株主のための株主資本比率考
株主資本比率(自己資本比率)は、自己資本と負債の比率で、負債が少ないほど財務は安定していて良い会社です、利払いが少なくてすみますから。とだけ、一方的に書いてある本があれば、私は即、ゴミ箱に捨てます。
株初心者本の多くは、財務の現場を知らないので、こうした株主軽視の記述を、書くのです。しかし、残念なことに、ほとんどの本がそうなのです。株主コストがゼロなんて書いてある本なんて、株主軽視もいいところです。
確かに、余りにも自己比率が低ければ、増資不安などはあります。しかし、それと、企業価値とは別の問題です。
金融機関からの借入金は貸し剥がしなどの異変がない限り、継続して借り換えがなされるものです。利息負担は、費用として節税の対象となり、実際の負担は60%ぐらいです。それに対して、自己資本は、税引き後に配当を支払わねばならず、その配当を受け取った株主もまた、税金を払います。
金融機関は利息だけで満足しますが、株主は、配当以上のリターンを要求します。つまり、私には、株主資本比率が低い企業ほど、負担が少ない良い企業に思えるのです。
丁寧に書きますと、
適性株価、つまり、企業価値を計算するのに、よくDCF法が使われますが、本当はこれを資本コストで割ったものが、企業価値だと思います。
資本コスト = 株主資本比率 x 株主資本コスト+(1-株主資本比率)x負債利率(税引き後)
どう考えても、リスクをとっている分、負債利率<株主資本コストですから、株主資本比率を下げるほど資本コストは下がり、企業価値は上がるわけです。
話を進めましょう。
株主資本コスト = 長期国債金利+リスクプレミアム
リスクプレミアム = 東証β値(あるいは自分で計算) x (TOPIX期待リターン - 長期国債金利)
こうして、個々の項目に数字が入れられるようになりましたので、企業価値算定の分母が決まります。株主資本比率は、時価ベースでしょうか?でしょうね。
あとは、分子ですが、また、気が向いたら書きます。