「アテネの空に日の丸を!—水泳ニッポン復活の戦略」上野広治
日本代表水泳チームのヘッドコーチである上野広治さんの著書「アテネの空に日の丸を!—水泳ニッポン復活の戦略」を読みました。水泳だけではなく、いろんなところに応用が効き、学ぶことが多く、お勧めです。
上野広治さんは、高校教師ですが、8年前、史上最強チームと言われながらアトランタオリンピックでメダルゼロの惨敗に終わった日本代表水泳チームの立て直しを頼まれたそうです。そこで、訴えたのが、「速いものが勝つのではなく、強いものが勝つ。」平たく言えば、メンタル面の強化ですが、
そのために、孤独との戦いである、個人競技(競泳)をチーム競技に変えました。各選手に、チームの一員であるという意識を徹底させたのです。そのことによって、選手は、孤独から解放されたのです。
北島選手が、ある大会で負傷しながら、入院治療を、まだ、試合は終わっていない(自分の試合は終わったが他の選手の試合は終わっていない意味)と拒んだエピソードなどが書かれています。各選手がばらばらに勝負するのではなく、チームとして戦うという気持ちが表れています。
一時期、「自分のためにだけ頑張れ」みたいなマスコミの風潮があり、それとともに、日本スポーツ界の成績が低迷していったように思います。人は、自分のためにだけなんか、頑張れないのではないでしょうか。また、自分だけの力で勝てる選手など、一人もいないのです。最後に勝者と敗者を分けるのは、人間としてのトータルな強さ。
単に身体能力に優れたものが、勝てるというものではないということがわかりました。
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