「新しい「中世」〜21世紀の世界システム」田中明彦
たまたま、本屋で発見した本ですが、優れものでした。
21世紀の世界は、20世紀の工業社会と対比して、情報社会と言ってよいと思いますが、ヨーロッパ中世のような世界になるという著者の予測です。特徴は、「主体の多様性」と「イデオロギーの普遍性」。
その主張は、大前研一氏の「地域国家論」に通じるところがありますが、
主権国家の影響力の低下、については、もはや、議論の余地なしと思います。(ただ、左翼市民のいうような国家不要論には、永久にならないと思いますが。)
イデオロギーの普遍性については、どうなんでしょうか。筆者は、イスラムと欧米の「文明の対立」など、本質的ではないと考えています。だって、プロテスタントとカトリックでさえ、長い間、凄惨な抗争をしてきたんですから。パレスチナ問題も、本質は経済格差の問題だと思います。
筆者の主張は、先進国においては、まったく同感です。後進国がついてくるには、まだまだ遠いようですが。