の、業績絶好調時に、「なぜ、安いのだろう」と買ってしまったのです。予想PERは10台のはずでした。。当時は、業績の陰りは全く感じられなかったのですが、株価は、織り込み始めていたのでした。
 景気敏感株は、目先の割安指標で買うと、悲惨なことになります。東京エレクトロンは大型株なので、まだいいですか、小型株はぶれが大きいです。下記は、撮影半導体検査装置のインターアクションと、液晶検査装置のブイテクノロジーですが、私は、景気回復で最も恩恵を受けるのは、新興の検査装置かな、と、以前、両方を検討しました。この結果は、なかなか予想できないですよね。
 
 
-インターアクションブイテクノロジー
04年経常利益802185
05年経常利益27387
06年経常利益1422,097

 インターアクションの、毎年4月1日の株価は、
 4年度が、369,000円 (PER 55)、
 5年度が、152,000円 (PER 962)、
 6年度が、224,000円 (PER 99)、
 PERが高ければ買え、安ければ売れ、を、そのまま証明しています。しかし、ブイテクを見れば、まあ、異なります。デジカメ不況と液晶好況の結果ともいえます。割安指標など、全く参考にならず、今後の業績見込みだけで、株価は動いていきます。
 景気が悪化すれば、インターアクションとかブイテクノロジーとか、前年度比利益が、20分の1になっても、驚きません。
 どうしても、景気敏感株を買いたいのなら、景気サイクルを見通して、景気の底のときの利益水準とピークの利益水準を平準化して、といった、作業が必要でしょう。そのようにして、景気が底を打ったことを確認して、できれば赤字のうちに買うことです。業績が好調のうちは、株価も上がりますから、PERはそれほど下がりません。PERが大きく下がって割安になってきたとき、株価が景気悪化を織り込み始めたということであり、売りのサインです。こんな複雑なことは、私には無理です。
 
 上の表では、年間平均株価の上下は緩やかと書きましたが、短期的な上下のぶれは、非常に大きいです。ですから、下のほうで待ち構えて買うという戦略が必要です。
 
 私には、景気の先読みは、複雑すぎて無理です。そこで、景気敏感株は避けて、できるだけ、景気連動をしない株にシフトしています。
 しかし、それでは、バランスが悪いので、苦手分野は投資信託で補おうと、始めたのが「さわかみファンド」毎月積み立てです。
 
 さわかみファンドは、長期運用をうたっていますが、私やバフェットのような、同じ株を長期保有というのとは、全く異なります。パンフレットには「アセットアロケーション(投資対象)の切り替えが、運用の基本」と、はっきり説明しています。
 
「『さわかみファンド』は、経済の大きなうねりをとらえて先取り投資することを運用の基本とし、その時点でもっとも割安と考えられる投資対象に資産を集中配分します。」
「国内外の株式・債券を主要投資対象としていますが、投資割合等の制限は特に定めずに、(略)」

 金利上昇時には、株式を、
 金利下降時には、債券を、
 その方針のとおり、現在は、株保有時なのであって、具体的銘柄としては、住友金属、トヨタ、デンソー、三菱重工業、松下、と、景気敏感株がずらーっと並んでいます。これはこれで、方針がはっきりしているのであって、ここに、新興ネット株などが入っていたら、がっかりします。
 私は、個人でとれるリスクを勘案して投資対象を決めています。さわかみファンドの購入対象者のとれるリスクはそれとは異なります。さわかみファンドは、その最大公約数の範囲内でアクティブに対応しているわけです。当然に、私とは方針が違いますが、それだけに、バランス保持のためにも、気に入っています。
 
 さらに、金利下降時には、債券が中心になります。
 債券ですが、債券償還価格(固定)=現在の元本価格 x (1+金利)ですから、金利上昇時には、自動的に元本価格は下がり、下落時には元本が上昇します。景気敏感株の株価上昇が見込めないときに債券に移行するというのは、納得できます。
 
 さわかみ投信も、純資産額が2000億円を超え、利益が出てきたそうですが、これから、その利益を還元するために、さわかみ投信の株を100%保有する公益目的の会社を作り、大自然の中に10万人が住む研究と文化の町を創るそうです。4年後に本社屋が完成するそうで、こちらの壮大な試みも、目が離せません。

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