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2006.08.23

アセット・マネジャーズ

 アセットマネージャーズは、金融新興企業です。その事業領域は広大であり、ゴリラ企業が登場する余地はありません。その分、優秀なモンキー企業が、孫悟空のごとく暴れ回っています。
 

 私は、1株利益より、1株フリーキャッシュフローの成長が、株価上昇の一番の指標だと考えています。利益とは、企業の見解にすぎません。しかし、この業界では、キャッシュフローはすごいことになっています。
 昨年度の、キャシュフロー計算書によりますと、アセットの仕事内容は次のとおりです。250億円の社債を発行し、さらに220億円の金融機関借り入れをしています。そのお金で、430億円もの、有価証券(不動産ファンド組成含む)を買いまくっており、現金は凄まじい勢いで減り続けています。その有価証券等の価値を向上させることが、アセットの仕事なのですが、もし、インフレになったら、もし、デフレになったら、わかりますよね、リスクが。

 そんなことで、キャッシュフローは、真っ赤っかなので、企業の見解を見ていくしかないのですが、アセットは投資銀行ですので、その主力商品(アセットが営業循環基準をとっているので「商品」と呼びます)と言える投資有価証券、その中で「株式」のバランスシート上の扱いについて、同業者のリサパートナーズと比べる形でみてみます。

 会計基準では、「株式」は、次のパターンで分類されます。
1)流動資産/売買目的株式(評価損益は、損益計算書に損益として計上)
2)固定資産/子会社、関連会社株式(時価評価せず)
3)固定資産/その他株式(時価評価できるものは、評価損益をバランスシートの純資産の部に直接入れる。損益としてはあげない)

 リサは、全て固定資産に計上しています。一般的な対応です。
 しかし、アセットは、流動資産に300億円以上のせています。固定資産は20億円少しですから、ほとんどです。これについては、注記で「M&A事業を新たな事業の柱にすることを決定いたしました。...その投融資の実態を明瞭に表示するため...」等々と理由を述べています。これぞ、ベンチャーキャピタル的です。さらに驚くべきことに、子会社等要件に当たる場合でも、流動資産にいれている場合もあると書いています(かなり、あります)。 
 連結対象全てで同じ処理をしているのか定かではありませんが(投資組合及びインベスターズは同じ処理です)、こういうことになります。リサの場合は、保有しているだけでは、いくら含み益が出ても利益にはなりません。売却のときに始めて利益となります。しかし、アセットの場合は、その都度、時価評価の含み益(損)が営業損益として利益(損失)に計上されます。
 逆に、損失の場合には、アセットは、その都度、少しずつ損失とされますが、リサは、突然にドッカンと損を計上してしまうのです。しかし、通常の範囲であれば、リサのほうが安定的であり、アセットは流動的です。
 念のために書くと、アセットの含み益が少ないと言っているのではありません。バランスシートの純資産にはいっぱい載っていますし、時価評価できない分もたくさんあるでしょう。ここで書いたのは、会計方針のことです。
 このような市場連動型会計処理は、アセットの攻撃的な意志が強く出ていると感じています。 

 つまり、アセットとリサは、計算方法が違うので、財務諸表上の利益を比べあって、どちらが割安とか割高とか、そんなことは意味がありません。これらを観るに、利益の額や率は、大まかでいいのではないでしょうか。
 必要なのは、収益のイメージが自分なりに描けるかどうかということ。「この事業は、いけそう」とか「この事業は、どうかな」とか、数字以外に、そのぐらいは、イメージできはしないでしょうか。最近、過去のアセットの投資先、ウオッチマンの倒産が報道されました。現在、投資中の倒産が報道される日もくるでしょう。「数字もいいし、儲かってるに違いない」は、絶対だめです。合理的に考えれば業態としては、買うのは冒険かもしれません。しかし、イメージできるのなら買いましょう。でなければ、やめたほうがいいです。内容を全て理解する必要はありませんが、イメージできないということは、リスクの程度がわからないということだからです。

 アセットは、今後、アジアへの進出を加速します。どんどん、イメージ作りが困難になります。成功先と失敗先も、どんどん、でてくるでしょう。成長そのものは、減速するより、加速する可能性が高いです、回収期が待っていますから。しかし、PER水準は、不透明性から、下がる可能性があります。かといって、外したくない銘柄ではあります。なかなか、悩ましくなりそうです。

 ちなみに、中期銘柄としては、私の最大保有銘柄です。

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