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2006.09.23

少数派のススメ

 「裏目じじいの逆を行け」という(悪魔のような)投資法があるそうです。裏目じじいとは、株の世界では、やることなすこと裏目に出て、買うと下がり、売ると上がってしまうという不運の持ち主なのだそうです。

 このことを、「資産運用のカラクリ3(錬金術入門)安間伸著」で、詳しく書いていますが、すこしだけ抜粋します。
 

「なぜ「裏目じじい」になってしまうかを私なりに解釈いたしますと、おそらくその人たちは、他の人と違う意見を持つことを避ける傾向があるからではないかと思います。(略)
 実は投資において、コンセンサスを追いかけまわすのは危険なんです。というのも市場が強気一色になってそれ以降はもう買う人がいなくなってしまうようなときに威勢よく買いに回ると、その結果多くの投資家たちと一緒に下落相場につかまってしまいます。(略)
 投資の世界は、皆の意見が一致すれば一致するほどその局面が終盤にさしかかっていることが多く、ほどなくトレンドが逆転してしまうことが多いのです。(略)
 別の言い方をすると「みんなと同じことをしている」という安心感を得るために、投資では不利なポジションを持っているということです。
 
 裏目じじいは「皆と同じことをしている」という安心料を、投資での損失という形で支払っている。(略)
 
 そんなわけで、投資の裏ワザとしては自分なりに「裏目じじい」になりそうな人をチェックしておいて、その逆をやるという方法があります。(略)
 この方法は、恐ろしく強力ですから、資産運用の本質を知るためにも、試しにちょっと使ってみてください。(略)
 
 投資でもビジネスでもそうですが、売り手が多い局面で買い手に回ればより安く買うことができますし、買い手が多い局面では売りに回ればより高く売ることができます。つまり儲ける人は常に少数派になることを心がけているということです。(略)
 
 投資で儲けたければ、変人になりすぎないよう常識を踏まえつつ少数派になるように心がける
 
 引用が長くなりましたが、真実をついていると思います。
 おそらく、株ブログの世界で、コンセンサスだけを追い求めている裏目じじいを見つけるのは簡単だと思います。しかし、モラルというか、美意識というか、そんなことはしたくないというのが実感です。
 ただ、ここから、活かせるポイントもあると思います。それは、裏目じじいが付いていない企業を買えということです。
 
 長期投資では、株は【業績】で上下しますが、中短期投資では【需給】で上下します。
 以下は、中短期だけの話です。(長期の人は、こんなことは気にすることはありません)
 
「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」と言われます。
 株の上昇とは、少数派が多数派になるという過程のことです。「興味ない」から「この株を買いたい」へ移行する投資家が増えてこそ、株価は上がります。買いたい人「候補」が、皆、買ってしまっている状態では、どんなに良い株でも、株価はそれ以上は上がりません。特に、コンセンサス重視派の裏目じじいは、最後に買ってきますので、裏目じじいが多数付いている株は、上がらないのです。
 皆から良い株だと思われていて、悪口を言う人がいない株は、「こんなに良い株なのに、何で上がらないの?」という状況が続きます。
 
 アセットマネージャーズは、私の中期主力銘柄ですが、裏目じじいが付きすぎているので、おそらく上がらないのでしょう(それでも、業績が支えになるので、私は保有を続けますが)。フージャースは、私のような否定派がいるので、まだ、大丈夫です(笑)。アイディーユーは、あちこちで悪口を書かれているので、さらに安心です。
 
 ですから、急騰株を狙いたければ、少数派であることが大切なのです。
   
 例をあげます。
 2005年に10倍化した株として、ダヴィンチアドバイザーズやサイボウズが、記憶に新しいところです。
 ダヴィンチは、2004年冬に、日経ビジネスに「不動産ファンドはバブルだ」という特集が出て、株ブログでも否定的な書き込みが増えてくる中で、突如、急騰を始めました。そして、株価が上がっていく中で、皆が利食いに逃げていくどころか、株ブログでの支持が広がっていったのです。
 サイボウズも、根強い強気派がいる中で、多くのブロガーから、割高批判を受け続けて急騰していきました。
 急騰する株の殆どは、何らかのケチがついている株です。
 
 多くの株ブログの場合、買いたい株についてはよく調べますが、買わない株については、あまり調べずに悪口を書くのです。最近も、ミクシィについて、あちこちのブログ(私を含めて)で書かれましたが、財務諸表を読んで批評した人は、ほとんど、いませんでした。(この人は例外でした。さすがに他のブロガーとは格が違いますね。この人は、当然か。)悪口を、うのみにすることはありません。
 悪口が多く言われている株は、少数派になるチャンスなのです。もしかすると、掘り出し物があるかもしれません。(ほんとに悪い株かもしれません)
 ケチがついている株を避ける人は、はっきり言って、裏目じじいになる候補です。そのケチを、根拠があるかないか調べて、「買える」と決断を下せる人こそが、勝ち組投資家だと思います。

 良い企業が良いニュースを出してもサプライズはありません。
 悪い企業が悪いニュースを出してもサプライズはありません。
 サプライズは、良い企業が悪いニュースを出したとき、悪い企業が良いニュースを出したとき、に起こります。良いサプライズが起きたときに、「興味ない」から「買いたい」への転換があり、少数派から多数化へ、株価上昇が始まるのではないでしょうか。

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